生後9カ月の男児
主訴:肌の赤みと痒み
現病歴:生後6か月ごろから肌の赤みと痒みが出てき始めた。ひどくはならないが治らない。赤みのある丘疹で、頭部にはなく、胸元や側腹部に数か所ある。アトピーと診断され、ワセリンなどの保湿薬を塗っている。
その他の症状・所見:よだれが多い。癇癪持ち。よく動く。
便秘薬を服用させているため、おいしくない漢方薬を飲ませることで、子供が薬嫌いにならないか心配しているとのこと。
よだれが多い場合、脾胃が冷えていることが多く、乾姜甘草湯の方意を持つ方剤を考えるが、乾姜入りだと辛くて飲めないかもしれないと思い、甘くて飲みやすいものを選択した。水滞を除くものと心陰を補うものを組み合わせ15日分お渡しした。
2回目、13日後、飲ませる前は痒い日とそうでない日があったが、服用し出してから、痒そうにすることがなくなり、晩に保湿剤を塗らなくてもよいほどになり、皮膚がきれいになったとのこと。同じ薬を15日分お渡しして、その後は、体の小ささや髪の毛が生えるのが遅いことから、体質改善のために、瓊玉膏を服用するように伝えた。
所感:よだれの多さから、おそらく、脾陽虚はあるのだろう。本治には脾陽虚を改善しないといけないと思う。瓊玉膏を服用しつつ、普段の食事でお腹を冷やす食材を避け、温める食材を積極的に選んでもらうことにした。さらに根本には腎精不足がありそうなので、瓊玉膏でも改善できると考えた。今後も、経過を聞かせてもらいながら、薬を親御さんと一緒に考えていこうと思っている。