アトピーの治療で「本当は冷えによって起こっている」「身体の内側は冷えているから温めないといけない」が、好きな人が多いなあと思います。
熱症状と思える炎症が、実際は冷えで起こっているのだと言うと、逆説的で、それが今までの考え方をひっくり返してくれて、袋小路に入り込んだ思考に新たな抜け道を与えてくれるようで、飛びつきたくなるのでしょうか。
治療者も、患者も心地いいのかもしれません。
ただ、冷えが悪いのは、そこから巡りが悪くなるからであって、炎症がある直接(根本ではなく)の原因は気血津液の滞りだと考えます。
いずれは温める薬が必要であったとしても、今の肌の状態を考慮しないといけません。
少なくとも、炎症が強い時は、強く温める生薬を使わない方が、絶対に無難です。
どうしてもという時に、いろいろと組み合わせながら、慎重に使うべきだと思います。
局所の熱症状がある時に、乾姜、附子、桂皮、川弓を使うと、大体、悪化してるように感じます。
そもそも、1人の人間が経験に基づいて言うことなんて、偏っているはず、偏っていて当たり前です。
冷えてるはずだから温める、で全員に対応していると、そこからこぼれる人が出てきます。
まあ、うちにいらっしゃる方に、温熱薬で悪化する人がたまたま多いだけと言えば、そうかもしれないです。
だからこそ、できるだけ先入観を取り除いて、薬を決めていかないと、と自分に言い聞かせています。