小児必用養育草3

2019年2月15日(金)

2019.2.16

さて、久しぶりに小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)を見てみます。
上の挿絵は、右がお食い初め、左がお宮参りの図です。
今回も本文には関係ありませんが、雰囲気を味わうために貼り付けておきます。


さて、今回紹介するのは、巻二の「生子養育の説」の一部です。
前回までは、あまり信用できない部分を紹介しましたが、
今回は現代でも役に立つ部分を紹介します。
原文に続いて、私が適当に訳した文を記します。


〈原文〉
 『保嬰論』に、「子を養育に十種の法あり。第一には、背を暖にせよ。二つには、腹を暖にせよ。三つには、足を暖にせよ。四つには、頭を涼しくせよ。五つには、胸を涼しくせよ。六つには、小児の驚きおそるるかたちの類を見する事なかれ。七つには、いまだ見しらぬ人を見せしむる事なかれ。八つには、啼事さだまらずして、乳を飲しむる事なかれ。九つには、軽粉、朱砂の類の石薬を飲ましむる事なかれ。十には、浴する事たびたびすべからず」と見えたり。

〈訳文〉
 『保嬰論』に、「子供を育てるのには十個のするべき事がある。一つ目は、背中を温かくすること。二つ目は、腹を温かくすること。三つ目、は足を暖かくすること。四つ目は、頭を涼しくすること。五つ目は、胸を涼しくすること。六つ目は、子供が驚き怖がるような見た目のものを見せないこと。七つ目は、見知らぬ人に合わせないこと。八つ目は、泣き止まない内は乳を与えないこと。九つ目は、軽粉、朱砂などの鉱物由来の薬を飲ませないこと。十は、湯浴みを何度もしないこと。」

 背中を温めるのは重要で、背中には膀胱経という気血の通り道があり、風邪(フウジャ)が入ってくる場所があります。風邪に侵されるとかぜになってしまうので、そこをしっかりと守るために、背中を温めるように言っています。
 頭を涼しくするのは、子供は陽(温めたり動かしたりするエネルギー)が盛んなので、大人より暑がりです。オーバーヒートしないように頭を冷やすということでしょう。


〈原文〉
 巣元方の説に、「初生の小児は、皮膚いまだ堅からず、衣を厚く重ねて温むべからず。温れば汗出やすし。汗出れは皮膚弱く成て、風を引やすきなり。常に衣を薄くすべし。背を冷やす事なかれ。衣を薄くする事は、初秋よりならはしむべし。漸々に寒くなるによりて、初秋より薄く仕馴て、次第次第に厚くして、冬にいたれは俄に寒きにいたらずして、寒に馴てよく堪るなり」といえり。心得べき事なり。

〈訳文〉
 巣元方という医師の説に、「生まれたばかりの子は、皮膚がまだ固くなく、厚着して温めてはいけない。温めると汗が出やすい。汗が出れば皮膚が弱くなり、かぜをひきやすくなるものだ。常に薄着にするのがよい。ただし、背中を冷やしてはいけない。薄着にするのは、秋の初めから慣れさせるのがよい。徐々に寒くなるにつれて、秋の初めから薄くすると馴れて、だんだんと厚くして冬になると、すぐに寒いとは思わなくなり、よく堪えられるようになる。」とある。心するべきことである。

 上でも話したように、子供は陽が多く、陰がすくないと言われています。つまり、体温が高くて活発に動くということです。体温が高いのに、厚着をするとすぐに汗をかいてしまいます。汗がでると、気も同時に出てしまいます。気は体の防御機能にも関わっているため、汗が出ることで、からだ表面の防御が弱くなり、かぜをひきやすくなります。
 では、冬はどうすればいいかというと、秋口から薄着に馴れさせていけばいいとあります。これは、大人も同じことで、秋口から薄着に馴れていくと、冬の寒さに強くなります。
ただし、冷え性で冬はいつも困っている方などは無理をせず、寒い時期は体を温めて気を付けて過ごしてください。

 古くからの子育て法には、現代ではしてはいけないことや、しても効果がないことなども含まれていますが、大切なこともたくさんあります。まだ科学的に証明できていないこともありますが、頭から否定せず、一度考えてみることが重要だと思います。

夏期休業のお知らせ

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2019年8月6日(木)

漢方薬局ハレノヴァの夏期休業日をお知らせいたします。

夏期休業期間/8月13日(木)~8月16日(日)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は8月17日(月)以降となります。
また、オンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いいたします。

PMS(月経前症候群)

30代女性

主訴:生理に伴って、頭痛、生理痛、胸の痛み・ハリ、眠気、イライラが起こる。

現病歴:頭痛は以前は生理中のみだったが、生理前にも起こるようになった。2日ほどまえからこめかみあたりがジクジク押されているような感じ。生理痛は2日目の朝のみある。1週間前から胸の痛みやハリがあり、2日前から眠気やイライラがある。頭痛もちで、天気の悪い日に起こりやすく、こめかみが痛くなる。

その他症状・所見:舌はやや痩薄、淡紅~紅、薄白苔、舌下静脈怒張なし。月経周期30日、1~2日ずれることもある。月経期間6~7日。塊あり。

気滞+やや血虚だと思われる。のぼせなど頭部の熱はないため、清熱作用のない、理気+少し補血作用のある方剤を14日間服用してもらった。
14日後、この2週間は頭痛がなく、天気が悪い日でも問題なかった。冷えについては変化わからない。続けて同じ処方14日分。
さらに14日後、生理がきた。胸のハリがあったので、そろそろ不調がくるかと思っている間に生理になった。胸のハリと生理痛は少しあるが、イライラなし、頭痛なし、眠気なし。同じ処方14日分。
さらに14日後、概ね良好、夢を見なくなり、夜中に起きることもなくなり、朝までぐっすり眠れるようになった。貧血が少し心配で鉄剤を飲むか考え中。本人の希望で、補血の方剤を加えて渡した。
その後、漸減し、今では数か月に1度、不調が出たときのみ薬を取りに来ている。

考察:消化器症状や月経周期の乱れがなく、純粋な気滞に近かったことから、1つの処方で効果が早く現れたのだろう。
   ここに脾気虚や於血が深く関わっていると、もっと時間がかかったかもしれない。

不眠(中途覚醒)

50代男性

主訴:中途覚醒

現病歴:入眠後、途中で起きてからなかなか眠れない。起きる時間は2時、4時などバラバラ。起きた後はうつらうつらしながあ、いつの間にか寝て7時になる。寝汗は2週に一度ほど、食べてすぐに寝ることはない。夜中にトイレに起きることもある。少しの物音で起きる。紅舌、歯痕舌。

安神作用のある方剤と補血作用のある方剤を組み合わせて服用してもらった。7日後から良くなってきたとのこと。その後7日間同じように1日3回で服用してもらった後、寝る前1包で3週間ほど続けて終了となった。

足のむくみ

80代男性

主訴:足のむくみ

現病歴:両足の膝から下にむくみがある。初めは足首から下だったが、半年ほど前からひどくなってきた。クレアチニン1.0程度、推算GFR50程度。腎臓が悪く、病院へ行っているが、Drはむくみに関してあまり気にしていないとのこと。

その他症状・所見:靴下の跡が付き、触ると固い。押すと凹みが付き、なかなか元に戻らない。痛みはない。下腿に細絡があり、肌が乾燥している。上肢は乾燥していない。爪がもろく、縦しわがある。舌は淡紅、薄白苔、於斑。

細絡、於斑から、活血化於と利水の効能のある方剤を選んだ。高齢だが、補気が少ない方剤のため、体のだるさなど何か不調があれば連絡するようにお話しして、まず7日分服用してもらった。
7日後、お連れ様曰く夕方のむくみがマシになった。触った感じも柔らかくなった。と。客観的には、変化が若干あるかなというくらいだったが、そのまま同じ処方を14日分お渡しした。
さらに14日後、初めに比べて、ふくらはぎが見違えるほど細くなっていた。足首より上は柔らかくなったが、足首以下はまだ固く、むくみもある。
その後、さらに2~3か月ほど服用し、その間、他に薬を加えて服用してもらったが、足首のむくみは取り切れないまま、一度止めてみるとのことで終了した。

考察:腎機能低下、夜間頻尿もあるため、腎陽虚+利水の方剤なども加えたが、足首以下のむくみは取り切れなかった。細絡も残ったままだったので、駆瘀血薬を追加してもよかったのかもしれないし、九味檳榔湯や補気薬を考えてもよかったのかもしれない。
   年齢から考えると、漢方の限界だったのかもしれない。それとも、名医なら治せていたのだろうか。最初から考えると7割近く症状が取れていたが、残念で申し訳なかった。

老人必用養草12(精神の補養について2)

香月牛山

2020年7月9日(木)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は精神の保養に関する部分の後半を読んでみます。


【原文】
・悲の情は心胞絡の主る所なり。年老いては気弱くして、憂にだも堪えがたし。悲はまた憂よりも気をけづる事倍せり。『素問』にも「悲ときは気消す」とあり。憂にしづむといふも、心のやる方もなきものなれど、涙の催すほどなる事なし。少のかなしみにもまづ涙のさきだつをもて、その重き事をしるべし。老人のとぼしき元気いかんぞ此悲に堪んや。悲はおほくは死別なり。老人には死別をつつみかくして聞せぬやうにすべき事なり。

・恐の情は腎の主る所なり。『素問』に「恐る時は気下る」とあり、老人は陽気下行して腎気なを弱し。恐怖の情を起す事なかれ。ここをもて盗賊などの入来るとても、老人の耳にはいれぬやうに取はかるべきなり。あるひは険岨なる山、深き淵などある所を見る事なかれ。恐懼のおもひをなして病を生ずる類多し。


・驚の情は胆の主る所なり。老人は気弱くして物を決断する事なし。少しの事にもおどろきやすし。ちかきあたりの火災などの時も、まづはやく立退しむべきなり。物をただおだやかにいひなして、心をおさめしめて躁すべからず。『素問』にも「驚く時は気乱る」とあり、能々心得べき事なり。


・上にいふところの七情は、医家に説所にして、もつぱら病を生ずるの事をいふなり。儒家の七情に愛・悪・慾を入て其名を異すといへども、畢竟はおなじ事なり。医家の思といふ内に此三つもこもるなるべし。此七情は人にそなはる所にして、賢愚老若共に智事なし。大過せざるやうをつねに工夫すべし。わきて慾情は七情の根本なるべし。慾とはほつする事にて、我心にかなひ我身によき事なれば、是非ともにとげたきの志をいふなり。
 (中略)愚なる人は、ただ己のほつする所みな道理にあらぬ私慾のみにて、しゐて貪る心多し。是、人の大悪情なり。
 (中略)老人は気弱く、義心薄くなりて慾ふかきに似たり。孝子順孫ありて、その分限よりも厚く衣食財宝などを奉るといへども、心にあきたる事なく、ただ不足のみおもひて子孫に対して怒を起す事おほし。これ人倫の道を害するのみにあらず。元気を耗して寿命を縮る事なり。能々心得て慾情を起す事なかれ。

【訳文】
・悲しみの感情は心胞絡が主る所である。年老いると気が弱くなり、憂い事にさえ耐えづらい。悲しみは憂いよりも倍も気を消費してしまう。『素問』にも「悲しむと気が消える」とある。憂いに心が沈むと言うのも、心のやる方もないことだが、涙が出るほどになることはない。少しの悲しみでもまず涙が先立って出てくることから、悲しみというものが重いことを知る。老人の少ない元気がどうやってこの悲しみに耐えることができるのか。悲しみは多くは死別である。老人には死別について包み隠して聞かせないようにするべきだ。

・恐れの感情は腎が主る所である。『素問』に「恐れるときは気が下がる」とあり、老人は陽気が下降して腎気はなおのこと弱い。恐怖の感情を起こしてはいけない。なので、盗賊などが入ってきたとしても、老人の耳には入らないように取り計らないといけない。あるいは険しい山、深い淵などがある所を見てはいけない。恐れの感情を抱いて病気が生じる人が多い。

・驚きの感情は胆が主る所である。老人は気(訳注:体が正常に働くためのエネルギー)が弱く物事を決断することができない。少しのことにも驚きやすい。近所での火災なども、まず初めに早く避難させるべきである。物をただ穏やかに話し、心を修養して騒いではいけない。『素問』にも「驚くときは気が乱れる」とあり、よく心得るべきことである。

・以上に言う七情は、医者が説く所であり、病気を生じることを言っている。儒家の七情には愛・悪・慾が入っていて、名前が違うと言っても、結局は同じ事である。医者が“思”と言う中にこの3つも含まれている。この七情は人に備わっているが、賢愚老若すべての人が知らない。大きな過ちのないように常に工夫をしなくてはいけない。とりわけ欲情は七情の根本である。慾とは欲することで、自分の心身に適したことなら、ぜひとも遂げたい意志をいうのだ。
 (中略)愚かな人は、ただ自分が欲することは全て道理に合わない私欲だけであり、無理にでも貪る心が多い。これは人の非常に悪い感情である。
 (中略)老人は気(訳注:体が正常に働くためのエネルギー)が弱く、義理の心が薄くなって欲が深くなる。孝子順孫(父母や祖父母につくす子供)がいて、その身の程よりも多く衣食財宝を献上するといっても、満足することがなく、ただ足りないとだけ思って子や孫に対して怒りを起こすことが多い。これは人倫の道を害するだけでない。元気を消耗して寿命を縮めることである。よく心得て欲を起こしてはいけない。


以上をまとめると、
・悲しみ、特に死別は老人には聞かせない方がいい。
・恐怖の感情も避ける。
・驚くことも避けて、騒がないようにしなくてはいけない。
・欲を抑えることが大事である。
ということです。


次は、体の保養のお話後半です。

PMS(月経前症候群)

PMS(月経前症候群)は、生理の3〜10日位前から起こる体や気持ちの不調で、生理が来ると症状が弱くなり、消えていくものを指します。
月に一度、有無を言わさず来る生理。PMSがひどい人にとって、苦行の期間です。
生理というのは、ベッドを毎月新調して、赤ちゃんを迎える準備をするためのものです。こんな素敵なことなのに、痛みや気分の不調、体のだるさや肌荒れなどに悩むのは、何だかギャップがありすぎて、腑に落ちません。
でも、それは、バランスが崩れたことで出てくる、体からの黄信号かもしれません。
生理痛やイライラや落ち込みなどの気持ちの変化もなく、あったとしても、意識するレベルではないのが、理想の状態です。
特に、赤ちゃんを産みたい人、そうでない人も、早いうちにバランスを整えて、体や気持ちの不調なく、スッキリと生理を迎えられるようにしましょう。

体質を判断するには、特に生理の状態を詳しくお聞きします。
生理周期、期間、量、色、塊の有無、生理期間の中で痛みや不調の出るのはどの時期か、経血が出ると楽になるのか、悪化するのかなど、細かく教えていただきます。
一度、ご自分の生理の状態をじっくり観察して、メモしてくださるといいかもしれません。
その他、汗、のぼせ、体の冷え、食欲などをお聞きし、舌の状態なども確認して、総合的に体質を判断します。

使う薬は、もちろん人それぞれ違います。
イライラや胸のハリなどの気の巡りが悪い(気滞)症状が強ければ理気薬、冷えが強ければ温裏薬、食事の不摂生や体に熱を溜めやすい体質なら清熱利湿薬、消化吸収が悪くて気(エネルギー)や血(けつ)を作れていなければ(脾気虚なら)補気薬や補血薬、生まれ持った体質で腎が弱かったり房事過多などで腎を傷つけてしまっていたら補腎薬を中心に、程度によって駆於血薬などを合わせていきます。

崩れたバランスを元に戻すには、早めの対策が必要です。
どんな病気も、こじれると、治りにくく、症状も強くなっていきます。
これからの人生を楽しく過ごすためにも、漢方で早めにPMS対策をしましょう。

胃のつかえ

70代女性

主訴:胃のつかえ、食欲不振

現病歴:5月中旬に来店。一度体調を崩してから、スッキリしない。食欲がない。お腹に入らない。横になりたい。頭から汗が出る。胃が重い。紅舌、老、黄厚苔(中央から奥)、数脈、やや弦。みぞおちの痞え(+)。もとから便秘気味。

脾胃の気滞をとる方剤を10日間服用してもらったが、無効。
便秘気味、心下痞から、瀉心湯類と、降濁作用の強い方剤に変更。
4日分服用したところ、便通はよくなったが、やはりまだ胃が痞える。食べていないときはどうもないが、食べると痞える。
そこで、瀉心湯を香蘇散に変更。
5日分服用したところ、合っているように思う、調子が良いとのこと。

考察:黄厚苔から瀉心湯を選んだが無効だったため、『方函口訣』の「鳩尾ニテキビシク痛ミ昼夜悶乱シテ建中瀉心ノ類ヲ用ユレドモ寸効ナキ者に与テ意外ノ效ヲ奏ス」から、香蘇散を選んだ。エキス剤は蘇葉の香りがかなり弱いので、原末の製剤にした。
   今回は、一日中悶えるほどのみぞおちの痛みではなかったが、ちゃんと効果があった。
   建中湯、瀉心湯と香蘇散では適応する病態が違うはずなので、うでを磨けばちゃんと判断できるのだろうか。それとも、浅田宗伯も迷うほど、証が似ているのだろうか。

歯の痛み

40代女性

主訴:歯の痛み

現病歴:歯科治療をした後、抗菌薬をもらって数日間服用したが、効果がなく歯が痛い。昨晩は痛みでよく眠れなかった。

第三世代セフェム系を処方されていた。その時点で、ちゃんと抗菌薬を使う先生の所へ行った方がいいのではないかと思った。が、それは置いておく。〔第三世代セフェム系は、バイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が悪く、ほとんど吸収されない。忽那先生の言う、DU(大体うんこ)処方であり、また、岩田先生は第三世代セフェム系を選択するケースなどほとんど思いつかないと言う。〕

すぐに効かせるために、新今治水(当店に販売用では置いていない)をつけてもらい、寝る前に清熱解毒の散剤(エキス剤ではなく生薬の粉末)を水に溶かしてうがいをして飲み下すように指示。3日間、朝昼服用と寝る前に含嗽使用とした。
使用したその日から痛みがほとんどなくなり、2日目以降は新今治水は使用せず、漢方薬だけを3日服用して治癒した。

考察:新今治水もすぐに痛みを取るために効果があったと思うが、漢方薬がしっかり効いたと思われる。黄連解毒湯を使用したが、エキス剤ではなく散剤を使ったのは、黄連の量が割合も量も、エキス剤より多いという理由からだった。口内炎や歯肉炎の場合、帰経から考えて、黄連と山梔子が適応になると思われる。(大塚敬節先生の『漢方と民間薬百科』には、キハダも口腔内の炎症に民間薬として使われるみたいだが。)
   直接、患部に当てられない部分の炎症には、程度によって、清熱消腫の生薬を合わせた方がいいように思う。

生理痛

30代女性

主訴:生理痛

現病歴:社会人になってから生理痛に悩まされるようになった。最近は排卵痛もある。肩こりや首コリなどもある。腰から下、太もも、お尻が冷える。腰痛、腰のだるだもあり。むくみがあり、トイレの回数は少ない。

血、水の巡りが悪いため、冷え、痛みが出ていると判断
まずは活血化於の薬を服用してもらい、生理の痛みはほとんどなくなった。
冷え、排卵痛はまだ続いているとのこと。
胞宮於阻もあり、引き続き、活血と温経散寒、水巡りもよくするお薬にして服用してもらった。
冬でも冷えはほとんどなくなり、生理痛もなく快適に過ごしているとのこと。

潰瘍性大腸炎

 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患です。腹痛や血の混ざったイチゴジャムのような下痢が出るのが特徴です。びらんや潰瘍は直腸から連続的して、口側へ広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。

 もともとの体質に、脾や腎の弱さがあり、多くの場合、そこへ不摂生が重なり、発症します。
 大腸には炎症があり、血便などの症状があるため、体に余分なものがある「実」のように見えますが、本来は体の弱さから発症しているため、「本虚表実」です。

 悪化しているときは、湿熱、血於、気滞などの実の症状が強くなるため、瀉す治療を主として、緩解しているときは脾や腎の虚弱などが現れ、補う治療を主とします。

 便の量、色や腹痛の程度、性質、普段の体質に関して詳しくお聞きし、舌と脈で体の中の状態をみます。

 ※舌診や脈診は全身状態を把握するために重要なため、欠かせません。特に、舌診は方剤が適しているかどうかを判断するのに重要です。症状の変化が乏しくても舌が変わる事もあり、治療方針の決定に役立ちます。
 来店される方は、来店前の2時間ほどはコーヒーや紅茶など、色の付く飲み物を飲まずに来てください。また、食事でも苔が変化するため、2時間ほどは食事にも気を付けていただけると、非常に助かります。

 腹痛や便の血、水分量、舌の変化などで薬の効果を評価します。
 大まかな方針が決定するまで、7日~10日間隔で来店してもらい、体の状態を観察していきます。

 ご本人の自分の症状や体に対して、細かく観察し変化を報告してくださると、方剤が決定しやすくなります。
 目標は、寛解期を持続させ、ご自分で漢方薬を使い、普段の食事でコントロールできるようになることです。


 ※青黛について
  潰瘍性大腸炎に効果があるとして、特効薬のように言われ、漢方に詳しくない方に “乱用” されたせいで、重篤な副作用が発生しました。
  青黛は肝、または心、肺、胃を冷やすとされています。五臓の中で一番デリケートな肺を冷やし過ぎて、於血を生じ、肺動脈性高血圧症が発生したと考えられます。本来、漢方薬は、補瀉、寒熱などのバランス、季節、症状の程度を考え、その人に合わせて服用してもらうものなので、青黛だけを単味でずっと飲むようなことはするはずがありません。
  副作用が発生し、厚生労働省の通達が出てから、青黛は一切販売しておりませんので、販売に関してのお問い合わせにも満足のいくお答えができません。
  その点はご了承いただけますようお願い申し上げます。
  青黛以外の生薬を用いて、ゆっくり相談時間をかけて、お一人お一人に合わせて漢方薬を選びます。

指の腫れ、痛み

30代男性

主訴:中指の腫れ、痛み

現病歴:3週間ほど前に、爪の端が剥がれていたのを引っ張ってちぎった。その後、そこから細菌が感染したのか、ずっと指が痛みこの1週間でだんだん痛みと腫れが増してきた。以前にもこんなことがあり、受診して、切開して膿をだしてもらったが、その時は生活に支障が出るほど痛かったので、そうならないうちに何とかして欲しい。

局所の症状のため、体質などの問診は省いた。熱感があまりないことだけ確認。清熱消腫の生薬2種を1週間煎じて服用してもらった。

1週間後、腫れは引いた。痛みもマシになったが、まだ痛むとのこと。
感染や治癒したが、まだ排膿しきれず、膿が周りの組織を圧迫して痛みが出ていると推測。
排膿のための方剤を使用し、3日で治癒した。

thinkihadititisには対応できないかも

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2020.6.4

ご来店の方に安心していただくために、レジには以前からシートを上から吊り下げていましたが、より使いやすいものにバージョンアップしました。
ご相談の方に関してもできるだけリスクを避けるために、アクリル板を設置しております。
また、空気の循環をよくするため、上部にファンも設置しました。

「新しい生活様式」も上から押し付けられたり、他人に押し付けたりするのではなく、やっていきたいなあ。
息切れしないように。

二日酔い

お酒の性質は大熱で、少量(ほろ酔いより少なめ)なら血流をよくする働きがあります。
二日酔いは胃に熱が溜まり、胃気が暴走して上にあがったことによる吐き気や、頭部の水の滞りによる頭痛などの症状が出てきます。

それを防ぐ為には、お酒を飲む前や飲んだ後に五苓散とガジュツ三黄散を服用してみてください。次の日が違います。
五苓散が体の中の水の偏在を治し、ガジュツ三黄散が食事の滞りとお酒による体の熱をとってくれます。

お酒を飲んだときの短期的な身体への影響は胃熱と水滞ですが、長期的になるとまた違います。
もし、付き合いなどで飲む機会が多ければ、肝機能を高める田三七をおすすめします。

お酒を毎日飲んでる方は、休肝日をつくり、田三七も毎日飲みましょう。
実際に、田三七のおかげで楽しみながらお酒を飲めている方多くいらっしゃいます。

老人必用養草11(精神の補養について1)

香月牛山

2020年5月20日(水)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は精神の保養に関する部分の前半を読んでみます。


【原文】
・七情は、医家には喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という。『素問』に出たり。儒家には喜・怒・哀・懼・愛・悪・慾といふ。『礼記』に見えたり。人、此身あれば此情なくんばあらじ。これをほどよくすれば元気めぐりて養となり、節(ほどよき)に過れば此身を害するなり。(中略)老人は気血弱き故に七情の私にかつ事をえず。虚火たかぶりて動きやすし。能々つつしむべき事なり。

・喜びの情は心の司る所なり。人、年老ては気血とぼしくなりて、物毎にただ感情ぶかく、喜しき事を聞ても、うれしなきとて涙を流す。子となり孫となりて、常に老親の前にて物がたりには、天下の太平と国の掟の正しき事と、一門の繁栄、他門のよき事とのみをいひ聞する時は、喜を生じて寿ものぶる心地するなるべし。(中略)『素問』に喜ときは心を傷ると、又喜ときは気緩まるといへり。七情のうちにて、喜ばかりは老人にさまで害をなす事なし。されどもそのよきほどはあるべき事なり。


・怒りの情は肝の主る所なり。年老ては陰血涸て孤陽ひとりたかぶりて、ややもすれば怒やすし。孝子順孫ありといへども、心にかなふ事なく、倭俗の諺にいふがごとく「隠居ひがみ」とやらんにて、何かにつれて不足のみをいひ出て、親子の中もむつまじからぬ類おほし。子としては随分をのれをつくして孝をつとめて、怒をおこさぬやうにすべし。(中略)『素問』に 「怒ては肝を傷る」、又「怒ときは気上る」といへり。


・憂の情は肺の主る所なり。年老ては気とぼしくなるによりて、身の憂、子孫の憂はさらなり。他人の憂を聞だにも心よからず。老後その身も康寧にして、子供に病患もなく、生別死別の憂もなければ、天年の寿命よりも生のぶる心地するなり。如斯(かくのごとく)の幸なる人は、上寿をもたもつべきに、一両年の間に子孫にあやしき変災など出来て憂事打つづく時は、俄に老衰して死する類おほし。(中略)『素問』に「憂ては肺を傷る」、又「憂るときは気聚る」といへり。

・思の情は脾の主る所なり。年老ては気とぼしく、物を思慮する事よろしからず。『素問』にも「思ときは気結る」といへり。文学など好む人も詩賦文章などをふかく思惟すべからず。


【訳文】
・七情は、医師は、喜び、怒り、憂い、思い悩み、悲しみ、恐れ、驚きという。『素問』に書いてある。儒家は、喜び、怒り、哀しみ、懼れ、愛、悪み、慾という。『礼記』に書いてある。人は体があれば感情がないわけがない。ほどよく感情を表すことで元気が巡って体を養うが、過度になると体を害する。(中略)老人は気血が弱いので感情を抑えることができない。虚火がたかぶって症状が出やすい。よく慎まないといけない。

・喜びの感情は心が司る所である。人は年老いると気血が少なくなって、何かあるごとに感情が大きく、喜ばし事を聞くと、うれしなきと涙を流す。子や孫が、常に老親の前で話すには、世間の平和と国の決まり事のただしさと、一族の繁栄、そのほかよいことだけを言い聞かせれば、喜びが生じて寿命も延びる心地がする。(中略)『素問』に喜ぶときは心を傷つける、また喜ぶときは気が緩まるという。七情のうちでは、喜だけは老人にそこまで害をなすことはない。そうではあるが、程度をわきまえるべきだ。

・怒りの感情は肝が主る所である。年老いると、体の水分や血液が涸れて少なくなり、体の機能だけがたかぶって、少しのことで怒りやすい。孝子順孫(父母や祖父母につくす子供)がいても、心に沿うことがなく、俗に言うような「隠居ひがみ」のように、何かにつけて不満だけを言い、親子の仲も疎遠となるものが多い。子供としてはずいぶんと身を尽くして孝行につとめ、怒りが起きぬようにする。(中略)『素問』に「怒ると肝を傷つける」、また「怒ると気が上る」という。

・憂いの感情は肺が主る所である。年老いると元気が減るにつれて、体の心配、家系の心配はさらに高まる。他人の心配を聞くことさえ心によろしくない。老後に体も健康で、子供に病気もなく、生き別れ死に別れの心配もなければ、天から授けられた寿命よりも生きのびる心地がする。このような幸せな人は、百歳でも生きられるはずだが、1,2年の間に子や孫におかしな災いなどが起こり、憂い事が続くなら、突然、老衰して死んでしまうものが多い。

・思い悩む感情は脾が主る所である。年老いると気が減るので、物事を深く考え込むことはよくない。『素問』にも「思い悩むと気が結ぼる」という。文学などを好む人も詩や歌、文章を深く考え込んではいけない。


以上をまとめると、
・感情を発散させすぎるのはいけない。適度に感情豊かに。
・喜びはほどほどであれば心と体によい。
・老人は少しのことで怒りやすくなる。怒ると気が頭に上る。
・心配事が続くと、急に心身が衰えて死ぬことがある。
・年老いてからは、考え事もほどほどに。


次は、精神の保養のお話後半です。

生理痛

20代女性

主訴:生理痛

現病歴:生理痛はもともと思いくらいだったが、ここ1年ほどで刺すような痛みになった。1日目、2日目が痛い。3日目以降はあまりない。生理周期が早く、20日くらい。とぶことはない。昔は遅かった。全体的に量が少なく、4日ほどで終わる。顔や足がむくみやすい。天気の悪い日は体がだるくなる。汗をかきやすい。毎日、アイス2個やスナック菓子、甘いものを間食する

補血活血化淤の薬に痰を取り除く薬を合わせ、食事指導を行った。
11日後、再来店。朝の目覚めやスッキリ感が改善し、ちゃんと寝ている感じがある。天気の悪い日に調子が悪くなることがなくなった。むくみは変化わからない。
25日後、前回は生理痛軽減。経血量増え、塊は減った。
その後、1か月間は1日分を2日分として服用してもらい、PMSもなく、調子よく過ごせた。
事情により、長期で海外へ行くため、終了となった。