過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や便通の異常があり、数ヶ月にわたって慢性的に続く病気です。
人によって、便秘だけ、下痢だけが続いたり、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。
症状が強いと、電車に長時間乗れず、トイレがない車両だと不安だったり、緊張する場面になるとすぐにお腹が痛くなり、トイレに何度も駆け込むなど、生活に支障をきたすこともあります。
漢方では、どう考えて薬を決めていくのか、次にご紹介します。
過敏性腸症候群は、直接の原因としては胃腸の筋肉の運動や、水分吸収の異常です。
漢方で考えると、肝と脾(胃腸)の能力が大きく関わっています。
精神的ストレスで悪化する場合、感情や全身の気(≒エネルギー)の流れをコントロールする肝の働きが衰えていると考えます。
胃腸で気が渋滞すると、胃腸の筋肉が収縮しっぱなしになり、便をうまく送れず、便秘になったり、あるいは下痢になったりします。
こういったタイプの方には、肝の気を流す薬を使います。
ただし、肝の気を流す薬は、脾(胃腸)に負担をかけるため、脾の強さを考えて、薬の強さを決めなくてはいけません。
中には、脾が虚弱なせいで、弱い精神的ストレスでも敏感に反応することがあります。
そういった方には、胃腸を強くする薬を主にして、肝の気を流す薬を少し足します。
他にも、心窩部で気が滞り、脾胃の失調を来した場合や、脾が冷えていて腹痛や下痢を起こしやすい場合もあります。
それぞれ、その人に合った薬を、症状の強さに合わせてバランスを考え選んでいきます。
じっくりお話をお聞きして、お薬をご提案するため、初回は少々お時間をいただきますが、腹痛、便秘や下痢でお困りの方は、一度ご相談ください。