50代男性
主訴:うつ症状
現病歴:
経営者。数か月前から、仕事のやる気が減った。以前は、仕事が重なっても、やる気があったが、今はスケジュールを見て、ため息をついたり、これから得意先との大事な話があるというときにしんどくなったりする。自分では、軽いうつなのではないかと思う。
その他の症状・所見:
恰幅のいい体つき。便通問題なし。小便1日5回、夜間1回。のぼせ、めまいなし。肩こり。のどの痞えなし。手足の冷えなし。動悸なし。食欲あり、食事量普通。
舌紅、黄厚苔。
経過:
気を巡らせて下に降ろす薬を14日分お渡しした。
14日後、1包飲んだだけで、かなり気分がよくなった。以前のようなしんどさがなくなったとのこと。さらに14日分お渡しした。
所感:
気を巡らせるには、柴胡や香附子が入った薬が用いられるが、日本漢方の考え方では、細かい使い分けがあり、臨床では迷うことがたくさんある。中医学の基礎だけで大雑把に決めると、適した方剤にたどり着かないことも多い。百発百中は難しい。今回は、あっさり決まって、うまくいったのでよかった。
ただ、肝鬱気滞は、その人の環境、考え方などが絡んでいるので、再発する可能性はある。少しずつでも、根本の原因を取り除いたり、原因から肝鬱気滞へのルートを断つ方がいいけど、それもなかなか難しい。