漢方と現代医学では、同じ用語でも全く同じものを指すことはありません。
「五つの臓(臓器)」の名前でいうと、西洋医学では、臓器そのものの実体を指す言葉ですが、漢方では、システムや機能単位で区切った言葉です。
今回、「肝」について紹介いたします。
現代医学では、肝臓には、血液中の有害物質の解毒、エネルギーの貯蔵・供給、胆汁の生成などの役割があります。アルコールや服用した薬は、肝臓が分解してくれます。
一方、漢方では、肝は全身の気(≒エネルギー)の調節、血(栄養)を貯蔵・配分、情緒のコントロールなどを司ります。
似ているけど、少し違いますね。一番の違いは、情緒のコントロールです。
現代医学では、脳が感情をしていますが、漢方では、その一部を肝が担っていると考えます。
「肝臓」ではなく「肝」です。
肝がのびやかにならないと、イライラしやすくなったり、鬱々として心が晴れやかにならなかったりします。
さらには、肝の失調がほかの部位にも影響して、食欲が亢進したり、逆に減退したり、咳が出やすくなったり、便通や尿の回数に異常が出たりします。
また、漢方では、季節と五つの臓が関わりをもつと考えます。
春は、草木が芽吹きのびていく季節です。五つの臓の中では春は肝と同様の性質を持ち、肝ものびやかな状態を好みます。
この時期は特に、心と体が固まらないように、のびやかにすることで、健康に過ごすことができます。
上記のイライラ、咳、便通の異常だけでなく、頭痛、イライラ、めまい、立ちくらみなど、春に起こる様々な不調には、肝の失調(自律神経の失調)が含まれているかもしれません。
気になる方は、一度店頭にお立ち寄りください。