50代女性
主訴:胸が苦しい
現病歴:
数年前からストレスが増え、初めは起床後に胸に不快感があった。その後、のどの痞えが生じて、去年からはのどの締め付け感もある。現在は、のどから胸にかけて苦しく、こわばっている。呼吸もしづらい。
西洋薬、漢方薬(半夏厚朴湯、加味逍遙散、香蘇散などその他多種)をいろいろと試したが改善せず、悪化している。
ストレス時に顕著に悪化する。体のストレッチをすると軽減する。
その他の症状・所見:
疲れやすく、朝より夕方の方が楽。不安感(+)、焦燥感(+)、ストレス多い。神経質。食欲普通。便通、小便特に問題なし。睡眠が浅く、夢をよく見る。寝つきが悪い。肩こり(+)、肌の乾燥感(+)、爪が割れやすい。足冷(+)。のぼせ(-)。
経過:
強烈な肝鬱気滞と考えて、まずは疏肝だけ。エキス剤7日分。
7日後、首の締め付け感がやや緩んだ、胸の締め付け感はかなり緩和した。少しだけ息がしやすい。肩のガチガチ感をひどく感じる。とのこと。全体的によい傾向なので同じ薬を14日分。
14日後、のどから胸の締め付け感を感じる範囲が狭くなった。ストレスを感じるが前よりも冷静に対応できる。まだ肩こりはひどいものの、前から比べるとよくなった。今は食べたいものが出てきて、以前は食欲がなかったと気づいた。とのこと。同じ薬を14日分。
14日後、胸のしんどさは悪化し始めた頃くらいに戻った。前よりも寝付きが良くなった。とのこと。ここで、肝気ばかり巡らせてもよくないので、肝血を補い巡らせる処方を加えた。14日分。
その後も徐々に良くなっていっているので、薬を減らすことも検討している。
半夏厚朴湯は、肝鬱ではなく痰気互結、気滞の薬。加味逍遙散は肝鬱だけでなく、肝血虚や虚熱に対応している薬。香蘇散は気鬱の薬。まあ、証を考えると、これらの方剤が適応する場合、ここまで強い筋緊張は出ないよなあと思う。