皮膚のかゆみ

30代女性

主訴:皮膚のかゆみ

現病歴:夕方の食後や寝る前に鼠径部や首元がかゆくなる。寝ている間に掻いている。皮膚科では紅色皮膚描記症(+)、抗アレルギー薬を処方されたが、眠気がひどくて中止した。紅舌、前方辺縁に点刺。右関脈有力、寸脈も特に無力ではない。

肺熱による痒みとして麻杏甘石湯を処方。を1日飲むと、次の日の晩には痒みが気にならない程度に治まった。堪えられない痒みが10とすると、この1週間は7程度だったが、服用して3程度になったという。
ただし、4日目に起きると就寝中に掻いた痕があったとのこと。前の晩に食べてすぐ寝たのかと聞いたら、やはりそうだったらしい。
睡眠前の食事を避けることを指導し、7日でほぼ治癒した。

考察:2月初めから痒みが憎悪しているので、花粉になど外邪によってかゆみが増している可能性があった。その場合、脾気虚はないようなので、玉屏風散なども候補になる。また、痒みが出る場所が、鼠径部、ひじの内側、首もとのため、利水や化湿の方剤も候補に挙がった。でも、舌の状態から清熱がいいと思い、まずは肺熱を取ることを考えたところ、麻杏甘石湯だけで痒みがなくなった。もしかしたら、風寒の熱化や風熱の外邪により、肺に熱を生じていたのかもしれない。
   服用中、就寝中に掻いてしまったのは、胃熱のせいだと思う。熱によって夜に症状が起こっている場合、就寝前の食事は悪影響を及ぼす。

花粉症

40代女性

主訴:鼻水、涙などの花粉症の症状。

現病歴:(2月中旬来店)鼻水が出て、涙があふれる。咳はなく、息が上手く吸い込めない感じ。目はかゆくないが少し充血。目に膜が張っている感じ。

大青竜湯の方意でエキス剤を組み合わせ、服用してもらった。
14日後、例年通りならティッシュが手放せないが、今年は鼻水がほとんど出ない、息の吸い込みにくさも以前に比べると楽とのこと。
花粉のシーズンが終わるまで服用してもらった。

考察:息が吸い込めない→気道の浮腫、水滞と考えて麻黄石膏の薬対を用い、うまくいった。ただ、対症療法のため、来年も発症すると思う。この方の場合、食べ過ぎによる脾胃湿熱が主だろうから、食事量を減らしながら、根気よく香砂平胃散や香砂養胃湯を服用してもらうのがよいと思うが、なかなか続かない。

緊急事態宣言中の営業について

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2020.4.8

緊急事態宣言が発令されましたが、感染拡大防止の対策を徹底しつつ、通常通り営業いたします。

営業時間
平日 10時~19時
土曜日10時~17時
日祝休み

今後、事態を考慮して営業時間を変更する場合がございます。

当店では、商品の発送も受け付けていますので、お問い合わせください。
漢方相談に関しては、正確に方剤を決められるため、
通常はご来店でのご相談をおすすめいたしておりますが、
ご来店が難しい場合でも、お電話でご相談を受け付けております。

顔面マヒ

50代女性

主訴:左目が完全に閉じることができず、口元がゆがんでいる

現病歴:5日ほど前から左右の眉の位置がずれているように感じていた。その後、ビールがいつものように美味しくない。1日前から左目が閉じられない、口元がゆがむ、飲み物や食べたものがこぼれる、上手く話せないなどの症状が出てきた。
    右関脈滑、有力。舌中央に黄苔。尋ねると、最近食べ過ぎているかもしれないという。また、ここ最近、疲れの為に補中益気湯を服用しているとも。

食べ過ぎによって生じた脾胃の痰濁が内風によって頭部へ上がり、経絡を阻滞した。服用していた補中益気湯の昇陽作用は内風を助長していると思われる。

痰濁上擾を助長しないように補中益気湯を中止し、熄風、清熱化痰の煎じ薬+開竅熄風の強い牛黄清心元を1日1丸、1回1/8丸を口の中でゆっくり溶かすように飲んでもらうことにした。牛黄清心元は1/2丸を1日2回服用するより、1/8丸を1日8回服用してもらう方が効果が高いことから8回に分けてもらった。

2日後、病院で検査し、重度の顔面麻痺と診断され、ステロイドのパルス療法を開始。プレドニゾロンを処方され、4日間服用した。

その後、徐々にマヒが少なくなり、10日後の受診では、医師も驚くほど回復していた。
さらに1週間煎じ薬を服用し、全く後遺症なく回復した。

考察:熱閉と呼ばれる、熱による意識障害などに使われる安宮牛黄丸が含まれる廣東牛黄清心元を用いた。開竅作用のある牛黄、竜脳、麝香と熄風作用のある羚羊角が含まれ、閉証には抜群の効果がある。
   ただ、舌や脈などから判断して寒による閉証の場合は適応とならない。といっても、日本では蘇合香丸の製剤がない。蘇合香丸中の丁字、ヒハツの代わりに安中散や大建中湯と同時に廣東牛黄清心元を服用すればいいだろうか。これに関してはいざというときのために、よく考えておかないといけない。

   顔面マヒ以外にも、脳梗塞や脳出血で倒れたときにマヒなどの後遺症を残さないために重要な薬。

腎臓結石

60代男性

検診で「腎臓に結構大きな石が1つある」と言われたが、今はできることがないため、民間薬が欲しいと来店された。
連銭草と熊柳各10gを1日分にして、4週間のうち10日飲むことを続けられた。
10か月後の検診ではきれいに無くなっていたと言ってご報告にいらっしゃった。

全てが連銭草と熊柳の影響だとは言い切れないが、古くから使われている民間薬も馬鹿にできないと改めて感じた。

舌の痛み

30代女性

主訴:舌の痛み

現病歴:数日前から舌が痛い。口内炎もある。舌を見ると、炎症がある。やや歯痕あり、点刺舌、舌尖、辺が赤い。苔は少なめ。

陰虚とやや血熱があるように思う。器質的な病変がある場合の舌痛症なので、口訣から清熱補血湯とする。清熱補血湯の方意でエキス剤を組み合わせ、4日後に舌の痛みはなくなった。
その後、1か月ほど続け、毎月末にできていた口内炎ができなくなったと喜んでもらった。

考察:やせ型で皮膚は浅黒く、お酒とたばこをよくのむことから、陰虚、血熱体質だろうと思っていた。もしこれをつづける場合、血淤を防ぐ為に、化淤剤を足した方がいいと思う。

にきび

20代男性 

主訴:にきび

現病歴:高校1年生のころから、赤く膨らんだにきびができてきた。一部は化膿し、白くなっている。顎下、頬によくできる。脂っこいものは食べず、野菜もとっているが、パンや甘いものをよく食べる。

脾胃湿熱によるにきびと判断し、清熱解毒、排膿、駆淤血薬を組み合わせて処方。14日間で新しいものができにくくなり、数も減った。
2か月の服用で、赤く腫れたにきびは1つ程度になった。
その後、小さく白く化膿したにきびができるくらいになったが、治りきらなかった。
そこで、食事を改善し、甘いものを毎日食べないようにして、パン食を止め、基本的にごはん食にしてもらった。
甘いものを食べ過ぎないかぎり、にきびはできなくなった。

考察:甘いもの、味の濃いもの、脂っこいものの食べ過ぎでにきびができるのは、当然のことだけど、やっぱり、にきびの元を入れながらにきびの毒を出すのでは、治りきるはずがないと改めて思った。燥湿健脾の方剤を飲み続ければ、ある程度はカバーできるかもしれないが、淤血の問題が残るので、本人のためにも、食事指導で対応した。

腰痛(急性期)

30代男性 

主訴:腰痛

現病歴:つい先ほど、腰をかがめて作業している途中、ふとした拍子に腰に鈍い痛みが出た。強い症状ではない。腰を動かすと少し痛む。

体表面、腰回りの血流をよくし、加えて鎮痛するため、発表剤と、胃薬として使われる安中散を組み合わせ、1服で治癒。

考察:発表剤は皮膚表面と頭部の血流をよくして、腰痛の最初期に効いたのか。延胡索は内臓でなくても鎮痛効果があるのか確かめたくて組み合わせた。どちらか一方だけでも聞いたかもしれないが、少なくともどちらか一つが効くことがわかった。

吐き気、胃部不快

30代女性

主訴:吐き気、胃部不快

現病歴:朝から胃が気持ち悪く、吐き気がする。脈弦。舌質紅、紅点、中央に黄苔。

尋ねると、ストレスはないと言うが、仕事でストレスが溜まり、肝火犯胃により胃の降濁作用が失調し、吐き気と胃部不快につながっていると判断。

左金丸の方意でエキスを組み合わせ、その日の夜には症状が消失した。

考察:普段の仕事や生活をわかっていたから判断できた例。やはり、仕事の内容や仕事上の立場などもしっかり聞いていないといけないとつくづく思う。

胃痛

30代女性 

主訴:胃の痛み、仕事中の不安・焦り

現病歴:14日前から胃が痛む。仕事中にお腹が空くと痛みが強くなる。キリキリした痛み。休日も痛いが、平日よりマシ。だんだん悪化している。胃の痞え感はない。ブスコパン、ガストール無効、ストレージIで痛みがマシにはなるが、1日2回では効かない。
    仕事中に不安、焦りがあり、忙しくなると悪化する。

黄連が多く入った処方と疏肝理気作用のある処方を組み合わせて、7日間で治癒した。

考察:ストレスからくる胃炎だろう。お腹が空くと痛みが強くなるのは、食べ物によって、胃酸が中和されないからだと思われる。ブスコパンは柔肝解痙、ガストール(ピレンゼピンや制酸薬の合剤)は清胃熱とすると、芍薬甘草湯無効、黄連無効となるが、ピレンゼピンは胃熱を取る作用が少ないと思うため、黄連は効果があるかもしれない。ストレージI(安中散)でしっかり効かないのは、牡蛎で胃酸を中和し、桂皮が胃の血流をよくして防御因子増強にはたらき、延胡索が鎮痛にはたらくが、全体として安中散が胃を温める処方だからだろう。

老人必用養草10(起床と就寝について)

香月牛山

2020年3月23日(月)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は起床と就寝、食後に関する部分を読んでみます。


【原文】
・『千金方』に「春は晏く臥て早く起る事を欲す。夏と秋とは夜を侵してすなはち臥し、早く起る事を欲す。冬は早く臥て晏く起る事を欲す。皆、人に益あり。早く起るといふとも、鶏明の前に在事なかれ。晏く起るといふとも、日出の後に在事なかれ。冬月忽に大熱の時あり。夏月忽大涼の時あり。みな此不正の気なり。これを受る事なかれ」といへり。老人は気血ともに薄し。此法にしたがって保養する時は、四時の気令の風寒暑湿の邪に犯さるる事をまぬがるべきなり。

・(中略)老人は何のなす事もなければ、朝に起て上にいふ所のごとく、手洗ひ、口そそぎて、東南の陽気をうけて坐し、香を焼て静座し、善事を思て悪念をなみし、気息を調へ呼吸をかずまへ、しばらくあつて朝飯を食し、酒を嗜む人は微酔にのみ、牙枝ヨウジをもて歯の間の食穢をさり、口を漱で端座すべし。老人は食後にかならず眠の生ずるものなれば、何にても己が好所のことなどにまぎれて眠る事なかれ。半時ばかり過て杖にたすけられて小庭などを歩行して食気をめぐらすべし。


・極老の人、庭の歩行も物うきほどならば、人に手をひかれ、座中を百歩ほどすべし。少く労動すべし。大に疲れ堪がたき事をしゐてなす事なかれ。古人保養の説に、「流水不腐、戸枢不蠧」とて、少く動く時は気めぐりて滞らず。動かざるときはとどこほるなり。滞るときは病となる。古人は薬を服する時は、野に出で歩行して薬気をめぐらすなり。これを行薬といふなり。能々心得べき事なり。



【訳文】
・『千金方』に「春は遅くに寝て早く起きる。夏と秋は夜遅くに寝て、早く起きる。冬は早く寝て遅く起きる。これら全て、よいことである。ただし、早く起きると言っても、鶏が鳴く前に起きてはいけない。遅く起きると言っても、日の出後に起きてはいけない。冬の間に急に温かい日があり、夏の間に急に涼しい日がある。全て不正の気である。この気を受けないようにしなくてはいけない」とある。老人は気血がどちらも少ない。この方法にしたがって保養すると、一年の風寒暑湿の邪で体をこわすのを避けられる。


・(中略)老人は何もやる事がないので、朝起きて上述したように、手を洗い、うがいをして、南東の温かな日差しを受け、香を焚いて静かに座り、良い事を考えて悪い考えを払いのけ、呼吸を数え、しばらくしてから朝食を食べ、酒を嗜む人はほろ酔い程度に飲み、楊枝で歯の間の食べかすをとり、口をすすいで正座するのがよい。老人は食後に必ず眠気が生じるものなので、何でも自分が好きな事をして寝てはいけない。1時間ほど過ぎてから杖をついて小庭などを歩いて食事の滞りを巡らすのが良い。


・歳をとっている人で、庭を歩くのもままならないなら、人に手を引いてもらい、座敷の中を百歩ほど歩く。少しだけ動くのがよい。大いに疲れて辛抱しづらいことを強いてすることはないように。古人の保養の説に「流水は腐らず、戸の蝶番は虫に食われない」といって、少し動くことで気がめぐって滞らない。動かないと滞る。滞れば病気になる。古人は薬を飲むときには、屋外へ出て歩いて薬の気をめぐらせる。これを行薬という。よく心得るべき事である。



以上をまとめると、
・春は遅寝早起き、夏と秋は遅寝早起き、冬は早寝遅起き。ただし、早くても鶏がなく(午前4時か少し前頃)より前に起きてはいけないし、遅くても日の出後に起きるのもいけない。
・食後は眠らないようにして、1時間ほど過ぎてから庭を歩いて胃に溜まった食事をながす。
・食後に疲れるほど動くのはよくなくて、少しだけ動くのが肝要。


次は、精神の保養のお話です。

老人必用養草9(季節の養生について)

香月牛山

2020年2月14日(金)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は「四時の保養の説(季節ごとの養生)」の中の秋、冬に関する部分を読んでみます。


【原文】
・秋三月を『素問』に「容平」といひて、陰升り陽降りて、万物みな収斂の気にあひて、万の花実も形容をなして、平かに定るの時なれば、蚤くふして初寒をさけ、鶏と共にはやく起て、新に爽なる気にしたがふべし。これ収を養ふの道なり。老人は気血ともに弱く、元気とぼしければ、この時つつしまざれば、初寒の気にあてらるるものなり。夏の炎熱たかぶり極りて、俄に秋降の陰気に変ずれば、陽と陰との入替る時にして、寒露たちまち霜に結び、新冷の気行るるによりて、人の肺気を破る。老人かならず此時気に犯されやすし。能々つつしむべき時なり。

・冬三月を『素問』に「閉蔵」といひて、万物みなおさまりかくるるの時にして、人もこれにのつとりて蚤く臥し、おそく起、日の光をまち、寒をさけ、温につき、志をして伏するがごとく、静にして、みだりに動事を禁ずるなり。これ蔵を養ふの為なるべし。老人は気血ともにうすければ、四時の内、冬月の寒気尤犯しやすし能々つつしみ守るべき也。

・冬月、老人の座席は、障子をさしまはし、屏風など引かこひて、衾炉をまふけて圃団をしきて在しむべし。『千金方』にも「冬月の居止の室は密を用べし。細隙あらしむべからず。風気入る事あらば、急々にすきまを塞ぐべし。かくのごときの風寒の入来る所ならば、速やかに避べし。しゐて座すべからず。中風の病を生ず」といへり。誠にさある事なり。あらはに出て風寒にあたりたるよりは、すき間の些少の賊風には犯されやすきものなり。冬月の老人の座席心を用てしつらふべき事なり。

・冬月老人の寝る所は猶更すきまのなきやうに、戸障子をさし、屏風を引かこひ、床には毛ある皮の圃団をしきて、其上に絹の圃団を二重三重ほど敷て臥しめて、上の夜着ひとつは絹を用ゆべし。その上に紙子の夜着を着すべし。重からずして寒を防ぐなり。下に圃団をあまたしけば、上にはあつく着ずといへども温なるものなり。

・老人は寒暑ともに堪がたきといへども、暑にいたむよりも寒にいたむ物おほし。いにしへよりの名人達の天年をたもちえて、その終をとりたるときくに、おほくは冬春の間の寒気さかんなる時なり。(中略)しかれば老人は、寒気の時をおそれつつしみて、保養を加ふべき事なり。


【訳文】
・秋の三か月を『素問ソモン』では「容平ヨウヘイ」と言って、陰が昇り、陽が降りて、万物全てが収まり縮む気にあって、全ての果実も形作り、平らかに定まる時なので、早く寝て寒さを避け、鶏と共に早く起きて、新しく爽やかな空気に従うのが良い。これが収を養う方法である。老人は気血ともに弱く、元気が少ないので、この時に節制しなければ、初寒の気にあてられる。夏の暑さが極まり、急に秋の陰気に変化するので、陽と陰の入れ替わる時であり、露が霜になり、新たな冷気がめぐり、人の肺気を損なう。老人は必ずこの時期の気に犯されやすい。よく節制するべき時である。

・冬の三か月を『素問』では「閉蔵ヘイゾウ」と言って、万物全てが納まり隠れる時であり、人もこれに則って早く寝て遅く起き、日が出てくるのを待ち、寒を避けて暖をとり、志を持ちながらじっと耐えるように、静かにして、やたらと動くことを禁じる。これは蔵を養う為である。老人は気血ともに少ないので、4つの季節の内、冬の寒気にもっとも侵されやすいため、よく節制して守るべきである。

・冬は、老人の座席は、障子を向け、屏風などで囲って、炉を設えて布団を敷くのがよい。『千金方』にも「冬月の居間は気密にする。細かな隙間もあってはならない。すきま風が入れば、すぐに隙間を塞ぐ。このような風寒の入る所であれば、すぐに場所を移動する。無理に座っていてはいけない。中風の病を生じる。」という。誠にその通りである。表に出て風寒にあたるより、隙間の少しの風には犯されやすいものである。

・冬に老人の寝る所は猶更隙間がないように、戸障子をさし、屏風で囲い、床には毛がある皮の布団を敷いて、其の上に絹の布団を二重三重に敷いて横になり、上の夜着ひとつは絹を用いて、その上に紙子の夜着を着る。こうすることで重くなく、寒を防げる。下に布団をたくさん敷けば、上に厚く布団をかけなくても温かいものである。

・老人は寒さも暑さも堪えがたいと言っても、暑さより寒さで体を壊すものが多い。古来から賢人たちが寿命を全うしてその終わりを遂げたのを聞くと、多くは冬と春の間の寒気が盛んな時である。(中略)それなので、老人は寒気が盛んになる時を恐れつつしんで、養生をするべきである。


以上をまとめると、
秋は、早寝早起きをして、新鮮な空気を吸い込むのがよい。
冬は、早く寝て遅く起き、陽が出てから行動するが、やたらと活発に動いてはいけない。すきま風には十分注意して、入らないように、当たらないように工夫する。布団は下にたくさん敷いて、掛布団は少なめにする。とにかく、寒さに注意して過ごす。
ということです。

次は、起床時と就寝時のお話です。

冬は寒さと汗にも気を付けて。

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こんにちは。
体調崩されていませんか?今年は暖冬と言われています。
「寒さが厳しい」ということはあまり感じませんが、
気温の変化が激しいように思います。
変化に体がついていかないと、体調を崩してしまいます。
冷えたと思ったらしっかり暖かい布団で寝るなど
心がけてください。

さて、題名の通り、冬にかく汗も注意してみてください。

暖かい恰好で、暖房のきいた温かい場所にいると、
知らず知らずのうちに汗をかいています。
その状態で、屋外に出ると冷たい空気で汗が一気に冷え、体が冷える原因となります。
(これも、急な温度変化の一つです)

汗を吸収する綿の肌着を身に着けたり
冬でも脇にかいた汗をぬぐったりしてください。

もう一つ、養生としてはやはり体を休める時間を作ることが大事です。
「急がばまわれ」ということわざもあります。

ふとした瞬間、深呼吸することだけ、ほんの少しでもかまいません。
(深呼吸→5秒間吐くことを意識して、
その後おへそから下腹付近を意識しゆっくり息を吸ってください)

そのようにして体の緊張をゆるっと緩めてあげてください。
しっかり休息をとることで、体を温める働きを高め、
体の抵抗力を養うことにつながるためです。

加えて、緊張が切れた時、一気に体調を崩すことを防ぐためでもあります。

気温の変化についていけないと
インフルエンザや風邪をひきやすくなり、また体の回復する力も発揮されにくく、
長引く風邪となります。風邪が治りきらないのはしんどいことです。

ですので、
体を休めることは大事です。大事なのでもう一回書きました。

さて、
店頭では、インフルエンザ、風邪、冷え予防のためのお茶を
ふるまっております、近くに寄られた際はお立ち寄りください。

老人必用養草8(季節の養生について)

香月牛山

2020年1月9日(木)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は「四時の保養の説(季節ごとの養生)」の中の春、夏に関する部分を読んでみます。


【原文】
・春三月の時を『素問』に「発陳」といひて、故をひらき新に従ふ時なれば、「蚤に起て、広く庭に歩て、形を緩す」とあり。しかれども、正二月の間は、いまだ余寒烈しければ、老人はおそく起て寒を恐れて庭に出る事なかれ。三月の初つかたよりは、漸々に陽気さかんにして天気和暖なり。此時に至りては、老人も蚤に起て広く庭を歩行し、草木の芽の舒長して青々たる嬾葉を見て心を和楽にすべし。これ春の気に相応するの事にして、生を養ふの為にかなふなるべし。

・夏三月を『素問』に「蕃秀」と云て、陽気の盛んなる事極り、葉物みな茂り秀る時なれば、蚤に起て長日を惰る事なく、志をして怒る事なからしめよ。怒ときは、肝木の気逆上して脾土をやぶる。「これ夏の時長を養ふの為なり」といへり。ことに老人は虚火たかぶりて怒やすし。つつしむべき事なり。

・夏のときは極熱にして万の物みな損じやすき也。此とき老人は飲食をつつしみ、脾胃を養ふべし。極熱の時は、甜瓜、西瓜、冷麺、葛の水線、菉豆の麺條など少食ふときは、熱を解して快し。おほく食する事なかれ。夏月は伏陰内にありとて、人の臓腑かへつて冷る時なれば、上にいふ所の冷物脾胃をやぶるなり。少き食ふときは、暑気を払ひてよし。おほく食ふ時は損有。能々心得べき事なり。

・暑熱の時、高貴の人、富ある人は、涼台や水館とて、陰木のもとに楼閣をかまへ、水上にかけ作して鈎殿をもうけ、涼を納るの便とする類おほし。貧しき人もその程々にしたがひて、木の枝に竹木を架し、床をなして、涼み棚などいひて涼を納る事なり。(中略)老人かくのごときの所に長居をすれば、おぼえず元気耗散し、水湿の気にうたれ、冷気透りて病を生ず。


【訳文】
・春の三か月を『素問ソモン』では「発陳ハッチン」と言って、古く固まったものを去って新しいものに従う時なので、「早く起きて庭を広く歩き、体をほぐす」とある。しかし、1月2月の間は、まだ余寒が激しいので、老人は遅くに起きて冷えを避けて庭に出ない方がよい。三月の初めからは、だんだんと陽気が増え天気が和やかで暖かい。この時になったら、老人も早く起きて庭を広く散歩し、草木の芽が伸びているところや、青い若葉を見て、心を穏やかにする。これが春の季節に応じることで、命を養うために適していることである。

・夏の三か月を『素問』では「蕃秀バンシュウ」と言って、陽気が極めて盛んで、草木の葉は全てよく茂る時なので、朝早くに起きて日を怠惰に過ごさず、志をもって怒らないようにしないといけない。怒ると、肝木の気が逆上して脾土を傷つける。「これ夏の日長を養うためである」という。特に老人は陰が少なく、虚火が昂って怒りやすい。注意すべき事である。

・夏は極めて暑く、全ての物が傷つきやすい。この時分には老人は飲食を節制し、胃腸を養う。極めて暑い時は、まくわうり、すいか、冷や麦、葛切り、緑豆の麺などを少し食べることで、熱を冷まして快くなる。たくさん食べてはいけない。夏は伏陰が内にあり、人の臓腑はかえって冷えるときなので、上に言う冷えた物は胃腸を傷つける。少し食べるときは暑気を払ってよい。多く食べると体を損なう。よく心得るべき事である。

・暑い時、身分の高い人や、お金のある人は、涼台や水館といって、木陰に楼閣を構え、水上にかけて鈎殿をつくり、涼をとることが多い。貧しい人もその程度にしたがって、木の枝に竹をかけ、床をつくり、涼み棚などといって涼をとる。(中略)老人はこのような所に長居すると、知らぬ間に元気が消耗し、水湿の気に侵され、冷気が体に侵入して病を生じる。


以上をまとめると、
春は、まだ寒い内は冷気にあたらないようにして、3月の初めごろ、暖かくなってから身体を動かしてほぐすようにする。
夏は、朝早くから起きて、冷えたものはあまり食べ過ぎないようにする。水辺や木陰で長く過ごしたり、夜まで過ごしたりすると、水湿に侵されて病気を生じるので、そういった場所にはあまり長居してはいけないということです。

次は、秋、冬の養生のお話です。

年末年始休業日・臨時休業日のお知らせ

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2019年12月7日(土)

漢方薬局ハレノヴァの年末年始休業日および臨時休業日をお知らせいたします。

年末年始休業期間:
2019年12月29日(日)~2020年1月5日(日)

臨時休業日:
2020年1月11日(土)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は2020年1月6日(月)以降となります。
また、オンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承くださいませ。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い申し上げます。