老人必用養草12(精神の補養について2)

香月牛山

2020年7月9日(木)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は精神の保養に関する部分の後半を読んでみます。


【原文】
・悲の情は心胞絡の主る所なり。年老いては気弱くして、憂にだも堪えがたし。悲はまた憂よりも気をけづる事倍せり。『素問』にも「悲ときは気消す」とあり。憂にしづむといふも、心のやる方もなきものなれど、涙の催すほどなる事なし。少のかなしみにもまづ涙のさきだつをもて、その重き事をしるべし。老人のとぼしき元気いかんぞ此悲に堪んや。悲はおほくは死別なり。老人には死別をつつみかくして聞せぬやうにすべき事なり。

・恐の情は腎の主る所なり。『素問』に「恐る時は気下る」とあり、老人は陽気下行して腎気なを弱し。恐怖の情を起す事なかれ。ここをもて盗賊などの入来るとても、老人の耳にはいれぬやうに取はかるべきなり。あるひは険岨なる山、深き淵などある所を見る事なかれ。恐懼のおもひをなして病を生ずる類多し。


・驚の情は胆の主る所なり。老人は気弱くして物を決断する事なし。少しの事にもおどろきやすし。ちかきあたりの火災などの時も、まづはやく立退しむべきなり。物をただおだやかにいひなして、心をおさめしめて躁すべからず。『素問』にも「驚く時は気乱る」とあり、能々心得べき事なり。


・上にいふところの七情は、医家に説所にして、もつぱら病を生ずるの事をいふなり。儒家の七情に愛・悪・慾を入て其名を異すといへども、畢竟はおなじ事なり。医家の思といふ内に此三つもこもるなるべし。此七情は人にそなはる所にして、賢愚老若共に智事なし。大過せざるやうをつねに工夫すべし。わきて慾情は七情の根本なるべし。慾とはほつする事にて、我心にかなひ我身によき事なれば、是非ともにとげたきの志をいふなり。
 (中略)愚なる人は、ただ己のほつする所みな道理にあらぬ私慾のみにて、しゐて貪る心多し。是、人の大悪情なり。
 (中略)老人は気弱く、義心薄くなりて慾ふかきに似たり。孝子順孫ありて、その分限よりも厚く衣食財宝などを奉るといへども、心にあきたる事なく、ただ不足のみおもひて子孫に対して怒を起す事おほし。これ人倫の道を害するのみにあらず。元気を耗して寿命を縮る事なり。能々心得て慾情を起す事なかれ。

【訳文】
・悲しみの感情は心胞絡が主る所である。年老いると気が弱くなり、憂い事にさえ耐えづらい。悲しみは憂いよりも倍も気を消費してしまう。『素問』にも「悲しむと気が消える」とある。憂いに心が沈むと言うのも、心のやる方もないことだが、涙が出るほどになることはない。少しの悲しみでもまず涙が先立って出てくることから、悲しみというものが重いことを知る。老人の少ない元気がどうやってこの悲しみに耐えることができるのか。悲しみは多くは死別である。老人には死別について包み隠して聞かせないようにするべきだ。

・恐れの感情は腎が主る所である。『素問』に「恐れるときは気が下がる」とあり、老人は陽気が下降して腎気はなおのこと弱い。恐怖の感情を起こしてはいけない。なので、盗賊などが入ってきたとしても、老人の耳には入らないように取り計らないといけない。あるいは険しい山、深い淵などがある所を見てはいけない。恐れの感情を抱いて病気が生じる人が多い。

・驚きの感情は胆が主る所である。老人は気(訳注:体が正常に働くためのエネルギー)が弱く物事を決断することができない。少しのことにも驚きやすい。近所での火災なども、まず初めに早く避難させるべきである。物をただ穏やかに話し、心を修養して騒いではいけない。『素問』にも「驚くときは気が乱れる」とあり、よく心得るべきことである。

・以上に言う七情は、医者が説く所であり、病気を生じることを言っている。儒家の七情には愛・悪・慾が入っていて、名前が違うと言っても、結局は同じ事である。医者が“思”と言う中にこの3つも含まれている。この七情は人に備わっているが、賢愚老若すべての人が知らない。大きな過ちのないように常に工夫をしなくてはいけない。とりわけ欲情は七情の根本である。慾とは欲することで、自分の心身に適したことなら、ぜひとも遂げたい意志をいうのだ。
 (中略)愚かな人は、ただ自分が欲することは全て道理に合わない私欲だけであり、無理にでも貪る心が多い。これは人の非常に悪い感情である。
 (中略)老人は気(訳注:体が正常に働くためのエネルギー)が弱く、義理の心が薄くなって欲が深くなる。孝子順孫(父母や祖父母につくす子供)がいて、その身の程よりも多く衣食財宝を献上するといっても、満足することがなく、ただ足りないとだけ思って子や孫に対して怒りを起こすことが多い。これは人倫の道を害するだけでない。元気を消耗して寿命を縮めることである。よく心得て欲を起こしてはいけない。


以上をまとめると、
・悲しみ、特に死別は老人には聞かせない方がいい。
・恐怖の感情も避ける。
・驚くことも避けて、騒がないようにしなくてはいけない。
・欲を抑えることが大事である。
ということです。


次は、体の保養のお話後半です。

老人必用養草11(精神の補養について1)

香月牛山

2020年5月20日(水)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は精神の保養に関する部分の前半を読んでみます。


【原文】
・七情は、医家には喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という。『素問』に出たり。儒家には喜・怒・哀・懼・愛・悪・慾といふ。『礼記』に見えたり。人、此身あれば此情なくんばあらじ。これをほどよくすれば元気めぐりて養となり、節(ほどよき)に過れば此身を害するなり。(中略)老人は気血弱き故に七情の私にかつ事をえず。虚火たかぶりて動きやすし。能々つつしむべき事なり。

・喜びの情は心の司る所なり。人、年老ては気血とぼしくなりて、物毎にただ感情ぶかく、喜しき事を聞ても、うれしなきとて涙を流す。子となり孫となりて、常に老親の前にて物がたりには、天下の太平と国の掟の正しき事と、一門の繁栄、他門のよき事とのみをいひ聞する時は、喜を生じて寿ものぶる心地するなるべし。(中略)『素問』に喜ときは心を傷ると、又喜ときは気緩まるといへり。七情のうちにて、喜ばかりは老人にさまで害をなす事なし。されどもそのよきほどはあるべき事なり。


・怒りの情は肝の主る所なり。年老ては陰血涸て孤陽ひとりたかぶりて、ややもすれば怒やすし。孝子順孫ありといへども、心にかなふ事なく、倭俗の諺にいふがごとく「隠居ひがみ」とやらんにて、何かにつれて不足のみをいひ出て、親子の中もむつまじからぬ類おほし。子としては随分をのれをつくして孝をつとめて、怒をおこさぬやうにすべし。(中略)『素問』に 「怒ては肝を傷る」、又「怒ときは気上る」といへり。


・憂の情は肺の主る所なり。年老ては気とぼしくなるによりて、身の憂、子孫の憂はさらなり。他人の憂を聞だにも心よからず。老後その身も康寧にして、子供に病患もなく、生別死別の憂もなければ、天年の寿命よりも生のぶる心地するなり。如斯(かくのごとく)の幸なる人は、上寿をもたもつべきに、一両年の間に子孫にあやしき変災など出来て憂事打つづく時は、俄に老衰して死する類おほし。(中略)『素問』に「憂ては肺を傷る」、又「憂るときは気聚る」といへり。

・思の情は脾の主る所なり。年老ては気とぼしく、物を思慮する事よろしからず。『素問』にも「思ときは気結る」といへり。文学など好む人も詩賦文章などをふかく思惟すべからず。


【訳文】
・七情は、医師は、喜び、怒り、憂い、思い悩み、悲しみ、恐れ、驚きという。『素問』に書いてある。儒家は、喜び、怒り、哀しみ、懼れ、愛、悪み、慾という。『礼記』に書いてある。人は体があれば感情がないわけがない。ほどよく感情を表すことで元気が巡って体を養うが、過度になると体を害する。(中略)老人は気血が弱いので感情を抑えることができない。虚火がたかぶって症状が出やすい。よく慎まないといけない。

・喜びの感情は心が司る所である。人は年老いると気血が少なくなって、何かあるごとに感情が大きく、喜ばし事を聞くと、うれしなきと涙を流す。子や孫が、常に老親の前で話すには、世間の平和と国の決まり事のただしさと、一族の繁栄、そのほかよいことだけを言い聞かせれば、喜びが生じて寿命も延びる心地がする。(中略)『素問』に喜ぶときは心を傷つける、また喜ぶときは気が緩まるという。七情のうちでは、喜だけは老人にそこまで害をなすことはない。そうではあるが、程度をわきまえるべきだ。

・怒りの感情は肝が主る所である。年老いると、体の水分や血液が涸れて少なくなり、体の機能だけがたかぶって、少しのことで怒りやすい。孝子順孫(父母や祖父母につくす子供)がいても、心に沿うことがなく、俗に言うような「隠居ひがみ」のように、何かにつけて不満だけを言い、親子の仲も疎遠となるものが多い。子供としてはずいぶんと身を尽くして孝行につとめ、怒りが起きぬようにする。(中略)『素問』に「怒ると肝を傷つける」、また「怒ると気が上る」という。

・憂いの感情は肺が主る所である。年老いると元気が減るにつれて、体の心配、家系の心配はさらに高まる。他人の心配を聞くことさえ心によろしくない。老後に体も健康で、子供に病気もなく、生き別れ死に別れの心配もなければ、天から授けられた寿命よりも生きのびる心地がする。このような幸せな人は、百歳でも生きられるはずだが、1,2年の間に子や孫におかしな災いなどが起こり、憂い事が続くなら、突然、老衰して死んでしまうものが多い。

・思い悩む感情は脾が主る所である。年老いると気が減るので、物事を深く考え込むことはよくない。『素問』にも「思い悩むと気が結ぼる」という。文学などを好む人も詩や歌、文章を深く考え込んではいけない。


以上をまとめると、
・感情を発散させすぎるのはいけない。適度に感情豊かに。
・喜びはほどほどであれば心と体によい。
・老人は少しのことで怒りやすくなる。怒ると気が頭に上る。
・心配事が続くと、急に心身が衰えて死ぬことがある。
・年老いてからは、考え事もほどほどに。


次は、精神の保養のお話後半です。

老人必用養草10(起床と就寝について)

香月牛山

2020年3月23日(月)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は起床と就寝、食後に関する部分を読んでみます。


【原文】
・『千金方』に「春は晏く臥て早く起る事を欲す。夏と秋とは夜を侵してすなはち臥し、早く起る事を欲す。冬は早く臥て晏く起る事を欲す。皆、人に益あり。早く起るといふとも、鶏明の前に在事なかれ。晏く起るといふとも、日出の後に在事なかれ。冬月忽に大熱の時あり。夏月忽大涼の時あり。みな此不正の気なり。これを受る事なかれ」といへり。老人は気血ともに薄し。此法にしたがって保養する時は、四時の気令の風寒暑湿の邪に犯さるる事をまぬがるべきなり。

・(中略)老人は何のなす事もなければ、朝に起て上にいふ所のごとく、手洗ひ、口そそぎて、東南の陽気をうけて坐し、香を焼て静座し、善事を思て悪念をなみし、気息を調へ呼吸をかずまへ、しばらくあつて朝飯を食し、酒を嗜む人は微酔にのみ、牙枝ヨウジをもて歯の間の食穢をさり、口を漱で端座すべし。老人は食後にかならず眠の生ずるものなれば、何にても己が好所のことなどにまぎれて眠る事なかれ。半時ばかり過て杖にたすけられて小庭などを歩行して食気をめぐらすべし。


・極老の人、庭の歩行も物うきほどならば、人に手をひかれ、座中を百歩ほどすべし。少く労動すべし。大に疲れ堪がたき事をしゐてなす事なかれ。古人保養の説に、「流水不腐、戸枢不蠧」とて、少く動く時は気めぐりて滞らず。動かざるときはとどこほるなり。滞るときは病となる。古人は薬を服する時は、野に出で歩行して薬気をめぐらすなり。これを行薬といふなり。能々心得べき事なり。



【訳文】
・『千金方』に「春は遅くに寝て早く起きる。夏と秋は夜遅くに寝て、早く起きる。冬は早く寝て遅く起きる。これら全て、よいことである。ただし、早く起きると言っても、鶏が鳴く前に起きてはいけない。遅く起きると言っても、日の出後に起きてはいけない。冬の間に急に温かい日があり、夏の間に急に涼しい日がある。全て不正の気である。この気を受けないようにしなくてはいけない」とある。老人は気血がどちらも少ない。この方法にしたがって保養すると、一年の風寒暑湿の邪で体をこわすのを避けられる。


・(中略)老人は何もやる事がないので、朝起きて上述したように、手を洗い、うがいをして、南東の温かな日差しを受け、香を焚いて静かに座り、良い事を考えて悪い考えを払いのけ、呼吸を数え、しばらくしてから朝食を食べ、酒を嗜む人はほろ酔い程度に飲み、楊枝で歯の間の食べかすをとり、口をすすいで正座するのがよい。老人は食後に必ず眠気が生じるものなので、何でも自分が好きな事をして寝てはいけない。1時間ほど過ぎてから杖をついて小庭などを歩いて食事の滞りを巡らすのが良い。


・歳をとっている人で、庭を歩くのもままならないなら、人に手を引いてもらい、座敷の中を百歩ほど歩く。少しだけ動くのがよい。大いに疲れて辛抱しづらいことを強いてすることはないように。古人の保養の説に「流水は腐らず、戸の蝶番は虫に食われない」といって、少し動くことで気がめぐって滞らない。動かないと滞る。滞れば病気になる。古人は薬を飲むときには、屋外へ出て歩いて薬の気をめぐらせる。これを行薬という。よく心得るべき事である。



以上をまとめると、
・春は遅寝早起き、夏と秋は遅寝早起き、冬は早寝遅起き。ただし、早くても鶏がなく(午前4時か少し前頃)より前に起きてはいけないし、遅くても日の出後に起きるのもいけない。
・食後は眠らないようにして、1時間ほど過ぎてから庭を歩いて胃に溜まった食事をながす。
・食後に疲れるほど動くのはよくなくて、少しだけ動くのが肝要。


次は、精神の保養のお話です。

老人必用養草9(季節の養生について)

香月牛山

2020年2月14日(金)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は「四時の保養の説(季節ごとの養生)」の中の秋、冬に関する部分を読んでみます。


【原文】
・秋三月を『素問』に「容平」といひて、陰升り陽降りて、万物みな収斂の気にあひて、万の花実も形容をなして、平かに定るの時なれば、蚤くふして初寒をさけ、鶏と共にはやく起て、新に爽なる気にしたがふべし。これ収を養ふの道なり。老人は気血ともに弱く、元気とぼしければ、この時つつしまざれば、初寒の気にあてらるるものなり。夏の炎熱たかぶり極りて、俄に秋降の陰気に変ずれば、陽と陰との入替る時にして、寒露たちまち霜に結び、新冷の気行るるによりて、人の肺気を破る。老人かならず此時気に犯されやすし。能々つつしむべき時なり。

・冬三月を『素問』に「閉蔵」といひて、万物みなおさまりかくるるの時にして、人もこれにのつとりて蚤く臥し、おそく起、日の光をまち、寒をさけ、温につき、志をして伏するがごとく、静にして、みだりに動事を禁ずるなり。これ蔵を養ふの為なるべし。老人は気血ともにうすければ、四時の内、冬月の寒気尤犯しやすし能々つつしみ守るべき也。

・冬月、老人の座席は、障子をさしまはし、屏風など引かこひて、衾炉をまふけて圃団をしきて在しむべし。『千金方』にも「冬月の居止の室は密を用べし。細隙あらしむべからず。風気入る事あらば、急々にすきまを塞ぐべし。かくのごときの風寒の入来る所ならば、速やかに避べし。しゐて座すべからず。中風の病を生ず」といへり。誠にさある事なり。あらはに出て風寒にあたりたるよりは、すき間の些少の賊風には犯されやすきものなり。冬月の老人の座席心を用てしつらふべき事なり。

・冬月老人の寝る所は猶更すきまのなきやうに、戸障子をさし、屏風を引かこひ、床には毛ある皮の圃団をしきて、其上に絹の圃団を二重三重ほど敷て臥しめて、上の夜着ひとつは絹を用ゆべし。その上に紙子の夜着を着すべし。重からずして寒を防ぐなり。下に圃団をあまたしけば、上にはあつく着ずといへども温なるものなり。

・老人は寒暑ともに堪がたきといへども、暑にいたむよりも寒にいたむ物おほし。いにしへよりの名人達の天年をたもちえて、その終をとりたるときくに、おほくは冬春の間の寒気さかんなる時なり。(中略)しかれば老人は、寒気の時をおそれつつしみて、保養を加ふべき事なり。


【訳文】
・秋の三か月を『素問ソモン』では「容平ヨウヘイ」と言って、陰が昇り、陽が降りて、万物全てが収まり縮む気にあって、全ての果実も形作り、平らかに定まる時なので、早く寝て寒さを避け、鶏と共に早く起きて、新しく爽やかな空気に従うのが良い。これが収を養う方法である。老人は気血ともに弱く、元気が少ないので、この時に節制しなければ、初寒の気にあてられる。夏の暑さが極まり、急に秋の陰気に変化するので、陽と陰の入れ替わる時であり、露が霜になり、新たな冷気がめぐり、人の肺気を損なう。老人は必ずこの時期の気に犯されやすい。よく節制するべき時である。

・冬の三か月を『素問』では「閉蔵ヘイゾウ」と言って、万物全てが納まり隠れる時であり、人もこれに則って早く寝て遅く起き、日が出てくるのを待ち、寒を避けて暖をとり、志を持ちながらじっと耐えるように、静かにして、やたらと動くことを禁じる。これは蔵を養う為である。老人は気血ともに少ないので、4つの季節の内、冬の寒気にもっとも侵されやすいため、よく節制して守るべきである。

・冬は、老人の座席は、障子を向け、屏風などで囲って、炉を設えて布団を敷くのがよい。『千金方』にも「冬月の居間は気密にする。細かな隙間もあってはならない。すきま風が入れば、すぐに隙間を塞ぐ。このような風寒の入る所であれば、すぐに場所を移動する。無理に座っていてはいけない。中風の病を生じる。」という。誠にその通りである。表に出て風寒にあたるより、隙間の少しの風には犯されやすいものである。

・冬に老人の寝る所は猶更隙間がないように、戸障子をさし、屏風で囲い、床には毛がある皮の布団を敷いて、其の上に絹の布団を二重三重に敷いて横になり、上の夜着ひとつは絹を用いて、その上に紙子の夜着を着る。こうすることで重くなく、寒を防げる。下に布団をたくさん敷けば、上に厚く布団をかけなくても温かいものである。

・老人は寒さも暑さも堪えがたいと言っても、暑さより寒さで体を壊すものが多い。古来から賢人たちが寿命を全うしてその終わりを遂げたのを聞くと、多くは冬と春の間の寒気が盛んな時である。(中略)それなので、老人は寒気が盛んになる時を恐れつつしんで、養生をするべきである。


以上をまとめると、
秋は、早寝早起きをして、新鮮な空気を吸い込むのがよい。
冬は、早く寝て遅く起き、陽が出てから行動するが、やたらと活発に動いてはいけない。すきま風には十分注意して、入らないように、当たらないように工夫する。布団は下にたくさん敷いて、掛布団は少なめにする。とにかく、寒さに注意して過ごす。
ということです。

次は、起床時と就寝時のお話です。

老人必用養草8(季節の養生について)

香月牛山

2020年1月9日(木)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は「四時の保養の説(季節ごとの養生)」の中の春、夏に関する部分を読んでみます。


【原文】
・春三月の時を『素問』に「発陳」といひて、故をひらき新に従ふ時なれば、「蚤に起て、広く庭に歩て、形を緩す」とあり。しかれども、正二月の間は、いまだ余寒烈しければ、老人はおそく起て寒を恐れて庭に出る事なかれ。三月の初つかたよりは、漸々に陽気さかんにして天気和暖なり。此時に至りては、老人も蚤に起て広く庭を歩行し、草木の芽の舒長して青々たる嬾葉を見て心を和楽にすべし。これ春の気に相応するの事にして、生を養ふの為にかなふなるべし。

・夏三月を『素問』に「蕃秀」と云て、陽気の盛んなる事極り、葉物みな茂り秀る時なれば、蚤に起て長日を惰る事なく、志をして怒る事なからしめよ。怒ときは、肝木の気逆上して脾土をやぶる。「これ夏の時長を養ふの為なり」といへり。ことに老人は虚火たかぶりて怒やすし。つつしむべき事なり。

・夏のときは極熱にして万の物みな損じやすき也。此とき老人は飲食をつつしみ、脾胃を養ふべし。極熱の時は、甜瓜、西瓜、冷麺、葛の水線、菉豆の麺條など少食ふときは、熱を解して快し。おほく食する事なかれ。夏月は伏陰内にありとて、人の臓腑かへつて冷る時なれば、上にいふ所の冷物脾胃をやぶるなり。少き食ふときは、暑気を払ひてよし。おほく食ふ時は損有。能々心得べき事なり。

・暑熱の時、高貴の人、富ある人は、涼台や水館とて、陰木のもとに楼閣をかまへ、水上にかけ作して鈎殿をもうけ、涼を納るの便とする類おほし。貧しき人もその程々にしたがひて、木の枝に竹木を架し、床をなして、涼み棚などいひて涼を納る事なり。(中略)老人かくのごときの所に長居をすれば、おぼえず元気耗散し、水湿の気にうたれ、冷気透りて病を生ず。


【訳文】
・春の三か月を『素問ソモン』では「発陳ハッチン」と言って、古く固まったものを去って新しいものに従う時なので、「早く起きて庭を広く歩き、体をほぐす」とある。しかし、1月2月の間は、まだ余寒が激しいので、老人は遅くに起きて冷えを避けて庭に出ない方がよい。三月の初めからは、だんだんと陽気が増え天気が和やかで暖かい。この時になったら、老人も早く起きて庭を広く散歩し、草木の芽が伸びているところや、青い若葉を見て、心を穏やかにする。これが春の季節に応じることで、命を養うために適していることである。

・夏の三か月を『素問』では「蕃秀バンシュウ」と言って、陽気が極めて盛んで、草木の葉は全てよく茂る時なので、朝早くに起きて日を怠惰に過ごさず、志をもって怒らないようにしないといけない。怒ると、肝木の気が逆上して脾土を傷つける。「これ夏の日長を養うためである」という。特に老人は陰が少なく、虚火が昂って怒りやすい。注意すべき事である。

・夏は極めて暑く、全ての物が傷つきやすい。この時分には老人は飲食を節制し、胃腸を養う。極めて暑い時は、まくわうり、すいか、冷や麦、葛切り、緑豆の麺などを少し食べることで、熱を冷まして快くなる。たくさん食べてはいけない。夏は伏陰が内にあり、人の臓腑はかえって冷えるときなので、上に言う冷えた物は胃腸を傷つける。少し食べるときは暑気を払ってよい。多く食べると体を損なう。よく心得るべき事である。

・暑い時、身分の高い人や、お金のある人は、涼台や水館といって、木陰に楼閣を構え、水上にかけて鈎殿をつくり、涼をとることが多い。貧しい人もその程度にしたがって、木の枝に竹をかけ、床をつくり、涼み棚などといって涼をとる。(中略)老人はこのような所に長居すると、知らぬ間に元気が消耗し、水湿の気に侵され、冷気が体に侵入して病を生じる。


以上をまとめると、
春は、まだ寒い内は冷気にあたらないようにして、3月の初めごろ、暖かくなってから身体を動かしてほぐすようにする。
夏は、朝早くから起きて、冷えたものはあまり食べ過ぎないようにする。水辺や木陰で長く過ごしたり、夜まで過ごしたりすると、水湿に侵されて病気を生じるので、そういった場所にはあまり長居してはいけないということです。

次は、秋、冬の養生のお話です。

老人必用養草7(住まいについて)

香月牛山

2019年11月28日(木)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は、以前に紹介した『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』の香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は住居に関する部分を読んでみます。


【原文】
・老人の居所は南東をうけて陽気の方に向ふべし。南東の方は夏は涼しく、冬は温なるものなり。家作り、はれやかにして、床を高くし、下より湿気のあがらぬやうにしつらふべきなり。老人は常に気鬱しやすければ、はれやかにして、日もうらうらとさしわたり、春夏の夜は、月も座中にさし入ほどにかまへなすべし。埋れたる住居欝としき事をなすべからず。

・老人は気血弱く真気とぼしきによりて万事におどろきやすし。ここを以て老人の居所は、その屋鋪の中央に作りて、四方より物躁き音などの聞えぬやうにすべし。張思叔のこと葉に「居所は正静なるべし」とあれば、此心をもて家作りをすべき事也。

・老人常に座する所、冬は綿の入たる圃団をしきて、後に坐彔やうの物を置て、もたれて盤座すべし。常に平臥を好むべからず。前には脇息を置てよりそひ、或は禅板助老にて頤を支て静にして気息を調ふべし。如意(倭俗のいふ所の孫の手の事なり)など持て、身の痒き所をかくの便とすべし。夏月といふとも、あはせの圃団か又は毛織の類、氈などしきて坐すべきなり。畳の上、或は板敷の上に直に坐する事なかれ。もとより高貴の人の御座には褥をふくる事なればいふにおよばず。貧き人とても保養の事なれば、奢、栄耀といふにはあらじ。(後略)

・老人の居所の小庭は広からずして草花を植て、天気和暖の日は、庭に出てみづから花の芽をそだて、竹をたすけて生々のすがたを愛するときは、欝滞の気を散じて、老の保養これに過たる事有べからず。しかれども、しゐて花木に心を用過して、手づからみづから培ひなどする事はよろしからず。その上、糞汁などの穢しき臭を小庭のうちに入べからず。老人の気弱き此臭気にうたれて病を生ずる類多し。ただ花闘はしむるの志より発りて、保養の為をもやぶり、いたづらに財を費す。


【訳文】
・老人の住まいは南東の陽気の多い方へ向けるのがよい。南東は夏は涼しく、冬は暖かいものだ。家のつくりは晴れやかに、床を高くして、下から湿気が上がらないように設えるべきである。老人は常に気が滞りやすいので、晴れやかにして日が穏やかにさしこみ、春夏の夜は月の光も座敷の中まで差し込むように構えるのがよい。鬱々とした住まいにしてはならない。

・老人は気血が不足し、正気も少ないのでいろいろなことに驚きやすい。なので、老人の部屋は家の中央に作り、周りからの騒音が聞こえないようにしなければいけない。張思叔の言葉に「居所は正しく静かでなければいけない」とあるので、これを心得て家づくりをすべきである。

・老人が常に座る場所は、冬は綿入りの座布団を敷き、後ろに背もたれのようなものを置いて、もたれてすわる。いつも横になっていてはいけない。前には脇息をおいて寄りかかるか、或は禅板助老で顎を支えて静かに呼吸を調える。孫の手などを置いて、体の痒い所を掻くのを助ける。夏であっても、合わせの布団か毛織の類、敷物などを敷いて座る。畳の上や板敷の上に直に座ってはいけない。もともと身分の高い人の座席には敷物を敷くことは言うまでもない。貧しい人であっても、保養のためなので、奢りや贅沢というものではない。(後略)

・老人の住まいの庭は広くせず、植物を植え、天気がよい日は庭に出て自ら花の芽を育て、竹を育てて活き活きした姿を愛でれば、鬱滞した気分が晴れるので、保養にはこれ以上のことはない。しかし、強いて植物に心をつかい過ぎて、自分の手で土いじりなどをするのはよくない。その上、糞汁など肥やしの汚らわしい臭いを庭の中にいれてはいけない。老人の気は弱く、この臭気に侵されて病気になることが多い。ただ花の良さを競う考えが起こって、保養の為というのをないがしろにして、いたずらにお金を使う。


以上をまとめると、
老人は気が滞りやすいという特徴があるので、気が晴れやかになるように、光が差し込むようにして、庭にいろんな植物を育てて、気が鬱しないようにしないといけない。また、気が不足するので驚きやすく、騒音に悩むことのない部屋にする。気が不足するため冷えにも影響されやすいので、座るところには夏でも綿入りの座布団を敷く。人と競う心を起こすのは老人にはよくない。
ということです。

次は季節に応じた養生のお話です。

豊かで艶やかな髪でいるために♪

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2019年11月18日(月)

漢方では「髪は血の余り」と言われます。
「血」は体を潤す他、体や心の栄養分でもあります。
そしてその栄養分が体のすみずみまで運ばれていきます。
ところが、栄養分である「血」の不足や「血」をすみずみまで届ける力、巡らす力などが弱いと髪にまで栄養分が届かず、髪が抜ける、細くなる、ツヤ、ハリ、コシがなくなる、パサつく、白髪などの原因になることがあります。
また、女性は月経でもたくさんの血が使われ、どうしても「血」が不足しがちになりやすいのです。
また産前、産後など髪のお悩みが増えるのも、お腹にいる赤ちゃんに優先で「血」が届けられ、お母さんは後回しになってしまったせいかもしれません。
また母乳は「血」から作られるので、産後は体をしっかり休めるとともに、栄養分である「血」を補ってあげることが大切になってきます。
「血」を補い、巡らすことで、すみずみまで「血」が行きわたり、髪はもちろんのこと、冷えにも効果的なのです。
「血」を補い、巡りを良くしてあげることは、これから寒くなる季節、冷え性の方にもオススメです。

また漢方では「腎」は「髪」につながっていると考えられています。その「腎」が加齢などで弱ってくると脱毛、白髪、ハリ、ツヤ、コシがなくなるなど髪にも影響を与えます。

例えば、以前もご紹介しました「瓊玉膏」は「腎」に働きかけ、中から潤いを与え、髪も艶やかにさせる働きがあります。

年齢を重ねた髪のお悩みにもお勧めいたします。髪だけではなく、お肌も潤い、体も若々しくなります。

「血」と「腎」を同時にケアすることは、さらに効果的です。

漢方薬は苦くて飲みにくいと不安の方にもおすすめの、飲みやすく、美味しい漢方薬もあります。
試飲もできますので、お気軽にご相談ください。

老人必用養草6(衣服について)

香月牛山

2019年10月19日(土)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
 この本は、以前に紹介した『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』の香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
 老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

  今日は衣服に関する部分を読んでみます。

【原文】
・人の子の老たる親をやしなふや、夏は清しく冬は温にするにあり。是飲食の養ひにさしつづきたる事なるべし。『礼記』にも「衣の燠寒をとふ」と見へたり。老ては血気薄くして寒気に堪がたく、皮膚の気弱き故に風寒犯しやすし。又暑熱の邪も透やすし。ここを以て寒暑共に堪がたくしてものうし。

・孫真人の説に「人の衣服、夏月も涼しくしすぐすべからず。冬月とても温過べからず。」とあれば、その人々により寒温の中分あるべき事なり。しかれども老人は冬月には衣を厚く重ね過たるほどは、よきなり。衣薄ければ、気血とぼしき故に寒にあたりやすし。さはいへど、あまり厚くしすぎて汗など出ることは悪し。夏月暑とても衣を脱、肩をぬぐ事なかれ。枕席を扇ぎ過すべからず。裾をまくりて下部を清しくすべからず。寒暑にしたがつて心を用ひ、衣服の寒温を定むべき事也。

・老人寒気甚き時に衣服を着替事しばしばすべからず。やむ事をえずして着がゆる時は、あらかじめ衾炉(きんろ)にかけてあたためて着べし。衾炉にかくるときに、圃団を二つかけて、二つの中に衣服をかけて温むべし。直に火にてあぶりたる衣服を着すべからず。元気をやぶるなり。もとより冷えたる衣服そのまま着すべからず。


【訳文】
・子供が老いた親を養うには、夏は涼しく、冬は温かくする。これは飲食の養生に続くことである。『礼記』にも「衣服の寒温を問う」とある。老いると気血が少なくなり、寒気に堪えがたく、皮膚の気が弱いので風寒の邪が体に侵入しやすい。また、暑熱の邪も皮膚を通って体に侵入しやすい。なので寒暑どちらも堪えがたく、つらいものだ。

・孫真人の説に「人の衣服は夏も涼しくし過ぎてはいけない。冬も温かくし過ぎてはいけない。」とあるのは、その人その人によって寒温のちょうどよいところがあるということだ。だが、老人は冬には服を厚く重ね着し過ぎるくらいがよい。薄着だと、気血が少ないので寒にあたりやすい。そうは言っても、あまり厚くしすぎて汗が出るのは悪い。夏に暑いといっても、服を脱ぎ、肩をだしてはいけない。寝ているときに扇ぎ過ぎてはいけない。裾をまくって体の下を涼しくしてはいけない。気候の寒い暑いにしたがって、よく注意して服を決めることだ。

・老人が寒気が甚だしい時に服を何度も着替えてはいけない。やむを得ず着替えるときは、あらかじめコタツにかけて温めて着るべきだ。コタツに布団を二つかけて、その二つの布団の間に服を入れて温めるのがよい。直に火で温めた服を着てはならない。元気を消耗する。もちろん、冷えた服をそのまま着るのはいけない。


 人は歳をとると、気(体のエネルギー)も、血(筋肉や脂肪、体の水分)も少なくなるので、気候や気温の影響を受けやすくなります。すぐに風邪をひき、熱中症にもなりやすくなります。
 また、影響を受けやすいというのは、気温だけでなく、服の影響も受けやすいということです。夏も服を脱いだり、肩を出すのはよくなく、基本的に若い人より厚着の方がいいですが、厚着しすぎて汗をかくと、汗と一緒に気も漏れ出ていくので、注意が必要です。
 脚を冷やさないようにすることも重要です。脚が冷えると、脚から戻る血液も冷えて、その結果、お腹も冷えてしまいます。お腹が冷えると、消化吸収が悪くなり、ちゃんと栄養を吸収できず、体力が低下したり、下痢したり腹痛が起こる事もあります。
 冬に着替えるときは、冷えた服をそのまま着ずに、服を温めてから着るように気を付けてください。

 以上のことをまとめると、薄着はやめて、汗が出ない程度に厚着をするように心がけるようにと注意しています。

 次は家のお話です。

更年期のお悩み、お気軽にご相談ください。

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2019年9月7日(土)

なんだか調子が悪い。眠れない。気持ちが滅入る。涙が出てくる。車窓に映る疲れた顔にびっくり。
鏡を見てげんなり。お化粧も楽しくない。冷えてるかと思ったら、顔から急に汗が噴き出す。
自律神経の乱れから出ている症状かもしれません。

更年期
一般的には閉経前後5年間の計10年間をいいます。
卵巣機能低下に伴うエストロゲンの減少によって、自律神経失調を中心としたいろいろな不調が出てくることがあります。
のぼせ、ほてり、発汗、手足の冷え、めまい、頭痛、動悸、倦怠感、抑うつ感、いらいら、興奮しやすい、疲れやすい、めまい、不眠 腰痛、肩こり、乾燥感、かゆみなどの様々な症状のお悩みの声を聞きます。
検査をしても卵巣機能低下の以外に問題がない場合、更年期障害を考えます。

一般的に
ホルモン補充療法(HRT):エストロゲン、黄体ホルモンを補う
向精神薬:抗うつ薬、抗不安薬など
を使った薬物療法も行われています。

また20代、30代でも更年期のような症状に悩まされている方もいらっしゃいます。
「若年性更年期障害」といわれるもので、食生活の乱れ、ストレス、急激なダイエットなどから起きることがあり、ほっておくと生理不順や不妊などの原因になることもあります。
生活習慣の改善とともに、漢方で乱れた体のバランスを整え体質改善していきましょう。

漢方薬は、更年期などのつらい症状、不調にとても効果的です。
西洋薬と併用される方もいらっしゃいます。
カウンセリングでは、お悩みをお聞きする中で、更年期の不調につながる生活習慣、背景などもご一緒に考え、少しでも、心やからだのご負担を軽くして、笑顔になって帰っていただけるように生活改善方法なども合わせてお話しさせていただきます。
ゆっくり、安心してご相談くださいませ。

人生100年時代と言われています。そう考えると更年期はまだまだ折り返し地点です。
その後もますます元気に、生き生きと過ごせるように漢方、養生生活を始めませんか。

取材を受けました

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2019年9月2日(月)

「北区ドットコム」さんから取材を受けました。
北区ドットコムは、ママ向けのお店やサービスを紹介するサイトで、大阪市北区の美容、カフェ、育児などに関する情報がたくさんあります。
ママ記者の方がかわいいお子さんと一緒にいらっしゃいました。
体質相談を通じて、ハレノヴァを知っていただき、記事にしてくださったので、ぜひご覧ください↓↓

https://dch-osaka.com/kitaku/halenova/

老人必用養草5(飲食について:茶・たばこ)

香月牛山

2019年8月26日(月)

 引き続き、『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
 この本は、以前に紹介した『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』の香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
 老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

  今日は食養生の最後、お茶とたばこの部分を読んでみます。

【原文】
・茶は老人のもてあそび物にして、人によりては、朝茶とて空腹より飲む人おほし。性、冷にして人の津液をもらし、腎精をへらす。よろしき物にあらず。されども常に食後に少しく飲ときは、食毒を消し、気を下し、眼を明らかにするの徳あり。厚味の人は老人の気血薄き人も少く飲ときは益あり。
 煎茶、輾茶ともにその人のすきにまかすべし。老人は濃茶を夜に入て飲べからず。気を下すによりて目をさまして眠る事をえず。いとど老の寝覚を催し、しばしば小便を通じて其害甚し。能々心得べき事なり。

・〈前略〉此烟草の性、石匏氏が説所「胸の中の痞、痰の塞を通じ、経絡の結滞を開き、寒湿の痺を治する」といへり。これその効能をほめたる也。又その毒を弁ずるには、「烟気胃中に入て気道頓にひらけ、偏身共に快に似たれ共、火と元気と両ながらたたず。人の元気、此邪火に堪えがたし。終日薫灼するの勢かならず真元の気をやぶり、陰血日々に涸て、暗に天年を損ずれ共、人これをおぼえず」といへり。
 しかれば老人の陰血涸て元気薄きもの、此邪火に堪べけんや。〈後略〉

【訳文】
・茶は老人が好む物で、人によっては朝茶と言って、空腹なうちに飲む人が多い。茶の性質は冷で、人の水分を排出し、生命の源を減らす。よい物ではない。けれどいつも食後に少し飲むだけなら、食事の毒を消し、上に昇った気を下げ、眼をはっきりさせる効果がある。味の濃いものを食べる人なら、老人で気血が少ない人も少しだけ飲むときは利点がある。
 煎茶、碾茶どちらでもその人の好みにまかせればよい。老人は濃い茶を夜になってから飲むのは良くない。気が下がり目がさえて眠る事ができない。ますます老人の目覚めを促して、よく小便を通じて害が多い。よく覚えておくべきことである。

・〈前略〉たばこの性質について、石匏(せきほう)氏は「胸の痞え、痰の塞がりを通じ、経絡の滞りを開き、寒湿によるしびれを治す」という。これはたばこの効能をほめている。また、たばこの毒を論じるには、「けむりが体内に入って気道を急に開けて、全身が心地よく思えるが、火と元気は両立しない。人の元気は邪火に堪えがたい。一日中けむりで薫じていると、かならず体の元気を消耗し、水分や血が日に日に枯れていき、天から授けられた寿命を損なうが、当人はこれを知らない」という。
 なので、体の血や水分が少なくなって元気がない老人は、邪火に堪えられられない。


 人は歳をとると、体の水分が無くなっていくため、利尿作用のあるお茶を多く飲むのを戒めているのだと思います。ただし、血の流れを良くする作用、頭に昇った気を下げる作用、覚醒作用があるので、食事による血の滞りを消し、気が昇って起こる頭痛を除き、眼をはっきりさせる効果があります。
 また、体を冷やす性質から、胃腸も冷えるため、消化吸収能力が落ちます。消化吸収が悪い痩せた人などはあまりたくさんは飲まない方がいいです。

 たばこの効能については、気分が良くなり、気が巡って起こる効果なのでしょうか。ニコチンによって、血管収縮と心拍数の増加が起こり、一時的に血流が良くなるからかもしれません。ハッキリとわからない部分です。
 ただ、長期的にはけむりが火の性質をもつ病邪として、元気を消耗するとあります。たばこによって体の水分や血が枯れていくというのも、肺の潤いがなくなれば、痰がたまりやすくなり、血が枯れていくと血流が悪くなり、脳梗塞などにつながることから理解できます。やっぱり、たばこは、体に悪い効果があることは確かです。

 さて、今回で食養生の部分は終わりです。
 次は衣服のお話です。

漢方薬局ハレノヴァってどんな感じなのかしら?

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2019年7月26日(金)

初めてご来店いただく時は、少し緊張して入って来られますが、すぐにリラックスしていただけるようです。
まずは、ハレノヴァオリジナルのお茶で一息ついていただきます。季節に合わせたお茶で、とても好評をいただいています。
そして落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりとご相談いただけます。

たとえば、「月経前になるとなんだか不調になる。」
そんなお悩みはありませんか?

イライラ、怒りっぽくなる、落ち込みやすくなる、眠れない、憂うつ、食べ過ぎてしまう、頭痛、肩こり、乳房が張って痛む、顔や手足がむくむ、便秘、下痢など……。

これらの月経前3~10日の間に起こる不調、心やからだの症状のことを、月経前症候群(PMS)と言います。
多くの方は何らかの症状があるといわれ、中には日常生活に支障をきたす方もいらっしゃいます。
ストレスも関係していることも多いのです。

これらは、漢方でいう「気」「血」「水」の過不足や巡りなどが悪くなることや、また「肝」「腎」「脾」のはたらきが関係していると言われています。

また、月経痛、月経に関するお悩みなども含め、なかなか周りにわかってもらえないつらさもあると思います。
おひとりでつらい不調を抱え込まずに、ぜひご相談ください。
しっかりとお話しをうかがい、おひとりおひとりに合った漢方薬や養生法を提案させていただきます。

その他お薬だけではなく、「自分の体質ってどんなタイプ? 体質相談」(1回:1,080円)も行っています。

お気軽にお立ち寄りください。
ご相談、体質相談には1時間ほどお時間をいただきます。
ご予約いただくと、お待ちいただくことなく、ご相談いただけますよ。

老人必用養草4(飲食について:麺類・酒)

香月牛山

2019年7月10日(水)

 引き続き、『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
 この本は、以前に紹介した『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』の香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
 老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

 今日は前回の続きで、食養生の麺類、酒の部分を読んでみます。

【原文】
・『本草』にも「蕎麦を折々食って腸胃の垢を去べし」とあり。厚味の人などは打てかし食ふべし。妨なし。されども老人の陰血よはく、脾血かはきたるに、腸胃の垢を去やうなる物を食ふ事よろしからず。多く食へば泄瀉をなし、或は卒中風を発する者多し。
〈中略〉惣て湿麺の類少く食ふ時は害なし。今の人は湿麺を食ふに、腹に満ざればやまず。故に害をなす事多し。

・酒は人に益あり。陽気をたすけ、血気をやはらげ、食気をめぐらし、腸胃を厚くし、皮膚を潤し、憂をわすれ、胸を発して意を暢て心をたのしましめ、寒湿をさり、悪気をころし、風寒暑湿の気にをかされず。夏は涼しく、冬は寒気をふせぎ、中をあたため、諸の食毒、諸の薬毒を解し、薬の勢をめぐらす。
〈中略〉生まれつきてこれを嗜む老人、つねに少く飲ときは、上にいふ所のごとく其益多し。
〈中略〉老人の気血をやしなふ事、酒にまされる物なし。され共、上戸に生れつきたる人は少飲て楽しむ事をしらず。口腹にかなふ故に、十分にのみて元気をやぶり、脾胃を損じて大病を生ず。壮年の人だも過酒すれば身をそこなふ。いはんや老人の気血うすき、此はげしき純陽の気に堪べけんや。
〈中略〉その人の酒量よりもひかへめに飲事をしるべし。ひかへ過すとおもはば、よきほどよりも過ぐべし。よきほどとおもはば、いつにても分量よりは過べし。能々心得べき事なり。

【訳文】
・『本草綱目』にも「蕎麦をときどき食べて胃腸の垢(あか)を取るのがよい」とある。濃い味を好む人は自分でそばを打って食べるのがよい。体に障ることはない。しかし、老人の陰血(体をつくっている細胞など)は弱く、脾血(消化器を巡る血)が少ないので、胃腸の垢を去るようなものを食べるのはよくない。多く食べれば、下痢をするか、或いは脳卒中になるものが多い。
〈中略〉湿麺(うどん、そうめん、そばなど)は全て、少しだけ食べるなら害はない。今の人は湿麺を食べるときは、腹いっぱいになるまで食べるのをやめない。なので害となることが多い。

・酒は人によいことがある。陽気(体の熱やエネルギー)のはたらきを助け、気血の循環をよくし、食欲や消化のはたらきをよくし、胃腸を丈夫にし、皮膚を潤し、気にかかることを忘れさせ、胸のわだかまりを発散して、心をのびのびとさせて楽しませ、体の冷えや水を去り、体外からの邪気を殺し、気候や気温などの外からの刺激で体をこわさないようにする。夏は体を涼しくさせ、冬は冷えを防ぎ、胃腸を温めて、様々な食べ物の毒、様々な薬の毒を消し、薬効を体にめぐらせる。
〈中略〉元来、酒をたしなむ老人は、少ない量を飲むなら、さきに言ったような利益が多い。
〈中略〉老人の気血を養うには酒より良いものはない。しかし、大酒家に生まれた人は少なく飲んで楽しむということを知らない。おいしいからと、たくさん飲んで元気を損ない、胃腸を悪くして大病を生じる。まだ若い人も量を過ぎれば体を害する。言うまでもなく、老人のように体力が衰えてるものは、激しい純陽の気に(体の機能を亢進させるだけで栄養とならないので)体が耐えられない。
〈中略〉人それぞれの酒量よりも控えめに飲むことを考えないといけない。控え過ぎていると思えば、適量よりも多いものだ。適量だと思えば、必ず量が多すぎる。よくよく心得るべきことである。


 蕎麦が胃腸の垢を取るというのは、蕎麦は、体を冷やし体にこもった余分な熱をとることと、食物繊維が豊富なことを指すのだと思います。蕎麦は消化しにくいため胃腸が弱い人には適さず、多く食べすぎてはいけません。やはり、ここに書いてある通り、嗜む程度に食べるのがいいのでしょう。
 お酒の効能については、多くの人が実感していることが並べられています。お酒を飲むと血行が良くなり、食欲が増し、気分がよくなるというのはよくわかることです。ただし、「風寒暑湿の気にをかされず(気候や気温などの外からの刺激で体をこわさないようにする)」という効能は一見納得いきません。酒を飲んで冷たい風に当たれば、体が冷えてかぜをひくことがあります。しかし、さらに先を読むと、少ない量ならばという注意があり、合点がいきます。少量なら、前に書いてあるような効能があるのであって、飲みすぎると体への害ばかりになります。
 お酒は適量が大事です。ここに書いてあるように、「多くの場合、控え過ぎと思える量より少ないくらいがちょうどいいということを知らず、適量よりずっと多い量を飲んでしまう」ということを心に留めておかないといけません。
私も飲み過ぎてしまうので、自省の意をこめてこの部分を取り上げました。



 さて、今回見た食養生の部分は、もう少しあり、次回で終わりです。
次はお茶、タバコのお話です。

梅雨も楽しく。

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2019年6月28日(金)

関西はやっと梅雨に入りました。
じめじめ、重だるいという体の反応がでてきやすい時期です。
このような症状を感じやすい方は、からだに余計な水がたまりやすい方が多く見受けられます。

むくみがあったり、お腹がちゃぽちゃぽ鳴るなぁ、天気が悪いと調子が崩れるなぁという方は
余分な水が溜まっている状態です。

一口にむくみといってもそこには様々な原因があります。

ここでまず、その原因を説明する前に
少し簡単に、からだの水巡りの話をします。

口から体の中に取り入れた水は
1吸収(消化管)→2分布(体液)→3排泄(尿や汗)や再吸収
という流れをたどり、体の中を巡っています。

この内のどこかの働きが上手く進まない状態、例えば、
吸収が上手にできない
運動不足などで体を動かせていないため、水も巡らない
尿や汗として体外に水をだすはたらきが上手く行われていないなど、
このような状態が続くと、余分な水は体に溜まりむくみなどがでてきます

その結果、天気の悪い日に頭が痛い、体が重だるいという不調につながっていきます。

取り入れた水分を自分に必要な水としてきちんと利用するために
胃腸の働きを高めることや、からだの水の流れをスムーズにしていくことが必要となります。

すぐにお薬でなくとも日常生活でも改善はできます。

食事の量を減らして胃腸の負担を減らす、
エレベーターをやめて、階段を使って体を動かしてみる
少しマッサージをして寝るなどを取り入れる
ということを日々ちょこちょこ意識してみてください。
どれか1つでかまいません、続けられることが大事になってきます。
続けていくことでじんわりと体の調子は上向きます。
これでうまくいくのがベストです。(お金がかかりません)

また、むくみやすい方は水分補給の際、水よりも
水のめぐりを促す民間のお茶を飲むこともおすすめです。
十薬(どくだみ)、スギナ、はとむぎ、とうもろこしのひげが余分な水をだしてくれます。
(写真は薬局でお出ししている季節のお茶です)

お茶や日々の生活ではイマイチ上向かないし、天気の悪い日ほんまにしんどいなという方には、
しっかり実感できる粉末の漢方薬
(☆おすすめポイント→生薬の粉末100%でできています!)があります。

血液がドロドロになるから、水分はちゃんと摂らないといけないので心がけて飲んでいます。
ときちんと意識されている方も多くいらっしゃいます。
さらに、その水分をしっかり巡らす体づくりを+αで日常に取り入れられると
より健康が維持できるので、ぜひ無理のない範囲で、しっかり体を動かしてください。

「腎」を元気に、美しく年齢を重ねていきませんか?

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2019年6月15日(土)

こんなお悩みの声をよくお聞きします。

40代、50代 60代と年齢を重ねると太りやすくなった。
今までは、少し食事の量を控え、運動すればダイエットできたが、今は体重が落ちない。
それどころかお腹がポッコリ出てきた。

体質的なこと、食事量、内容、食べ方などいろいろな要因はありますが、漢方では年齢を重ねると、「腎」の働きが落ちてくる「腎虚」になりやすくなってきます。
漢方でいう「腎」は発育、老化、ホルモンなどに関係する臓腑。
そのせいで新陳代謝も落ちてくるのです。
「腎」を元気にしてあげることが、大切になってきます。

今回は「腎」をしっかりサポートしてくれる「瓊玉膏」をご紹介いたします。
6種の生薬から作られた滋養成分が、体内を巡って新陳代謝を盛んにし、血行も良くする働きがあります。
冷え症の方にもおすすめです。
飲む美容液とも言われ、お肌もうるおいます。

これから、年を重ねても「腎」をしっかり元気にすることで、健康で美しく過ごしていきませんか。

どうぞお気軽にご相談くださいませ。