前回、正気を強くするためにはどのような方法があるかお話ししました。
では、邪を防ぐ、邪の発生を予防するにはどうすればよいでしょうか。
1,邪を細菌やウイルスとする場合、2,気候や環境とする場合、3,気血水の滞りとする場合に分けて考えてみます。
1,邪を細菌やウイルスとする場合、邪を防ぐには、単純に感染ルートを遮断すればよいだけです。かぜやインフルエンザなどは、うがい、手洗い、マスク。ノロウイルス感染症などは吐瀉物や排泄物の適切な処理。サルモネラやカンピロバクターなどは、食物の加熱調理などが有効です。
2,邪を気候や環境とする場合、環境に対応することと、体の内に気候の邪と同じものを溜めないことが重要です。環境に対応するというのは、猛暑であればクーラーをつける、水浴びをするなど、酷寒であればストーブをつける、温かいものを食べるなど、普段からしていることです。
体の内に邪と同じものを溜めないというのは、西洋医学にはない考え方です。
例えば、雨の降る前や曇りの日に体がだるくなったり、頭が痛くなったり、関節が痛くなる人は、体の内に湿が溜まっています(次に言う水と同じと考えていいのですが、ここでは便宜上こう呼んでおきます)。雨の前や曇りの日には、湿気の邪である湿邪が多くなりますが、体の外にある湿邪に対して、体の内にある湿が反応してしまい、湿の症状が出てしまいます(体の内にある湿に、体の外にある湿が加わって症状が出るという考えでもよいかと思います)。
こういった方は、湿を溜めない食事や生活習慣が必要です。湿を溜めてしまう甘いものを極力少なくする、体を動かして汗や尿として湿を追い出すなど、内の湿を少なくしていけば、気候による影響も少なくなります。
3,邪を気血水の停滞とする場合、気血水それぞれによって対応が違います。
気の停滞(気滞)は、精神的ストレスや運動不足によって起こることが多いです。ストレスをうまく発散したり、全身運動をすることで、気の巡りをよくすることが重要です。
血の停滞(於血)は、様々な原因で起こりますが、中でも、気滞によって起こったり、冷え、食事などが原因になって起こることが多いと感じます。気滞と同じ対処法をしたり、体が冷えている人は体をこまめに動かして温める、食事が乱れている人は脂っこい食事を減らす、食べ過ぎないようにするなどが有効です。
水の停滞(水滞、水毒)は、気滞や於血から起こったり、水はけの悪い体なのに水をゴクゴク飲んでいたり、水をうまく体から出せていないことが多いです。夏場の高齢者以外は、体の欲求以上に水をのむ必要はないので、のどが渇いたときに、のどの渇きが癒える分だけ水を飲むことが大事です。また、すでに述べた通り、甘いものを減らしたり、体を動かすようにすると、体の中の余分な水が出ていきます。
邪>正気となると病気になるという所から、邪への対処法をお話ししました。
次は、以前にも少し触れましたが、漢方薬にも、治療のための薬、健康を保つのための薬があることをお話しします。
(つづく)
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当店では、「症状を改善したい」だけではなく、「体を丈夫にしたい」「病気を再発させたくない」「健康寿命を延ばしたい」といったご相談も承っています。
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病気になりにくい体・再発しにくい体について④(治療薬・健康を保つための薬)
↓以前の記事はこちら
病気になりにくい体・再発しにくい体について①(正気と邪)
病気になりにくい体・再発しにくい体について②(正気を強くする)