妊娠し子どもを出産するのは喜ばしいことですが、お母さんの体にとっては大変な負担となります。
赤ちゃんを産むというのは、お母さんの生命力と栄養を分け与えるということです。
外の世界へ出て、自分の力でいのちを保てる程度まで体を成長させないといけません。
そのため、お母さんの生命力が弱っている時には、妊娠がお母さん自身の体に危険を及ぼすため、体の防御反応として妊娠を拒否します。
生命力が不足していると、なかなか妊娠しなかったり、ひどい場合は生理が止まることもあります。
まずは、妊娠前にお母さんの体を整えることが、元気な赤ちゃんを産むための第一歩となります。
気や血が足りない場合は補充して、気血や水が滞っている場合は巡りをよくします。
血の滞りがあると、必ずではありませんが、お母さんの於血(おけつ:血の滞り)を赤ちゃんが受け取ることがあります。
「出産でアトピーが治った」「出産で生理痛が治った」という話をお聞きになったことがあると思いますが、これは、多くが於血が体の外へ出ていくことで起こる変化です。
この於血を、赤ちゃんが受け取ってしまい、於血の体質となることがあります。
ただし、妊娠中に於血を解消するための薬を新しく使い始めることはしないので、妊娠前に於血を解消しておくことも、元気な赤ちゃんを産むのに重要なことです。
妊娠中には、余分な水が溜まりやすく、同時に血や精が不足しやすい状態になります。
余分な水が溜まると、妊娠高血圧症やむくみなどに、血や精の不足はめまいやひどい便秘などに繋がります。
35歳以上の初産を「高齢出産」と呼びますが、高齢出産では、20代の出産に比べて、お母さんの精(≒生命力)が弱くなっているので、精を補充するお薬が重要になります。
赤ちゃんにしっかり分け与えるための、生命力、栄養を補充する薬を服用することで、丈夫な赤ちゃんが生まれ、また、産後の不調も少なくなります。
実際、生まれてきた赤ちゃんの成長を見ると、他の子に比べて髪が生えるのが早く、量も多いこともままあります。
ただ、精を補充するお薬は、同時に余分な水分を溜めてしまうことも多く、ただでさえ妊娠中は余分な水が溜まりやすいので、体質をみて、時には他の薬を少し加えて併用しながら服用します。
食べ物は、それぞれの体質にあったものを選んで食べてください。もちろん、偏った食事はいけませんが、少なめにした方がよいもの、多めにとる方がよいものなどは、ひとそれぞれあります。
漢方薬、漢方の考え方を元気な赤ちゃんを産むための手助けにしてください。
※文字化け防止のために、「病だれ+於」を「於」に置き換えています。