2018年1月16日(火)
この冬は寒い。めちゃくちゃ寒いです。これだけ寒いと、いつもの年より、温かいそばやうどんが恋しくなります。
今回は、そば、うどんに欠かせない薬味、七味唐辛子に入っている生薬についてお話ししようと思います。
七味唐辛子なので、七つの薬味が入っているのは当然ですが、中身は決まっていないようです。
紫蘇や生姜が入ることもあり、いろいろな組み合わせがあるんですね。
私は小さいころから、ずっと同じ大手メーカーのものを使っていて、
それには、唐辛子、山椒、黒ごま、青のり、陳皮、麻の実、けしの実が入っています。
この7つの中で漢方でよく使われるのは、山椒、黒ごま、陳皮、麻の実です。
写真では、左上、右上、左下、右下の順になっています。
それぞれについて、漢方での効能を簡単に説明します。
山椒はお腹を温めて、冷えからくる痛みや吐き気を抑えます。お腹を温めて痛みをとるなどの症状をとる、大建中湯に含まれます。
中華料理に使われる花椒は山椒の仲間です。山椒とはまた違った風味で、こちらも食欲をそそるいい香りがします。
うなぎ以外ではさんまの蒲焼きなどにも使われますが、さんまの水煮缶にかけてもおいしいんですよね。
黒ごまは身体に潤いを与えて、便通をよくしたり、老化などで不足する「陰」を補います。
じゅくじゅくした湿疹などに使う、消風散に含まれます。
黒ゴマの潤いを与える作用と反対のように思いますが、これは消風散の他の生薬で乾きすぎるのを防ぐため、
全体のバランスをとるために入っています。
サプリメントのセサミンは、漢方でのゴマの効能と似ていて、漢方の考え方からも説明できます。
陳皮はみかんの皮を乾燥させたもので、気を巡らせ、痰を消すことで、消化不良や吐き気、痰のつまりなどに使われます。
食べるとすぐに胃がもたれる症状などをとる、六君子湯に含まれます。
みかんの白いひげみたいな所は「アルベド」という名前ですが、これは言ってもほとんど通じないから使えないので、
覚えてて無駄な言葉のひとつだなあとみかんを食べるといつも思います。
麻の実は漢方では麻子仁(マシニン)と呼ばれ、腸を潤して便通をよくしたり、滋養に使われたりします。
便秘に使われる、潤腸湯や麻子仁丸などに含まれます。
これだけで食べても、全然おいしくないので、あのカリッとした食感のために、入っているのだと思います。
このように、現在の漢方でも使われる生薬も入っているので、
これから七味を使うときは、その中身のことも考えてみてください。