健康を保つための漢方

アルコール

1日の終わりに仕事の疲れを癒すために、お酒をたしなむ方は多くいらっしゃいます。
1人で飲むお酒も、みんなで飲むお酒もそれぞれ違った良さがありますが、
健康でないと、楽しくお酒が飲めません。

いつまでもお酒を楽しむためには、まず、週に1日以上の休肝日をつくることと、泥酔するまで飲まないことが重要です。

お酒の適量は、厚生労働省の「健康日本21」では「節度ある適度な飲酒」は純アルコール量で20g(25mL)となっています。
これは、ビールだと500mL、日本酒やワインだと180mL程度ですが、
この量で止められる方はあまりいらっしゃないのではないでしょうか。
飲み会などでは賑やかな雰囲気の中でついつい飲みすぎてしまいます。

よくお酒を飲む方は、漢方薬で体への負担を減らしてあげてください。
お酒の肝臓への影響を少なくするには、田三七人参がおすすめです。
田三七人参は肝臓のはたらきを良くしてくれるだけでなく、血液の流れを良くしつつ止血の効能もあるので、
生理痛や不正性器出血などにも使われます。
疲れやすい体質の改善、低血圧や高血圧にも使われ、普段の健康維持にぴったりです。

実際に、適量の数倍のお酒をほとんど毎日飲んでいるのに、田三七人参のおかげで血液検査に異常がない方がいらっしゃいます。
田三七人参だけに頼るのはよくありませんが、気になる方はぜひ一度試してみてください。


健康寿命

今の日本は世界有数の長寿国になっていますが、平均寿命が延びている一方、健康寿命があまり延びていません。
その差があることは問題で、寝たきりになる期間がどうしても出てくることがあります。
しかし、漢方の考え方を取り入れることで、病気になりにくく、健康寿命を延ばすことができます。
病気の予防は、西洋医学より漢方医学の方が得意なことです。

病気というのは、体質、生活習慣、ストレスなど、いろいろな要因が重なって、症状として現れます。
体質も生活習慣も人によってバラバラであるため、病気に対してはその人にあった漢方薬が必要ですが、
1つだけ、誰にでも起こる病気の要因があります。それが「老化」です。

老化は、腎精と呼ばれる生命の源が減っていくことで起こります。
骨や歯がもろくなり、腰が曲がり、肌や髪に潤いがなくなり、筋力や体力が衰える老化は、生命の源が減るにつれて進んでいき、
生命の源が完全に無くなったときに寿命が尽きてしまいます。
この生命の源は食べ物によっても補われますが、部分的にしか補えません。

これを補うのに漢方薬が活躍します。漢方薬には、食べ物にはない生命の源を補ってくれるはたらきのあるものがあり、
瓊玉膏(ケイギョクコウ)はその代表的な漢方薬です。

瓊玉膏(ケイギョクコウ)は古典に、若返る、歯が生え変わる、白い髪が黒くなる、奔馬のように走れるなどの効能が書いてあります。
この通りになるのは、難しいですが、それほどの効果が期待できるとわかります。
実際に瓊玉膏を飲んでいらっしゃる方は、元気が溢れて魅力的です。

瓊玉膏を飲んでいるとかぜをひきにくくなったり、病気の後の回復が早くなったりする効果もあるので、
病気にならないため、病気になっても早く治るための、基礎的なお薬として最適です。

ただ、1つ欠点を挙げるとすると、すぐに効果が実感できないことです。
すごく疲れていたり、体力が弱っている方なら、飲んですぐわかるのですが、
健康な人がその状態を維持するために飲む場合、効果がわかりにくいです。
それを理解して、しっかり飲んでもらえると、10年先が変わります。

これからの高齢社会に向けて、みなさんに飲んで欲しい漢方薬です。

口の症状

口内炎

炎症が起こるのは、余分な熱があるためと考えます。
熱のために赤く腫れる、痛みなどの症状が出ます。
病態として、1、胃熱(イネツ)、2、肝火(カンカ)、3、気虚、4、陰虚などがあります。

1の場合は、口内炎の他に、食欲が旺盛、口臭がある、のどが渇くなどの症状があります。
このタイプは暴飲暴食や、味の濃いもの脂っこいもの、刺激物を食べることで胃に熱が溜まり、炎症を起こしているので、
胃の熱を取る方剤を使います。それに加えて、食事をあっさりしたものに変える必要があります。

2の場合は、口内炎の他に、イライラ、目の充血、耳鳴り、脇の下や胸の痛みなどの症状があります。
このタイプは、精神的な緊張が続いたり、怒りを繰り返すことで、気の流れが悪くなり、肝が熱を持っているので、
肝の熱をとり、気を巡らせる方剤を使います。生活では、こころにゆとりを持たせることが重要です。

3の場合は、口内炎の他に、疲れやすい、体のだるさ、顔色が白い、息切れなどの症状があります。
このタイプは、もともと体の弱い人や胃腸の弱い人が疲労、睡眠不足、偏食、かぜなどで体力を消耗して起こるため、
気血を補う方剤を使います。同時に、しっかり体を休めることで治りが早く、再発もしにくくなります。

4の場合は、口内炎の他に、肌のかさつき、便秘、胸が熱く苦しい、寝汗、手足のほてりなどの症状があります。
このタイプは、体の冷却水が減ったために熱を生じた状態です。上の1、2、3のような体に熱を持った状態が長く続く、
精神的な緊張が長く続く、性生活の不摂生など、いろいろな原因で起こるため、その人にあった養生が必要です。

1~4全てのタイプで共通して気を付けていただくのは、甘いもの、辛いもの、脂っこいもの、お酒を控えて、
熱が体に溜まらないようにすることです。


口腔内乾燥症(ドライマウス)

乾燥しているのは血(ケツ)や水の不足と考えます。
血や水が持つ、潤すはたらきが十分に発揮されていないため、口の中が乾燥します。
病態として、1、胃陰虚、2、肝火、3、腎陰虚などが考えられます。

1の場合、口の乾燥の他に、お腹が空くがあまり食べられない、吐き気、しゃっくり、胸やけ、便秘などの症状があります。
このタイプは、辛いものの食べ過ぎ、慢性の炎症、消耗などで起こり、胃陰を補う処方を使います。

2の場合、口の乾燥の他に、イライラ、目の充血、耳鳴り、脇の下や胸の痛みなどの症状があります。
このタイプは、精神的な緊張が続いたり、怒りを繰り返すことで、気の流れが悪くなり、肝が熱を持っているので、
肝の熱をとり、気を巡らせる方剤を使います。生活では、こころにゆとりを持たせることが重要です。

3の場合、口の乾燥の他に、体の熱感、手足のほてり、皮膚の乾燥、男性では性欲はあるが続かない、
女性では月経が少ないなどの症状が出ます。
このタイプは、加齢、慢性病による消耗、発汗や下痢で水分が失われる、性生活の不摂生などによって起こります。
腎陰を補う処方を使います。

全てのタイプに共通して言えることですが、飲んでいる薬の影響で唾液の分泌が低下していることもあるため、
服用中の薬もチェックします。
普段の生活では、良く噛んで食べる、口呼吸をしない、唾液腺マッサージをすることなど、唾液が良く出るようにして、口の乾きも抑えることが重要です。


舌痛症

舌に痛みがあるのは、気血が届かない、熱が甚だしいなどが考えられます。
また、心因性もよくみられるため、気を巡らせる方剤を併用することもあります。
病態として、口内炎と同じものが挙げられ、治療も同じ様な方剤となるので、口内炎の項を参照してください。
ただ、舌痛症は治るのに時間がかかります。一般的に病気というは時間が経つほど治りにくくなるため、
より早めに相談に来ていただくことがなにより大事です。

鼻の症状

花粉症
花粉症では、アレルギーとなっている花粉が飛んでいる時期に、眼の痒み、涙が出る、鼻水が出る、鼻が詰まるなどの症状がでます。
原因となる花粉は、スギやヒノキだけでなく、初夏のイネ、秋のブタクサなど、一年中飛んでいるため、ある季節だけ症状が出る方は、花粉症の可能性があります。
鼻水、涙、眼の痒みなどの症状は、体の中にある余分な水が、花粉を刺激として溢れ出した状態ですので、花粉症を改善するには、水が溜まらないようにする、水の代謝をよくすることが大切です。こういった症状を取るために、利水作用のある漢方処方を使います。

症状を引き起こす原因として、
1、風寒、
2、風熱、
3、肺気虚
などがあります。

1の場合は、鼻水がサラサラして、ポタポタ垂れる、涙が溢れるなどの症状があります。
この時には、温めて水を追い出す方剤を使います。

2の場合は、鼻水はあまり垂れずに、鼻づまりがあり、目が赤くかゆいなどの症状があります。
この時には、冷やすと同時に水を抜いて、粘膜の腫れをとる方剤を使います。

3の場合は、鼻水の他に、息切れしやすい、動くとすぐに汗をかく、風邪をひきやすいなどの症状があります。上2つと違い、体の必要な気が不足しているのが原因です。肺の気は皮膚のバリアとなるのですが、この肺気が不足すると、気候の変化や刺激に弱くなり、皮膚や鼻、のどの症状が出やすくなります。
この時には、肺の気を補い、外からの刺激に強くする方剤を使います。ただし、肺の気を補うのは数日では難しいので、1か月以上服用してもらうことになります。

症状を抑えるための薬では、再発してしまうので、途中で体質を改善する処方に切り替え、さらに生活習慣を改善します。
初めに、体の中にある余分な水によって起こると言ったように、水が溜まらない生活、水の代謝をよくする生活にすることがポイントです。水分摂取では、喉が渇いた分だけ飲んで、余分な水を取らないようにしてください。また、冷たい水は動きにくく、体に溜まりやすいので、飲むときはできるだけ温かいものを飲むことを心がけてください。水の代謝をよくするには、体を動かすこと、汗をかくことが大切です。体を動かすことで、水を動かすための気(エネルギー)が動くので、代謝がよくなります。
花粉症の症状を抑えるには、漢方薬は効果がありますが、元から治すには、漢方薬だけでは力不足です。また、生活習慣の改善だけでも長期間かかります。漢方薬と生活習慣の改善を同時に行うことで、効率よく体質改善ができます。


副鼻腔炎
副鼻腔炎には、かぜなどに続いて発症した急性副鼻腔炎と、長期にわたって炎症が続いている慢性副鼻腔炎があります。
原因として、
急性期は1、風寒(太陽病)2、風寒(少陽病)
慢性期は3、陰虚、4、気虚
などがあります。

かぜなどに続いて症状が現れた場合は、風寒の邪によるものと考えます。外からの邪(ジャ:病気を起こす原因)が体に侵入して起こり、鼻詰まりが続いて、濃い鼻水が出てくる、のどに落ちてくるなどの症状が出てきます。
かぜをひいてすぐの場合は、体の浅いところに邪がある(太陽病)ので、体の表面から追い出す方剤を使います。かぜが1度治ってからまたぶり返した場合は、もう少し深い位置に邪がある(少陽病)ので、追い出すのではなく、消して散らす方剤を使います。

1、2とは別に長期にわたって副鼻腔炎が続いている場合、鼻づまり、鼻水、咳などの症状があります。3は陰と呼ばれる体の冷却水の働きをするものが足りなくて熱を持ち炎症を起こしているため、陰を補い炎症を起こしやすい体質を改善する方剤を、4は回復するエネルギーがないため、炎症を治す体力を補う方剤を使います。

慢性的な炎症は、体にくすぶった火がずっと消えずに残っている状態です。体の中で異常な火が起こらないようにする必要があります。
食事では油、脂肪、甘いものをできるだけ避けてください。肉は少なめにしてタンパク質は、大豆や魚からとるように心がけてください。
食品添加物も避けた方がいいです。また、食べ過ぎも控えてください。油、脂肪、甘いもの、食べ過ぎなどは、余分な熱を発生させて、炎症を助長します。
食事に気を付けて、健康な生活を送ってください。

頭痛

頭痛が起こる原因は大きく2つあります。
環境によって体の外からの邪(じゃ)が入ってきて起こるものと、生活習慣や体質によって体の内側から起こるものです。

まず、体の外から邪が入って起こるものとして、
1、風邪(ふうじゃ)が冷気と一緒に入って痛むもの
2、風邪が熱と一緒に入って痛むもの
3、風邪が水と一緒に入って痛むもの
などがあります。

1の場合は、冷えると悪化する頭痛の他に、寒気がする、肩や背中がこわばる、体がだるいなどの症状があります。
このときには、風邪を散らし、かつ温める方剤を使います。

2の場合は、温まると悪化する頭痛の他に、軽い寒気、顔の赤みやほてり、目の充血、口が渇くなどの症状があります。
このときには、風邪を散らし、かつ冷ます方剤を使います。

3の場合は、雨や曇りの日に悪化する頭痛の他に、頭が重い、体が重い、胃腸が弱いなどの症状があります。
このときには、風邪を散らし、かつ体の余分な水を出す方剤を使います。

次に、体の内側から起こるものとして、
1、頭へ届く血(けつ)が足りずに栄養が届かなくて痛むもの
2、余分な水が頭に溜まって痛むもの
3、ストレスやイライラで気が頭に昇って痛むもの
などがあります。

1の場合は頭痛の他に、顔色が悪い、唇が荒れる、不眠、夢をよく見る、動悸、目が乾く、爪が割れやすい、皮膚がかさつく、髪がぱさつくなどの症状が出てきます。
このタイプの方は、血をつくるもとになる食べ物である、ほうれん草、にんじん、レバー、豚肉、くるみなどを普段の食事で食べるようにしてみてください。しかし血の材料を体に入れるだけでなく、きちんと体が血を作れるようにならなければ、血は増えません。血を作るには十分な睡眠をとることが重要です。特に夜は血を作る時間なので、そのときにしっかりと身体を休めることが効果的です。
漢方薬としては、血を補う方剤を選ぶほか、胃腸が弱くてちゃんと栄養を吸収できずに血を作れていない場合は、胃腸を強くする方剤を選びます。

2の場合は頭痛の他に、頭が重い、めまい、みぞおちのつかえ、吐き気、体が重い、などの症状が出てきます。
このタイプの方は、普段の食事として、きゅうり、冬瓜、かぶ、ねぎ、春菊、もやし、小豆、大豆、鶏肉、貝類りんご、さくらんぼ、スイカなどが適しています。
日常生活では、水のとりすぎに注意すること、汗をかくことを意識してください。水が体の中に溜まるのは、とりすぎが原因でることも多いです。水を飲みすぎるのは、高温多湿な日本、水を溜め込みやすい体質の方が多い日本人の生活に合っていません。喉がかわいた分だけ飲んで、無理に飲まないようにしましょう。また、飲むときは冷たい水分ではなく温かい水分をとるようにしてください。冷えた水は動きにくく、体に溜まりやすい性質があります。冷えた水を含む、生野菜、ほとんどの果物、冷えたビールはできるだけ控えてください。
漢方薬としては、体から水を追い出す方剤や、体が冷えている場合には水を動かすために温める方剤を選ぶこともあります。

3の場合は頭痛の他に、イライラする、怒りっぽい、のぼせる、顔がほてる、顔によく汗をかく、目が充血する、口が苦い、寝付きが悪いなどの症状が出てきます。
このタイプの方の普段の食事では、気を巡らせてくれる香りが良い食材を選んでください。紫蘇、大葉、たまねぎ、ミョウガ、ミント、柑橘類、春菊、セロリなどがあります。
ただし、精神的ストレスや悩み事なが原因ですので、それを取り除くか、考え方や取り組み方を変えることが非常に重要です。
漢方薬としては、気を巡らせる方剤や、頭の余分な熱を取る方剤を選びます。

めまい

めまいは、エネルギーである気や栄養である血(けつ)が不足したり、水が余分にあることで起こることが多いです。
原因として
1、余分な水によるもの
2、気の上逆によるもの
3、血の不足によるもの
4、老化によるもの
などがあります。

1は、水やそれが固まってできる「痰」が頭にあり、気血の正常な流れを遮ることでめまいが起こります。ぐるぐる回転するめまいであることが多いです。
めまいの他に、曇りや雨の日に調子が悪い、乗り物酔いしやすい、手足や体が重だるいなどの症状が出てきます。
普段の生活では、水分摂取量に気を付けてください。喉が渇いた分、体が欲する分だけ水を飲むように心がけて、
無駄な水を体に溜めないことがポイントです。
夏の暑い日は、汗として体の水が出ていくため、脱水にならないように多めに飲むことが必要ですが、
夏以外は、水が体に溜まりやすくなっているので、喉が渇いた分だけ飲んでください。
また、食事では、あずき、セロリ、冬瓜、そば、らっきょう、えんどう豆、白菜、きゅうりなど、
水はけをよくする食材をうまく取り入れてください。
このタイプの方には、水はけをよくする方剤や、突発的に痰が頭に昇るのを防ぐ方剤を使います。

2は、気が頭に昇り、降りてこない状態になるためにめまいが起こります。
めまいの他に、顔の赤み、顔のほてり、イライラ、突然の頭痛、手や足の冷えなどの症状が出てきます。
食事では、気の巡りをよくする食材をとってください。柑橘類、三つ葉、紫蘇、薄荷など香りのよいものが気の動きを良くしてくれます。
このタイプの方には、気を降ろす方剤を選びます。

3は、血は体の各所に栄養を届けますが、血をつくれなかったり、消費しすぎたりすることで、その血が不足し、めまいが起こります。目の前が暗くなるめまいが多いです。
めまいの他に、顔色が白い、目が疲れやすい、肌がカサカサする、集中力が続かない、不眠、夢をよく見る、爪がもろい、髪がパサつく、こむら返りが起こりやすいなどの症状が出てきます。
食事では、血のもとになる食材をとってください。にんじん、ほうれん草、小松菜、豆類、豚肉、イカ、落花生、ぶどう、ライチなどが血のもとになります。
このタイプの方には、血を補う方剤や、血をつくりだせる胃腸にするための方剤を選びます。

4は、老化によって生命の源が少なくなり、脳が滋養されずに起こります。
めまいの他に、歯や骨がもろくなる、髪が細く潤いがない、耳鳴りがする、尿がもれる、出にくい、逆に出やすい、腰や足が痛いなどの症状が出てきます。
生薬以外で、生命の源を補ってくれる食材はほとんどないため、食べ過ぎに気を付けて胃腸を大事にすることが基本です。その上で、気が不足している方は穀類やいも類、潤いが足りない方はゴマやスッポン、冷えがあるかたはクルミや羊肉、などをおすすめします。
このタイプの方には、生命の源を補う方剤を選びます。