口の症状

口内炎

炎症が起こるのは、余分な熱があるためと考えます。
熱のために赤く腫れる、痛みなどの症状が出ます。
病態として、1、胃熱(イネツ)、2、肝火(カンカ)、3、気虚、4、陰虚などがあります。

1の場合は、口内炎の他に、食欲が旺盛、口臭がある、のどが渇くなどの症状があります。
このタイプは暴飲暴食や、味の濃いもの脂っこいもの、刺激物を食べることで胃に熱が溜まり、炎症を起こしているので、
胃の熱を取る方剤を使います。それに加えて、食事をあっさりしたものに変える必要があります。

2の場合は、口内炎の他に、イライラ、目の充血、耳鳴り、脇の下や胸の痛みなどの症状があります。
このタイプは、精神的な緊張が続いたり、怒りを繰り返すことで、気の流れが悪くなり、肝が熱を持っているので、
肝の熱をとり、気を巡らせる方剤を使います。生活では、こころにゆとりを持たせることが重要です。

3の場合は、口内炎の他に、疲れやすい、体のだるさ、顔色が白い、息切れなどの症状があります。
このタイプは、もともと体の弱い人や胃腸の弱い人が疲労、睡眠不足、偏食、かぜなどで体力を消耗して起こるため、
気血を補う方剤を使います。同時に、しっかり体を休めることで治りが早く、再発もしにくくなります。

4の場合は、口内炎の他に、肌のかさつき、便秘、胸が熱く苦しい、寝汗、手足のほてりなどの症状があります。
このタイプは、体の冷却水が減ったために熱を生じた状態です。上の1、2、3のような体に熱を持った状態が長く続く、
精神的な緊張が長く続く、性生活の不摂生など、いろいろな原因で起こるため、その人にあった養生が必要です。

1~4全てのタイプで共通して気を付けていただくのは、甘いもの、辛いもの、脂っこいもの、お酒を控えて、
熱が体に溜まらないようにすることです。


黄連6

口腔内乾燥症(ドライマウス)

乾燥しているのは血(ケツ)や水の不足と考えます。
血や水が持つ、潤すはたらきが十分に発揮されていないため、口の中が乾燥します。
病態として、1、胃陰虚、2、肝火、3、腎陰虚などが考えられます。

1の場合、口の乾燥の他に、お腹が空くがあまり食べられない、吐き気、しゃっくり、胸やけ、便秘などの症状があります。
このタイプは、辛いものの食べ過ぎ、慢性の炎症、消耗などで起こり、胃陰を補う処方を使います。

2の場合、口の乾燥の他に、イライラ、目の充血、耳鳴り、脇の下や胸の痛みなどの症状があります。
このタイプは、精神的な緊張が続いたり、怒りを繰り返すことで、気の流れが悪くなり、肝が熱を持っているので、
肝の熱をとり、気を巡らせる方剤を使います。生活では、こころにゆとりを持たせることが重要です。

3の場合、口の乾燥の他に、体の熱感、手足のほてり、皮膚の乾燥、男性では性欲はあるが続かない、
女性では月経が少ないなどの症状が出ます。
このタイプは、加齢、慢性病による消耗、発汗や下痢で水分が失われる、性生活の不摂生などによって起こります。
腎陰を補う処方を使います。

全てのタイプに共通して言えることですが、飲んでいる薬の影響で唾液の分泌が低下していることもあるため、
服用中の薬もチェックします。
普段の生活では、良く噛んで食べる、口呼吸をしない、唾液腺マッサージをすることなど、唾液が良く出るようにして、口の乾きも抑えることが重要です。


麦門冬2

舌痛症

舌に痛みがあるのは、気血が届かない、熱が甚だしいなどが考えられます。
また、心因性もよくみられるため、気を巡らせる方剤を併用することもあります。
病態として、口内炎と同じものが挙げられ、治療も同じ様な方剤となるので、口内炎の項を参照してください。
ただ、舌痛症は治るのに時間がかかります。一般的に病気というは時間が経つほど治りにくくなるため、
より早めに相談に来ていただくことがなにより大事です。

漢方薬局ハレノヴァ

TEL: 06-6312-8429

大阪市北区末広町3-21 扇町センタービル1F

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症状・病気別漢方

症例

かぜ(コロナ?)

30代女性
主訴:かぜ(コロナ?)

現病歴:
 夫がかぜで倒れたあと、発症。頭痛、手足がだるい、寒け少し、37℃強の微熱。

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コロナ後の痰・息切れ

40代女性
主訴:コロナ後の痰・息切れ

現病歴:
 2年前の秋にコロナ感染。痰が粘っこくひっつく。夜に1時間ごとに起きることもある。通常は透明で粘っこい痰。黄色い痰が出るとすっとする。夕方に悪化。
 “水蛭が入った漢方薬”をもらって服用しているが、効果なし。

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発疹

70代女性
主訴:皮膚の赤み

現病歴:
 数か月前から皮膚に地図状の赤みが出てきた。凹凸なし。痒み(-)、カサカサ(-)。

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眼感染症

60代女性
主訴:眼感染症

現病歴:
 コンタクトレンズを付けると、曇って見えた。眼科を受診すると、感染症と言われ、抗菌薬の点眼薬を処方された。点眼薬が合わず、途中で中止。1ヶ月後の受診時に治っていないと言われた。
 目の痒みは少し。痛み(−)。目脂は1週間に1回くらい。涙が出やすい(−)。目が疲れる。元々ドライアイ。

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気象病(天気痛)について

半夏4

気象病(天気痛)とは、天気や気圧の変化によって起こる痛みや体調の悪化をいいます。
雨の日が近づくと頭痛がしたり、リウマチの人なら関節が痛くなったり、喘息の人なら少しぜーぜーするなどの症状が出てきたりします。

漢方では、体の中に湿気をため込んでいる人は、気象病の症状が出やすいです。
体の中に湿が溢れていると、体の外の湿に、体の中の湿が反応して、体への影響が大きくなります。
カラッと晴れた湿度の低い、いい天気の時には、体内の湿も鳴りを潜めて大人しくしているのですが、外に味方がいるときには暴れてしまいます。

体の中に湿をため込む人(水の巡りが悪い人)は、いくつかの種類に分けることができます。
胃腸が弱いタイプ、腎が弱いタイプ、冷えているタイプ、肺が弱いタイプなどがあります。
胃腸が弱いタイプは、食事の量はあまり食べられなかったり、食後に眠くなりやすかったりします。漢方では、胃腸は水をさばく働きがあると考え、胃腸が弱いと、水の巡りが悪くなって、手足や頭に湿が溜まりやすくなります。
腎が弱いタイプは、喉が渇いて飲むけど尿が出にくかったりします。尿による不要な水の排出が悪くなることで、湿が溜まりやすくなります。
冷えているタイプは、手足が冷えやすかったり、冷たいものが飲めなかったりします。冷えているせいで、体内の水の巡りが悪くなり、湿を溜めてしまいます。
肺が弱いタイプは、かぜをひきやすかったり、動くとすぐに汗が出たりします。肺は体の上部や体表面の水を動かす働きがあるので、肺が弱いことも湿が溜まることに繋がります。
このほかにも、精神的ストレスで全身の気(エネルギー)の巡りが悪くなり、それに伴って水の巡りが悪くなるのが絡んでいる人もいます。
1人の人の中に、いろいろなタイプが混ざっていることが多いので、その人にあったお薬を選ばないといけません。

では、湿をため込まないためにはどうすればよいかですが、湿を入れない・生み出さない、湿を追い出す、この2つが原則です。
水を飲む量を考えたり、湿を生む甘いものや脂っこいものを避けたりして、湿の発生を防ぎ、しっかり動いて汗や尿として湿を追い出すなどが効果的です。
体が冷えると気血水の巡りも悪くなるため、氷入りの水分は取らないことなども重要です。

天気に関連する不調に関しては、西洋薬ではあまり効果がないため、漢方薬が大きな力を発揮します。
お一人お一人に合った漢方薬をご提案します。
よければ、一度ご相談ください。

暑熱馴化(しょねつじゅんか)について

防風1

暑熱馴化(しょねつじゅんか)。なぜかこの2、3年で急にニュースで聞くようになった言葉です。暑熱馴化ができていないと、熱中症のリスクが高まります。
体が暑さに馴れる馴れないとは別に、体質として、なかなか汗をかかない方は、結構います。漢方相談で来店される方の場合、汗をかきやすい、或はかけるかどうかはかなり重要な判断材料となります。

さて、暑熱馴化に関して簡単に説明すると、急に気温が上がる時期や、暑い日が続かない時期は、まだ体が暑さに慣れていなくて、汗を出したり体表面の血管を拡げて熱を体の外へ逃がす機序が上手く働かないということです。

厚労省や日本気象協会の情報から引用すると、予防には、ウォーキングやサイクリングなどの軽い運動、筋トレ、入浴などが有効で、汗を出やすい体にできると言います。
一度、体が暑さに慣れても、数日暑くない日が続くと、元に戻ることがあり、5月、梅雨の晴れ間、梅雨明けなどは気を付けなければいけません。

また、利尿薬や、自律神経にはたらくパーキンソン病の薬、広範囲の皮膚疾患を持っている方などは、熱中症の危険性が高いです。

まずは、運動で汗腺を鍛えることが重要ですが、それでも体質として難しい方は、漢方薬も選択肢になります。
漢方では、汗をかけないのは、体表面まで気を持って行けなかったり、体表面までの道で気が滞っていたり、体が冷えていて代謝が悪いなどの状態が考えられます。
漢方薬を試してみたい方は、一度ご来店ください。

唇の荒れ

80代女性
主訴:唇の荒れ

現病歴:
 唇が1ヶ月ほど前から荒れている。皮がめくれていて、自分でもめくってしまう。

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ゴールデンウィーク営業日(2024)のお知らせ

ゴールデンウィークはカレンダー通りに営業いたします。

休業日:2024年4月28日(日)、29日(月)、5月3日(金)~6日(月)
営業日:2024年4月30日(火)~5月2日(木)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は翌営業日以降となります。
また、オンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承くださいませ。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い申し上げます。

老人必用養草16(老人の疾病治療について1)

香月牛山

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は老人の疾病治療に関する部分を抜粋して読んでみます。

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かぜのような体の不調

50代女性
主訴:かぜのような体の不調が続く

現病歴:
 趣味のスポーツを練習中、かぜのような寒気がした。葛根湯を飲んで少し元気になった。1週間後、同様の症状。
 食欲不振はないが、若干の寒気がある。毎年、春先に体調を崩しやすい。夜に寝る時だけ咳が出る。

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漢方の「肝」について

漢方と現代医学では、同じ用語でも全く同じものを指すことはありません。
「五つの臓(臓器)」の名前でいうと、西洋医学では、臓器そのものの実体を指す言葉ですが、漢方では、システムや機能単位で区切った言葉です。
今回、「肝」について紹介いたします。
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しびれ・知覚鈍麻について

正常な人でも、正座を長時間した後に、しびれを感じることがあります。慢性的に血行不良が続いたり、一時的な血行不良のあと、一部血流が再開すると、しびれを感じます。
漢方でも、しびれや知覚のマヒは、症状のある部分に気血(エネルギーや血液)が届かなくなって起こると考えます。
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年末年始休業日のお知らせ(2023~24年)

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2023.12.16(土)

漢方薬局ハレノヴァの年末年始休業日をお知らせいたします。

年末年始休業期間:2022年12月29日(金)~2023年1月4日(木)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は2023年1月5日(金)以降となります。
また、休業期間中はオンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い申し上げます。

コロナ後の不調(体のだるさ、痰・喉の違和感)

40代男性
主訴: コロナ後の体のだるさ、痰、喉のイガイガ

現病歴:
 午前中は動けるが、午後からしんどくなる。体を動かした後や、仕事に集中するとだるくなる。昼食後は眠たい。夕方も時に寝たい。休日も不変。
 咳はでないが、痰が出る。透明で粘っこい。たまにのどにへばりついている。
 のどのイガイガは朝はマシで夕方になるにつれて悪化。
 コロナは1ヶ月前になった。初めは強い寒気、発熱37.5℃、水様便2~3日。その3日後に強いのど痛。さらに4日後に痰、咳だけ残った。

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病気になりにくい体・再発しにくい体について④(治療薬・健康を保つための薬)

人参5

前回、邪を防ぐ、邪の発生を予防するための方法をお話ししました。
今回は、漢方薬にも、治療のための薬、健康を保つのための薬があることについてお話しします。

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