更年期とは、40代半ばから50代半ばを指し、閉経が近づく、もしくは閉経したことにより、体のバランスが大きく崩れる時期です。今までと違った状態に体が慣れるまで、いろいろな症状が出てしまいます。
頭部に出る症状としては、頭痛、めまい、ほてり、のぼせなど。
精神神経症状では、動悸、発汗、不眠、不安感、イライラ、うつなど。
消化器の症状では、吐き気、下痢、便秘、胃もたれ、胸やけなど。
運動器の症状では、肩こり、腰痛、関節痛、しびれ、手指の痛み・変形など。
その他、月経異常、尿失禁、性交痛、息切れ、倦怠感、むくみ、のどの渇き、ドライアイなど、様々です。
西洋医学では、のぼせや発汗、不眠、うつがひどい場合にホルモン補充療法を行うことがあります。
西洋医学では、治療のガイドラインが定められていて、それに沿った治療を行うことが多いですが、漢方では、全ての方に同じお薬を使うことはありません。
その方に合った漢方薬をお選びするために、じっくりとお話をお聞きすることになります。
更年期障害の様な症状でも、他の病気を否定する必要がありますが、その中で代表的なものは甲状腺疾患です。
甲状腺機能が亢進すれば、ほてり、のぼせ、頭痛、動悸、発汗、焦り、下痢などが現れることがあり、逆に甲状腺機能が低下すれば、不眠、うつ、便秘、胃もたれ、胸やけ、息切れ、むくみなどが現れることがあります。
更年期は甲状腺疾患が発症しやすい年齢のため、注意が必要です。
甲状腺疾患が疑われる場合は、まずは受診なさるのをおすすめいたします。
さて、更年期には、どのような体の変化があるか、漢方ではどう考えるかをご説明します。
女性は7の倍数の年齢(7歳、14歳、21歳……)で体が変化するとお聞きになったことがあるかもしれません。
漢方では、7×7=49歳で月経が止まるとされています。この時期になると、体の中の気・血・精の減少や停滞が体の症状として現れるのですが、気・血・精の各々の変化が個人によってバラバラなため、ひとによって症状が変わることになります。
○気は体を動かすエネルギーの働きがあるため、気が減っている方は、倦怠感や息切れなど、体が疲れたような症状が出ることが多いです。この場合、人参や黄耆などを中心にお薬を選びます。
気は「気分」の気でもあり、気の流れが悪くなっている方は、感情面の症状として、イライラ、うつなどが出やすくなります。また、気の流れが悪くなり、消化器が動きにくくなると、吐き気や便秘、胸やけなどが起こります。この場合は、気を動かす柴胡、枳実などが含まれるお薬を選びます。
○血は体を潤すはたらきや、体の冷却水としてのはたらきがあるため、血の不足や滞りがあると、体の一部分に乾燥や熱の症状が出てきます。乾燥の症状としては、のどの渇き、ドライアイなどが、熱の症状としては、ほてりやのぼせ、動悸、発汗などの症状が出ることがあります。血が不足している場合は、地黄や当帰など、血の流れが悪くなっている場合は、牡丹皮や桃仁などが含まれる薬を選びます。
○精は生命力の源であり、体の発育や骨、脳などに深く関わります。老化現象は精の不足として説明できることが多く、年齢とともに誰もが精は減少していきますが、更年期には症状として顕著に現れることが多くあります。精の不足によって起こる症状は、耳鳴り、髪が細く薄くなる、歯がぐらつく、腰や膝が重だるいなどです。
精が不足している場合、熟地黄や鹿茸、亀板などが含まれるお薬を選びます。
と、ここまでお話してきましたが、実際には、ある症状の原因は1つだけではありません(例えば、頭痛なら、気の停滞、血の不足、血の停滞、水の停滞など様々な病態で起こります)。
上で説明した症状と体の状態の結びつきは、典型的なもの、代表的なものとお考え下さい。
お話をお聞きした上で、体のバランスがどう崩れているのか判断いたします。
更年期の方で、様々な不調にお悩みの方は、一度、ご相談ください。
※文字化け防止のために、「病だれ+於」を「於」に、置き換えています。
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