40代女性
主訴:ふらつき
現病歴:普段から疲れやすく体力がない。他から帰脾湯を購入して服用している。もともと血圧が低いが、毎年、春先に血圧が不安定になり、ふらつくことが多い。電車の中で貧血を起こして倒れ、クリニックを受診し、低血圧と心電図の乱れを指摘された。測定した血圧は上が90だった。心電図は人間ドックでも、専門の医師でなければ心筋梗塞と診断されるような波形と言われていた。舌下静脈怒張++
帰脾湯に加えて還元清血飲を服用してもらった。
数日後から、自覚的なふらつきがなくなり、7日後の受診では、上の血圧が110以上になった。今まで、これほど高い血圧になったことがなかったとのこと。この処方をしばらく続けてもらった。
考察:気がのびやかになるべき春に、仕事のストレスによる肝鬱気滞で不調を起こしていたのだと思う。頭部の血流を良くする川弓などの活血薬が必要と考え、心電図が心筋梗塞様とのことから、心血於阻に対する還元清血飲を選んだところ、うまくいった。
補うだけで瀉す生薬のない帰脾湯の続服も気滞血於を助長したのだと思う。今後、常用量でなく少量でもよいので、理気活血の方剤を合わせて服用した方がいいと思う。
※文字化け防止のために「病だれ+於」を「於」に、「草かんむり+弓」を「弓」置き換えています。