子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍です。良性とは、腫瘍自体が大きくなるスピードが遅く、周りに広がらず、転移しないものを指します。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響によって大きくなるので、エストロゲンが放出されなくなる閉経後は小さくなる傾向があります。
筋腫が小さいうちは、無症状のことが多いですが、筋腫が大きくなってくると、月経量が多くなったり、月経痛がひどくなったりします。
他にも、月経量が多いことから貧血が起こったり、筋腫が膀胱や大腸を圧迫して頻尿や便秘になったり、不妊症の原因になることもあります。
漢方では、子宮筋腫は於血(おけつ:スムーズに流れず滞った血)もしくは痰飲(たんいん:正常な働きと動きを失った体内の水)と考えます。血や水の塊のため、体の外へ排出するために、ほぐして動きやすくして流せばよいのです。理屈は簡単ですが、すべての人に効果がある万能の薬はないため、普段の生活や体質についていろいろと質問することで、適切なお薬を選びます。
於血や痰飲は血や水の滞りなので、その滞りの原因に関しては、血や水を流す力が弱いのか、体が冷えて血や水が流れにくくなっているのか、血や水を流す力がうまく働かないのか、体内の水の過剰が影響しているのかなどを考えます。原因にアプローチしながら、滞りを解消する薬を服用してもらいますが、血の滞りを取る薬は、体力が弱い方だと、腹痛や下痢を起こしたり、疲れやすくなったりするため、体力を考慮しながら割合を決めたり、時には、体力をつけてから血の滞りを取る薬を服用してもらうこともあります。
普段の生活では、於血や痰飲を作らないために、脂っこいものや濃い味、乳製品を控えめにしてもらったりします。体は食事によって作られるため、大変重要です。
注意していただきたいのは、大きくなった筋腫では漢方薬の効果が悪くなるため、やはり、早めに手を打つことが大切という点です。医師から手術をすすめられる段階になると、難しいことも多く、そのまま閉経まで手術しないで済むように維持するのが精いっぱいです。筋腫が小さい時に漢方を服用し、ある程度、於血や痰飲が取れたら、漢方薬を少量続けることで大きくなるのを防ぐ方法のほうが、うまくいくことが多いです。
悩んでいる方は、一度、ご相談いただければと思います。
※文字化け防止のために「病だれ+於」を「於」に置き換えています。
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