花粉症
花粉症では、アレルギーとなっている花粉が飛んでいる時期に、眼の痒み、涙が出る、鼻水が出る、鼻が詰まるなどの症状がでます。
原因となる花粉は、スギやヒノキだけでなく、初夏のイネ、秋のブタクサなど、一年中飛んでいるため、ある季節だけ症状が出る方は、花粉症の可能性があります。
鼻水、涙、眼の痒みなどの症状は、体の中にある余分な水が、花粉を刺激として溢れ出した状態ですので、花粉症を改善するには、水が溜まらないようにする、水の代謝をよくすることが大切です。こういった症状を取るために、利水作用のある漢方処方を使います。
症状を引き起こす原因として、
1、風寒、
2、風熱、
3、肺気虚
などがあります。
1の場合は、鼻水がサラサラして、ポタポタ垂れる、涙が溢れるなどの症状があります。
この時には、温めて水を追い出す方剤を使います。
2の場合は、鼻水はあまり垂れずに、鼻づまりがあり、目が赤くかゆいなどの症状があります。
この時には、冷やすと同時に水を抜いて、粘膜の腫れをとる方剤を使います。
3の場合は、鼻水の他に、息切れしやすい、動くとすぐに汗をかく、風邪をひきやすいなどの症状があります。上2つと違い、体の必要な気が不足しているのが原因です。肺の気は皮膚のバリアとなるのですが、この肺気が不足すると、気候の変化や刺激に弱くなり、皮膚や鼻、のどの症状が出やすくなります。
この時には、肺の気を補い、外からの刺激に強くする方剤を使います。ただし、肺の気を補うのは数日では難しいので、1か月以上服用してもらうことになります。
症状を抑えるための薬では、再発してしまうので、途中で体質を改善する処方に切り替え、さらに生活習慣を改善します。
初めに、体の中にある余分な水によって起こると言ったように、水が溜まらない生活、水の代謝をよくする生活にすることがポイントです。水分摂取では、喉が渇いた分だけ飲んで、余分な水を取らないようにしてください。また、冷たい水は動きにくく、体に溜まりやすいので、飲むときはできるだけ温かいものを飲むことを心がけてください。水の代謝をよくするには、体を動かすこと、汗をかくことが大切です。体を動かすことで、水を動かすための気(エネルギー)が動くので、代謝がよくなります。
花粉症の症状を抑えるには、漢方薬は効果がありますが、元から治すには、漢方薬だけでは力不足です。また、生活習慣の改善だけでも長期間かかります。漢方薬と生活習慣の改善を同時に行うことで、効率よく体質改善ができます。
副鼻腔炎
副鼻腔炎には、かぜなどに続いて発症した急性副鼻腔炎と、長期にわたって炎症が続いている慢性副鼻腔炎があります。
原因として、
急性期は1、風寒(太陽病)2、風寒(少陽病)
慢性期は3、陰虚、4、気虚
などがあります。
かぜなどに続いて症状が現れた場合は、風寒の邪によるものと考えます。外からの邪(ジャ:病気を起こす原因)が体に侵入して起こり、鼻詰まりが続いて、濃い鼻水が出てくる、のどに落ちてくるなどの症状が出てきます。
かぜをひいてすぐの場合は、体の浅いところに邪がある(太陽病)ので、体の表面から追い出す方剤を使います。かぜが1度治ってからまたぶり返した場合は、もう少し深い位置に邪がある(少陽病)ので、追い出すのではなく、消して散らす方剤を使います。
1、2とは別に長期にわたって副鼻腔炎が続いている場合、鼻づまり、鼻水、咳などの症状があります。3は陰と呼ばれる体の冷却水の働きをするものが足りなくて熱を持ち炎症を起こしているため、陰を補い炎症を起こしやすい体質を改善する方剤を、4は回復するエネルギーがないため、炎症を治す体力を補う方剤を使います。
慢性的な炎症は、体にくすぶった火がずっと消えずに残っている状態です。体の中で異常な火が起こらないようにする必要があります。
食事では油、脂肪、甘いものをできるだけ避けてください。肉は少なめにしてタンパク質は、大豆や魚からとるように心がけてください。
食品添加物も避けた方がいいです。また、食べ過ぎも控えてください。油、脂肪、甘いもの、食べ過ぎなどは、余分な熱を発生させて、炎症を助長します。
食事に気を付けて、健康な生活を送ってください。