40代男性
主訴:新型コロナウイルス感染症
普段からお薬をお渡ししている方。
9月上旬。2日前から倦怠感発熱、咳(+)、寒気(-)、筋肉痛(-)、頭痛(+)、口渇(-)、のどのイガイガ(+)。
お子さんも数日前に倦怠感と発熱があった。コロナ検査キットを購入して試したが、陰性だった。とのこと。
→銀翹散製剤をお渡しした。加えて、手元にある板藍根を服用してもらう。
4日後、体温39℃。咳がいったん出ると続く。嗚咽(+)。頭痛(-)。咳による胸痛(+)。痰(+)黄色ではない。黄厚苔。コロナ陽性。
→柴葛解肌湯、強結胸散を各1日3包で服用してもらう。
翌日、体温37℃。咳は少しマシかなあくらい。座っていると咳(-)、少し後ろに反って斜めになると咳(+)。胸痛(-)。食欲あり。昨日より元気。
→柴葛解肌湯1日2包に、強結胸散1日1包に減らしてもらう。
翌日、咳をなんとかしてほしい。痰は透明、大きい咳をすると毎回出る、出しやすい痰。夜の方が出やすいが日中もある、横になると出やすい。熱は36.7~37.5℃を往来。頭痛(-)。動かなければ無汗。いつもより不眠ひどい。便秘(-)。発疹(-)。白厚苔。
→竹茹温胆湯をお渡しした。
その後、嗅覚障害はほとんどなく回復した。とのこと。
悪寒がなく、コロナ検査も陰性で、最初は軽い風温だと考えた。銀翹散無効なのは、病勢が激しかったせいだろう。コロナの初期の場合、少なくとも銀翹散単独では太刀打ちできないと思う。
咳による胸痛(激しくはない)があったところから、小陥胸湯加減の強結胸散を服用してもらった。翌日に解熱したのは、小陥胸湯加減の強結胸散の効果だろう。この場合、茯苓と蒼朮が含まれている点も、よい方向に働いたと思う。
本人には、強結胸散を「咳の薬」と話してしまったため、あまり重視していなかったようす。邪の場所・強さ・性質が症状として現れているなどの説明をすればよかったと反省している。