食欲不振(食べたくない・食べられない)について

食欲不振は自覚症状であり、ご本人は悩んでいても、周りには理解されない悩みかもしれません。
食べることが億劫になり、気力がわかなかったり、さらには体重が落ちてしまったりすると、生活にも支障が出てきます。
西洋医学に比べると、漢方では食欲に関する悩みに対して、お薬がたくさんあり、いろいろな選択肢があります。漢方で考える食欲不振を起こすメカニズムを次に紹介します。

半夏4

食欲がわかない、食べたくない状態を漢方で考えると、「脾(ひ)」の機能が低下したことが考えられます。
脾は食べ物の栄養を吸収して体の各所へ運ぶ役割を担いますが、その働きが落ちると食事を欲しなくなります。
短絡的に考えると、脾の機能を高めるお薬を飲めばいいということになりますが、全てがそれだけで解決するわけではありません。
脾の機能が低下している原因がないかを見極めます。

ストレスが強い、もしくは精神的に緊張しやすい場合は、環境に対する感情の反応をコントロールする「肝(かん)」にも対処します。
肝がのびやかに働かないと、脾の機能が失調して、食べ物を欲しなくなる、つまり、食欲がわきにくくなります。場合によっては、肝の問題による食欲低下であって、脾はもともとは弱くないこともあります。その場合、脾の機能を高める薬は必要ありません。

長年つづく、体質的な問題の場合、「腎(じん)」の力が弱くなっていることで、脾の機能低下が起こっているかもしれません。特に、腎の温める力が弱くなると、脾の機能も低下してしまいます。熱というのはエネルギーです。この場合、腎の温める力を補充しつつ、脾を温めることで正常に働き、食欲もわくようになります。

「湿(しつ)」が脾の働きを阻害する場合にも、食欲がなくなります。湿は湿気、余分な水です。もともと脾の機能が弱い方、脾が冷えている方、体の水の巡りが悪い方は湿が発生しやすく、溜まりやすくなっています。この場合は、脾の機能低下と湿の蓄積のどちらがどれだけ強いかを判断し、脾の機能を高める薬と湿を取り除く薬を併用します。
体の内側から湿が発生することもあれば、外からの湿が体の内側に影響することもあります。高温多湿の夏に食欲が低下するのは、そのためだと漢方では考えます。この場合は、湿を取り除く薬を主に使います。

枳実1

食べたいけど食べられない、あるいはすぐにお腹がいっぱいになる状態は、「胃」の機能が低下していると考えます。胃は食べ物を受けとめる器で、徐々に腸へ送り出すはたらきがあります。食べても胃が膨らまなかったり、なかなか腸へ送り出せないと、そういった症状が出てきます。

脾と同じように、胃の機能低下も元の原因がないかを見極めます。

ストレスや精神的緊張によって胃の動きが悪くなっている場合は、胃腸を動かす薬と同時に肝を整える薬を使います。

みぞおちの辺りで気が痞えて動かなくなった場合は、痞えを取る漢方薬を使うと、気が動き、胃腸が動き出します。

脾が弱い上に胃も弱い場合は、胃を動かす薬に、脾のはたらきをよくする薬を少し使います。

人参6

上記の通り、食欲不振にもいろいろな体の状態が考えられます。「これさえ飲めば治ります!」と言えるような漢方薬はないため、その方に合わせて薬を決めなければいけません。
食欲不振の体質を改善したいなら、ぜひ漢方薬を試してみてください。

漢方薬局ハレノヴァ

TEL: 06-6312-8429

大阪市北区末広町3-21 扇町センタービル1F

ご相談予約

症状・病気別漢方

症例

回春仙について②(やる気の低下・頭がぼーっとする)

回春仙は、13種類の生薬を配合しており、気(≒エネルギー)や陰(機能亢進過剰を抑えるもの)などをバランスよく補充できる漢方薬です。
1丸が小さいため服用しやすく、瓶も小さいので持ち運びやすいのが特徴です。
症状があるときに服用する、頓服薬としてとても便利な漢方薬です。
今回は、やる気の低下・頭がぼーっとするのを改善するはたらきについてお話します。
続きを読む »

回春仙について①(動悸・息切れ)

回春仙は、13種類の生薬を配合しており、気(≒エネルギー)や陰(≒機能の亢進しすぎを抑えるもの)などをバランスよく補充できる漢方薬です。
1丸が小さいため服用しやすく、瓶も小さいので持ち運びやすいのが特徴です。
症状があるときに服用する、頓服薬としてとても便利な漢方薬です。
今回は、動悸・息切れに対する効果についてお話します。
続きを読む »

廣東牛黄清心元について④(動悸・不安に対して)

牛黄清心元7

まず、ご注意いただきたいのが、牛黄清心元(ごおうせいしんがん)は、様々なメーカーが製造していて、内容が違うことです。含まれる生薬が違うと、使い方も違います。
廣東牛黄清心元(かんとんごおうせいしんがん;以下、清心元)について、今回は高熱やのぼせに対する効果を説明いたします。


続きを読む »

頭がクラクラする・手足のしびれ

30代女性
主訴:#1頭がクラクラする・#2手足のしびれ

現病歴:
#1頭がはたらかず考えがまとまらない、言葉が出なくなる。1日中(+)だが疲れでさらに悪化。眠くないのに今すぐ横になりたくなる。血の気が引くのに近い感覚。めまいではない。
#2今までも症状があったが、この3週間ほどが特にひどい。特に足がひどい。以前はしびれだけ。一日中(+)、仕事終わりに悪化。何か他のことをしたりリラックスしていると(-)。
友人がここで薬をもらっていて、すごくよかったので、(当店を)勧められたとのこと。

続きを読む »

ゴールデンウィーク営業日のお知らせ

15042201

2023.4.28(金)

続きを読む »

呑気症

50代女性
主訴:呑気症(と自分で判断)

現病歴:お腹全体が脹って仕方がない。げっぷもガスも良く出る。クリニックで数か月間、漢方薬をもらっているが治らない。自分では呑気症だと思う。ストレスが原因と感じる。

続きを読む »

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)の副作用防止

60代女性
主訴:経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)の副作用防止

現病歴:
 2か月ほど前に突然血尿が出て病院受診。早期がんの疑い。2週間後に上記の手術を受けた。筋層まで切除したため、術後は激痛だった。これから、BCG注入療法をするが、膀胱炎など副作用が起きないようにしたい。
 現在、日中は2時間ごとにトイレ、夜間も3時間ごとにトイレへいく(以前は昼は3時間ごと、夜は6時間以上起きなかった)。排尿痛は少し。血尿は見た目にはないが、尿検査で潜血(2+)。残尿感(-)。
 

続きを読む »

食欲不振(食べたくない・食べられない)について

半夏4

食欲不振は自覚症状であり、ご本人は悩んでいても、周りには理解されない悩みかもしれません。
食べることが億劫になり、気力がわかなかったり、さらには体重が落ちてしまったりすると、生活にも支障が出てきます。
西洋医学に比べると、漢方では食欲に関する悩みに対して、お薬がたくさんあり、いろいろな選択肢があります。漢方で考える食欲不振を起こすメカニズムを次に紹介します。


続きを読む »

疲れやすい・生理前後の体調不良

20代女性
主訴:疲れやすい・生理前後の体調不良

現病歴:
 〈疲れやすい〉大学生の頃から。初めは体力の低下のみだったが、最近は体力とともに気力もダウンしている。
 〈生理前後の体調不良〉高校3年生くらいから。年々悪化している。それ以前は生理痛もなく問題なかった。貧血っぽい感じ。鉄と葉酸のサプリを飲み忘れたり、睡眠が短いとひどくなりやすい。生理の3日前からしんどくなってくる。生理が終わりに近づくと少しよくなるが、しんどいときも多い。

続きを読む »

廣東牛黄清心元について③(高熱・のぼせに対して)

牛黄清心元3

まず、ご注意いただきたいのが、牛黄清心元(ごおうせいしんがん)は、様々なメーカーが製造していて、内容が違うことです。含まれる生薬が違うと、使い方も違います。
廣東牛黄清心元(かんとんごおうせいしんがん;以下、清心元)について、今回は高熱やのぼせに対する効果を説明いたします。


続きを読む »

足の冷え・不眠・注意力散漫

60代女性
主訴:足の冷え・不眠・注意力散漫

現病歴:
 〈睡眠〉1か月半前から寝付きが悪い。今は5~6時に起きて二度寝する。一般用医薬品の入眠剤を半分量服用したら朝まで眠気が残った。毎日ではないが夢を見る。
 〈足冷〉膝から下が冷える。毎日ではない。冷えて痛い感じ。夕方から夜にかけて悪化。ゴルフを練習しているが、練習とは無関係。疲れで悪化するか不明。お風呂に入るとちゃんと温まる。
 〈注意力散漫〉鍋の空焚きやコンロの火の点け忘れなどがあった。少し前には普段気にしないことで不安があった。イライラでのぼせることはない。
 

続きを読む »

顔面神経マヒについて

釣藤鈎2

顔面マヒは、顔の筋肉に力が入らなくなる病気です。
飲み物を飲もうとしても口からこぼれてしまったり、目がしっかりと閉じれなくなったり、顔が左右で違う表情になったりします。
多くはウイルスが原因ですが、原因不明のこともあります。
漢方でも西洋医学でも早期治療が大切です。


続きを読む »

体のだるさ・睡眠障害

50代男性
主訴:体のだるさ・睡眠障害

現病歴:
 どちらも1~2年前から症状があり、きっかけは思い当たらない。同時期に発症。
 体のだるさは、朝(+)、昼は食事で(+)、夕方から夜は朝よりマシ。平日と休日で変化なし。季節での変化なし。
 睡眠障害は、寝つきよいが、12時に寝たあと3~4時に起きて1時間以上眠れない。7時に起床。中途覚醒は3日/週。眠前の食事や飲酒(-)。物音で起きる(+)。胸悶(-)、煩躁(-)。仕事のことなど、いろんなことを考えてしまう。

続きを読む »

手の荒れ(湿疹)

50代女性
主訴:手の荒れ(水疱)

現病歴:1年位前に急に発症。手全体(+)、手の平の真ん中は少ない、手少陰心経付近に多発。かゆみ(-)。何かに触れると痛みがある。水疱が破れるとお湯が染みる。2~3日周期で発疹治癒を繰り返す。寝ているときに掻く(-)。手の平やや熱く感じる。
 

続きを読む »