40代女性
主訴:子宮筋腫
現病歴:婦人科で子宮筋腫を指摘された。すぐに手術を勧められるほどではない大きさ。月経過多(-)。周期22~23日。期間3日ほど。経血量少なめ。塊(+)。生理痛(-)。月経前の症状は全体的に重くない。
その他の症状・所見:イネ花粉症(+)。かぜが長引きやすい、喉からくるかぜが多い。休日はおやつをよく食べる。冬でも冷たいものが好き。多夢(-)。爪が割れやすい。目が疲れやすい。人混み、電車、会議中などに咳が出やすい。手足のほてり(-)。
駆於血剤とガジュツ末を合わせてお渡しした。
3か月後、婦人科の検査で、子宮筋腫が小さくなっていた。婦人科の先生は漢方薬に否定的で、服用しない方がいいと言われたが、実際には小さくなっているので続けたい。生理の血塊が減り、生理前の胸の脹りはほとんどなくなった。とのこと。
実際の大きさを聞いていないようだが、小さくなったのは確実だということなので、続けて服用してみましょうとお話しした。
所感:著効した症例。ほとんどの場合は、筋腫を大きくさせず、閉経まで手術をせずに済むのを目標とするが、この方はすごくよく効いた。
悪性腫瘍以外の腫瘍では、莪朮と三稜の組み合わせがよく使われるが、それほどひどい筋腫でなければ、適した駆於血薬に莪朮だけを加えてもまずまず効果があるように感じる。
ただ、莪朮は脾胃虚弱(胃腸が弱い)や気虚には注意が必要。補脾薬、補気薬を併用しないと、気(≒エネルギー)を減らしてしまい、血の流れがさらに悪くなる可能性がある。
莪朮には食事の滞りを取る働きもあり、胃がスッキリするからと、莪朮が主薬の製品などを好んで服用している高齢者がいるが、気虚を兼ねている方が正気を補う薬がないまま連日服用するのはどうかといつも思う。