80代男性
主訴:足のむくみ
現病歴:両足の膝から下にむくみがある。初めは足首から下だったが、半年ほど前からひどくなってきた。クレアチニン1.0程度、推算GFR50程度。腎臓が悪く、病院へ行っているが、Drはむくみに関してあまり気にしていないとのこと。
その他症状・所見:靴下の跡が付き、触ると固い。押すと凹みが付き、なかなか元に戻らない。痛みはない。下腿に細絡があり、肌が乾燥している。上肢は乾燥していない。爪がもろく、縦しわがある。舌は淡紅、薄白苔、於斑。
細絡、於斑から、活血化於と利水の効能のある方剤を選んだ。高齢だが、補気が少ない方剤のため、体のだるさなど何か不調があれば連絡するようにお話しして、まず7日分服用してもらった。
7日後、お連れ様曰く夕方のむくみがマシになった。触った感じも柔らかくなった。と。客観的には、変化が若干あるかなというくらいだったが、そのまま同じ処方を14日分お渡しした。
さらに14日後、初めに比べて、まだ少し太いものの、ふくらはぎが見違えるほど細くなっていた。足首より上は柔らかくなったが、足首以下はまだ固く、むくみもある。
その後、さらに2~3か月ほど服用し、その間、他に薬を加えて服用してもらったが、足首のむくみが完全には取り切れないまま、一度止めてみるとのことで終了した。
考察:腎機能低下、夜間頻尿もあるため、腎陽虚+利水の方剤なども加えたが、足首以下のむくみは取り切れなかった。細絡も残ったままだったので、駆於血薬を追加したり、九味檳榔湯や補気薬を考えてもよかったのかもしれない。
もしくは、年齢から考えると、漢方の限界だったのだろうか。それとも、名医なら治せていたのだろうか。最初から考えると7割近く症状が取れていたが、残念で申し訳なかった。
※文字化け防止のために、「病だれ+於」を「於」に置き換えています。