健婦丸

健婦丸は血の滞り(=於血:おけつ)を取る基本的なお薬です。
於血によって様々な病気が起こり、また、病気が長引くと、於血が生まれるため、応用範囲が非常に広いお薬です。

効能・効果以外にも様々な症状に使われますが、説明書にある健婦丸の効能・効果を元に、解説いたします。

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効能・効果
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ

「比較的体力があり」
健婦丸は静脈の滞りを無くす作用(化於作用)や血管外に漏れ出した血を吸収する作用(破血作用)があり、気や血を補充する作用は、ほとんどありません。そのため、気や血が極端に不足している方が、健婦丸だけを使用すると、不足している血を無理やり動かすことになり、血や、血と一緒に動く気を消耗してしまい、倦怠感などが現れることがあります。健婦丸に耐えられないほど気血が不足している方には、気血を補充しながら使用することがままあります。

「下腹部痛」
健婦丸はチョウ(病だれ+徴)と呼ばれる、お腹の中の腫瘤がある者に使用すると『金匱要略』に記載されています。現代では、子宮筋腫などに相当すると考えられるため、下腹部痛があると記載があります。

「肩こり、頭重、めまい」
肩で血が滞ると肩こりに、頭で血が滞ると頭の重い感じやめまいに繋がります。

「のぼせて足冷え」
血は熱を運ぶ役割があるため、全身の血の巡りが悪いと、体の上下で熱が偏ることになります。そもそも、現代人は頭をはたらかせることが多いため、頭は充血しやすい一方、足を動かし続けることがないため、足を流れている血が少なく冷えやすくなりますが、血が滞ると、さらに症状が強くなります。

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ここまでが血が滞っている方の普段の体質で、この後は実際に起こっている症状です。

「月経不順、月経異常、月経痛」
月経は、子宮に血が集まり、集まった血が体の外へ流れ出す現象です。もし、血が集まる場所(血海)に、すでに血の滞りがあると、28日より早めに月経が始まり、また、巡りが悪いために痛みを生じます。於血がある方の月経の特徴は、経血に血の塊があり、塊が出ると体が楽になることです。

「更年期障害、血の道症」
更年期や月経前には、ホルモンバランスの変化から、血が滞りやすくなり、様々な精神症状が現れます。於血が強ければ健婦丸を用いますが、更年期障害の場合は、本質には腎虚(貯めてある生命力の低下)や血の不足があるため、補腎・補血を併用した方が効果的です。生理前からいろいろな症状が出るが、経血が出ると体が楽になるという場合、於血による不調と考えられるため、健婦丸が適しているといえます。

「肩こり、めまい、頭重、」
既に説明した通り、肩や頭の血の滞りがあると、肩こり、めまい、頭重が起こります。肩や頭に滞った血の巡りをよくすることで、肩のこりやめまい、頭の重さを解消します。

「打ち身(打撲症)」
打撲は体の気血の通り道を壊し、血が滞りやすくなるため、血の巡りをよくする健婦丸が適する状態になります。また、内出血が起こった時に、中に含まれる桃仁(とうにん)などが内出血の吸収を促進してくれます。

「しもやけ」
しもやけは、手足の先で血流が滞り、起こります。もし、“行き”つまり動脈の血流が悪くなってしまうと、指先が真っ白になってしまいますが、このような状態には、健婦丸は適していません。健婦丸がよいのは、指先が紫色や赤黒くなってしまう状態です。このような状態は、“帰り”つまり静脈の血流が悪くなった状態のため、静脈の鬱滞を取る牡丹皮(ぼたんぴ)が含まれる健婦丸が適しています。

「しみ」
しみは血が血管外に漏れ出したものとして考えます。健婦丸に含まれる桃仁が血管外に漏れ出した血の吸収を促進するため、しみにも効果があります。桃仁は水に溶けださない成分が多いので、エキス剤よりも生薬の粉末を使用している健婦丸が適しています。

健婦丸には、この他にも様々な効能がありますが、薬の説明書に従って説明いたしました。
気になる方は、一度試してみてください。

健婦丸のご購入はこちら↓
 https://halenova-onlineshop.com/SHOP/A_0005.html

※文字化け防止のために「病だれ+於」を「於」に置き換えています。

漢方薬局ハレノヴァ

TEL: 06-6312-8429

大阪市北区末広町3-21 扇町センタービル1F

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症状・病気別漢方

症例

かぜのような体の不調

50代女性
主訴:かぜのような体の不調が続く

現病歴:
 趣味のスポーツを練習中、かぜのような寒気がした。葛根湯を飲んで少し元気になった。1週間後、同様の症状。
 食欲不振はないが、若干の寒気がある。毎年、春先に体調を崩しやすい。夜に寝る時だけ咳が出る。

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漢方の「肝」について

漢方と現代医学では、同じ用語でも全く同じものを指すことはありません。
「五つの臓(臓器)」の名前でいうと、西洋医学では、臓器そのものの実体を指す言葉ですが、漢方では、システムや機能単位で区切った言葉です。
今回、「肝」について紹介いたします。
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しびれ・知覚鈍麻について

正常な人でも、正座を長時間した後に、しびれを感じることがあります。慢性的に血行不良が続いたり、一時的な血行不良のあと、一部血流が再開すると、しびれを感じます。
漢方でも、しびれや知覚のマヒは、症状のある部分に気血(エネルギーや血液)が届かなくなって起こると考えます。
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年末年始休業日のお知らせ(2023~24年)

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2023.12.16(土)

漢方薬局ハレノヴァの年末年始休業日をお知らせいたします。

年末年始休業期間:2022年12月29日(金)~2023年1月4日(木)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は2023年1月5日(金)以降となります。
また、休業期間中はオンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い申し上げます。

コロナ後の不調(体のだるさ、痰・喉の違和感)

40代男性
主訴: コロナ後の体のだるさ、痰、喉のイガイガ

現病歴:
 午前中は動けるが、午後からしんどくなる。体を動かした後や、仕事に集中するとだるくなる。昼食後は眠たい。夕方も時に寝たい。休日も不変。
 咳はでないが、痰が出る。透明で粘っこい。たまにのどにへばりついている。
 のどのイガイガは朝はマシで夕方になるにつれて悪化。
 コロナは1ヶ月前になった。初めは強い寒気、発熱37.5℃、水様便2~3日。その3日後に強いのど痛。さらに4日後に痰、咳だけ残った。

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病気になりにくい体・再発しにくい体について④(治療薬・健康を保つための薬)

人参5

前回、邪を防ぐ、邪の発生を予防するための方法をお話ししました。
今回は、漢方薬にも、治療のための薬、健康を保つのための薬があることについてお話しします。

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病気になりにくい体・再発しにくい体について③(邪への対処)

牛黄2

前回、正気を強くするためにはどのような方法があるかお話ししました。
では、邪を防ぐ、邪の発生を予防するにはどうすればよいでしょうか。
1,邪を細菌やウイルスとする場合、2,気候や環境とする場合、3,気血水の滞りとする場合に分けて考えてみます。

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病気になりにくい体・再発しにくい体について②(正気を強くする)

瓊玉膏300g8 沈香

前回、病気にならないためには、正気を強くするか、邪の侵入を防いだり、邪を体に溜め込まないようにするかどちらかという話をしました。
では、正気を強くするにはどうすればよいか。
正気を強くするには、正しい食事と睡眠をとる、治療のための薬ではなく保健のための薬を飲む、体の熱や冷えのバランスを整える、五臓(肺心脾肝腎)のバランスを整えるなどが必要です。

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病気になりにくい体・再発しにくい体について①(正気と邪)

防已3

病気になりたくないのは、全ての方に共通している思いではないでしょうか。
(むしろ病気になりたいという方は、深淵な哲学をお持ちの方か、探究心を窮めた狂気じみた方か、芯の図太い徹底した天邪鬼だと思います。)
では、病気になりにくい体、病気が再発しにくい体を目指すためにはどうすればよいでしょうか。
漢方の視点、治療薬、保健薬、生活習慣、心、いろいろな面からどうすればよいかを考え、何回かに分けてお話ししていこうと思います。

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夏季休業期間のお知らせ(2023)

8月のたぬき

2023年8月10日(木)

漢方薬局ハレノヴァの夏期休業期間をお知らせいたします。

夏期休業期間:8月11日(金)~8月16日(水)

休業日もメールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は翌営業日以降となります。
また、オンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いいたします。

瓊玉膏について⑥(更年期)

更年期の悩みは、パートナーの方など周りに理解されないことも多く、一人で抱え込んでしまうこともあります。
現在は、更年期症状が出る年齢が早まっている方も少なからずいらっしゃって、そういった方は、世間一般にいう更年期の年齢ではないため、一層、理解を得られにくくなっています。

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車酔いからくる手足のしびれ

40代女性
主訴:車酔い・手足のしびれ

現病歴:
 前日バスで酔った。以前からあるが、車酔いで胃の違和感、胃のしびれが出て、その後、手足がしびれ、体が硬直して動かなくなる。
 明日から車を運転して、出かける予定なので、何とかしたい。
 今日は食べられるがムカムカしている。頭に霞がかかったよう。手足の冷え(-)。喜冷飲。ムカムカと頭の症状同程度。

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こむら返り・便秘

70代男性
主訴:#1こむら返り・#2便秘

現病歴:
#1ゴルフをしていると後半に足がつる。芍薬甘草湯を飲んで、以前は効いていたが、効かなくなった。夏もつる。つりやすい時間帯はない。足に毛布をくるんで寝ると多少マシ。
#2直腸がん切除後から排便障害あり。酸化マグネシウムで便通がある。出が悪く、ガスも溜まる。便秘で胸が悪くなる。

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回春仙について③(気付け)

回春仙は、13種類の生薬を配合し、心臓の症状以外にも応用できる漢方薬です。
1丸が小さいため服用しやすく、瓶も小さいので持ち運びやすいのが特徴です。
症状があるときに服用する、頓服薬としてとても便利な漢方薬です。
今回は、気付けに対する効果についてお話します。
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過敏性腸症候群(IBS)について

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や便通の異常があり、数ヶ月にわたって慢性的に続く病気です。
人によって、便秘だけ、下痢だけが続いたり、便秘と下痢を交互に繰り返すこともあります。
症状が強いと、電車に長時間乗れず、トイレがない車両だと不安だったり、緊張する場面になるとすぐにお腹が痛くなり、トイレに何度も駆け込むなど、生活に支障をきたすこともあります。
漢方では、どう考えて薬を決めていくのか、次にご紹介します。
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