勃起不全(陽痿:ようい)は、昔からよくある悩みで、江戸時代から「精」をつけるための様々な薬や食材が喧伝されてきました。
しかし、漢方では、ただ「精」をつければよいというわけではありません。
気の流れや血の流れが悪くないか、精を利用できているかなど判断して薬を用いなければ、改善しない場合があります。
精力剤を飲んでも改善しない方は、他の要因が絡んでいる可能性もあり、特に、高齢者以外では、精の不足以外の問題を考える必要があります。
漢方では、精神的ストレス、房事過度、気候による体へのストレス、打撲、久病、暴飲暴食、体の老化などが原因で、陽痿になると考えます。
交接がうまくいかなかったことがありそれを気に病んでしまう、うまくいかないことからパートナーとケンカになるなど、精神的ストレスが積もっていくと、どんどん深みにハマって、なかなか治りにくくなってしまいます。
この場合は、気(=気分の気)の流れをよくする薬を使い、悪循環を断ち切る必要があります。
房事過度や体の老化では、精(≒生命力の源)自体が少なくなってしまっているので、時間はかかりますが、薬で徐々に精を補充していきます。
陰部の打撲や、糖尿病、脂質異常症がある場合、血流が悪いせいでたたない状態になっているため、漢方でいう於血(血の滞り)を解消する薬を使います。西洋医学的にも、動脈硬化の初期症状として、勃起不全が起こりうるとされているため、まずは血の流れをよくすることが重要です。
久病では、栄養を消化吸収する能力が落ちていたり、精まで傷ついていたりするため、消化管を強くしたり、精を補充する薬を使い、体の基礎をつくっていきます。
このように、いろいろなことが考えられ、1人の人でも複数の原因が絡んでいることが多くあります。
なかなか人に言いづらいお悩みではありますが、男性の薬剤師が対応いたしますので、お困りの方は一度ご相談ください。
※文字化け防止のために、「病だれ+於」を「於」に置き換えています。