老人必用養草3(寄り道)

2019年6月8日(土)

香月牛山

前回に引き続き、『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は、以前に紹介した『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』の香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになる本です。

なのですが、今回は何か所かを切り取り、「老人」や「年老いては」、「人」などの言葉を削って、通して見てみます。



【原文】

・ややもすればその心にかなはず、物毎に堪忍なりがたく、多欲にして怒り、うらみ、安穏にして楽しむことをしらず、さまざまの願望やむ時なき類の者おほし。
・脾気弱く、腸胃もすぼくなるによりて、常に食物を一度に食らふ事をえず。その上、虚火ありてかはく故に、飢る事もやすく、満る事もやすし。
・それ物の性の熱なるもの。炭火にてやきたるもの、気の辛く辣き物の甘しゅうなる物あたふべからず。
・紙袍は寒気を防ぎ、おもからずして便ある服なり。
・居所は南東をうけて陽気の方に向ふべし。
・万事におどろきやすし。ここを以て居所はその屋鋪の中央に作りて、四方より物躁き音などの聞えぬやうにすべし。
・常に目を楽しめて心を養うより外の事なければ、その家作も分限よりも清らかにすべし。
・居所の庭は広大なる仮山泉水を作るべからず。ひろき庭などを常に望めば眼をうばはれ、心散じて志気を耗す。しかのみならず、仮山は種々の物ずきをして、奇石などを立をくによりて、山にのぼり、石に踞て寒湿にあたり、あるひは足の弱き、蹶きこけ、腰をくじき、足を損ず。泉水ことに悪し。夏は暑気を凌に便あるに似たれども、水湿の気、皮膚をやぶり、冬は寒湿地中に満ちて、家の下まで湿気およびてさまたげおほし。
・春二月半ばより秋八月末までは、庭に出て草木の青みを見るときは、眼の病といふ事なく、眼性もつよきことなり。
・病後に舌をかく事なかれ。舌は心神の通ずる所なれば、そこなひやぶる時はたちまち命絶するなり。


【訳文】
・ともすると、思い通りにならず、何に対しても許せず、欲が多くて怒り、恨み、心やすらかにして楽しむことを知らず、様々な願望が絶えず起こるものが多い。
・胃腸が弱く細くなるので、食べ物を一度に食べることができない。その上、食欲の仮亢進があり、お腹が減りやすく、一杯にもなりやすい。
・熱いもの、炭火で焼いたもの、辛いもの、甘くて脂っこいものは与えてはいけない。
・紙の衣服は寒気を防ぎ、軽いので適した服である。
・住まいは南東の陽気が入る方に向いているのがよい。
・何事にも驚きやすいので、部屋は家の中央につくって、周りの騒がしい音などが聞こえないようにしなくてはいけない。
・いつも目を楽しませて心を養う以外にすることがないので、その家は身分よりもキレイにしなくてはいけない。
・庭は広大な山や泉を作ってはいけない。広い庭が常に前にあると、目を奪われ、心が散って、何かをやり遂げる気が減る。それだけでなく、山には趣向を凝らして、めずらしい石など置き、登っては石に座って寒気と湿気にあてられる、あるいは足が弱く、つまづいてこけて、腰をいためて足を怪我する。泉はとくに悪い。夏は暑さをしのぐのによいが、湿気が皮膚から入り、冬は冷えと湿気が地下に広がり、家の下まで湿気が及んで健康を害することが多い。
・春の2月半ばから秋の8月末までは、庭に出て草木の緑を見れば、眼の病気になる事がなく、眼の性質も強くなる。
・病後に舌を掻いてはいけない。舌は精神が通じる所なので、傷がつくとすぐに死んでしまう。


何か、ヒトではない生き物みたいです。
ちょっと、コメントを付けてみると

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この生物の飼い方には、いくつかコツや注意点があります。
わがままで、思い通りにならないと怒るので、なだめながら飼わないといけません。
食べられないのに食欲があったり、食べ物に制限があったりするので、体調に気を付けて、食べてもいいものを食べられる分だけ与えます。
家や庭にも配慮しないといけない点があって、怠ると怪我をしたり、体調を崩したりするので、飼い始めるときには、念入りに考える必要があります。
一番気を付けないといけないのは、舌を傷つけないことです。舌が傷つくとすぐに死んでしまうので、堅い食べ物などは十分注意しないといけません。長い間、愛情を注いで育ててきて、なついてきたのに、ちょっとした不注意で死なせてしまっては、悔やんでも悔やみきれません。
なかなか、扱いづらい生き物のように思えますよね。
でも、しっかりと特性を知れば、決して難しい生き物ではありませんので、みなさんも、ぜひ一度、飼ってみてもらえれば、その愛らしさがわかると思います。
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イース文化でのヤプーの育成法や、モラヴィアのパパーロみたいですね。
老人の養生法の本からの抜粋とは思えなくなります。

理由の部分を省略したり、現代の考え方からは少し眉唾に思える所をつなげたりして、違った印象にして遊んでみましたが、
本当は有用なことがたくさん書いてある本なので、誤解のないようにお願いします。



では、次回は、普段の調子に戻って、養生法について真面目に紹介していきます。

生理痛

30代女性

主訴:生理痛

現病歴:社会人になってから生理痛に悩まされるようになった。最近は排卵痛もある。肩こりや首コリなどもある。腰から下、太もも、お尻が冷える。腰痛、腰のだるだもあり。むくみがあり、トイレの回数は少ない。

血、水の巡りが悪いため、冷え、痛みが出ていると判断
まずは活血化於の薬を服用してもらい、生理の痛みはほとんどなくなった。
冷え、排卵痛はまだ続いているとのこと。
胞宮於阻もあり、引き続き、活血と温経散寒、水巡りもよくするお薬にして服用してもらった。
冬でも冷えはほとんどなくなり、生理痛もなく快適に過ごしているとのこと。

潰瘍性大腸炎

 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患です。腹痛や血の混ざったイチゴジャムのような下痢が出るのが特徴です。びらんや潰瘍は直腸から連続的して、口側へ広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。

 もともとの体質に、脾や腎の弱さがあり、多くの場合、そこへ不摂生が重なり、発症します。
 大腸には炎症があり、血便などの症状があるため、体に余分なものがある「実」のように見えますが、本来は体の弱さから発症しているため、「本虚表実」です。

 悪化しているときは、湿熱、血於、気滞などの実の症状が強くなるため、瀉す治療を主として、緩解しているときは脾や腎の虚弱などが現れ、補う治療を主とします。

 便の量、色や腹痛の程度、性質、普段の体質に関して詳しくお聞きし、舌と脈で体の中の状態をみます。

 ※舌診や脈診は全身状態を把握するために重要なため、欠かせません。特に、舌診は方剤が適しているかどうかを判断するのに重要です。症状の変化が乏しくても舌が変わる事もあり、治療方針の決定に役立ちます。
 来店される方は、来店前の2時間ほどはコーヒーや紅茶など、色の付く飲み物を飲まずに来てください。また、食事でも苔が変化するため、2時間ほどは食事にも気を付けていただけると、非常に助かります。

 腹痛や便の血、水分量、舌の変化などで薬の効果を評価します。
 大まかな方針が決定するまで、7日~10日間隔で来店してもらい、体の状態を観察していきます。

 ご本人の自分の症状や体に対して、細かく観察し変化を報告してくださると、方剤が決定しやすくなります。
 目標は、寛解期を持続させ、ご自分で漢方薬を使い、普段の食事でコントロールできるようになることです。


 ※青黛について
  潰瘍性大腸炎に効果があるとして、特効薬のように言われ、漢方に詳しくない方に “乱用” されたせいで、重篤な副作用が発生しました。
  青黛は肝、または心、肺、胃を冷やすとされています。五臓の中で一番デリケートな肺を冷やし過ぎて、於血を生じ、肺動脈性高血圧症が発生したと考えられます。本来、漢方薬は、補瀉、寒熱などのバランス、季節、症状の程度を考え、その人に合わせて服用してもらうものなので、青黛だけを単味でずっと飲むようなことはするはずがありません。
  副作用が発生し、厚生労働省の通達が出てから、青黛は一切販売しておりませんので、販売に関してのお問い合わせにも満足のいくお答えができません。
  その点はご了承いただけますようお願い申し上げます。
  青黛以外の生薬を用いて、ゆっくり相談時間をかけて、お一人お一人に合わせて漢方薬を選びます。

指の腫れ、痛み

30代男性

主訴:中指の腫れ、痛み

現病歴:3週間ほど前に、爪の端が剥がれていたのを引っ張ってちぎった。その後、そこから細菌が感染したのか、ずっと指が痛みこの1週間でだんだん痛みと腫れが増してきた。以前にもこんなことがあり、受診して、切開して膿をだしてもらったが、その時は生活に支障が出るほど痛かったので、そうならないうちに何とかして欲しい。

局所の症状のため、体質などの問診は省いた。熱感があまりないことだけ確認。清熱消腫の生薬2種を1週間煎じて服用してもらった。

1週間後、腫れは引いた。痛みもマシになったが、まだ痛むとのこと。
感染や治癒したが、まだ排膿しきれず、膿が周りの組織を圧迫して痛みが出ていると推測。
排膿のための方剤を使用し、3日で治癒した。

thinkihadititisには対応できないかも

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2020.6.4

ご来店の方に安心していただくために、レジには以前からシートを上から吊り下げていましたが、より使いやすいものにバージョンアップしました。
ご相談の方に関してもできるだけリスクを避けるために、アクリル板を設置しております。
また、空気の循環をよくするため、上部にファンも設置しました。

「新しい生活様式」も上から押し付けられたり、他人に押し付けたりするのではなく、やっていきたいなあ。
息切れしないように。

二日酔い

お酒の性質は大熱で、少量(ほろ酔いより少なめ)なら血流をよくする働きがあります。
二日酔いは胃に熱が溜まり、胃気が暴走して上にあがったことによる吐き気や、頭部の水の滞りによる頭痛などの症状が出てきます。

それを防ぐ為には、お酒を飲む前や飲んだ後に五苓散とガジュツ三黄散を服用してみてください。次の日が違います。
五苓散が体の中の水の偏在を治し、ガジュツ三黄散が食事の滞りとお酒による体の熱をとってくれます。

お酒を飲んだときの短期的な身体への影響は胃熱と水滞ですが、長期的になるとまた違います。
もし、付き合いなどで飲む機会が多ければ、肝機能を高める田三七をおすすめします。

お酒を毎日飲んでる方は、休肝日をつくり、田三七も毎日飲みましょう。
実際に、田三七のおかげで楽しみながらお酒を飲めている方多くいらっしゃいます。

老人必用養草11(精神の補養について1)

香月牛山

2020年5月20日(水)

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は精神の保養に関する部分の前半を読んでみます。


【原文】
・七情は、医家には喜・怒・憂・思・悲・恐・驚という。『素問』に出たり。儒家には喜・怒・哀・懼・愛・悪・慾といふ。『礼記』に見えたり。人、此身あれば此情なくんばあらじ。これをほどよくすれば元気めぐりて養となり、節(ほどよき)に過れば此身を害するなり。(中略)老人は気血弱き故に七情の私にかつ事をえず。虚火たかぶりて動きやすし。能々つつしむべき事なり。

・喜びの情は心の司る所なり。人、年老ては気血とぼしくなりて、物毎にただ感情ぶかく、喜しき事を聞ても、うれしなきとて涙を流す。子となり孫となりて、常に老親の前にて物がたりには、天下の太平と国の掟の正しき事と、一門の繁栄、他門のよき事とのみをいひ聞する時は、喜を生じて寿ものぶる心地するなるべし。(中略)『素問』に喜ときは心を傷ると、又喜ときは気緩まるといへり。七情のうちにて、喜ばかりは老人にさまで害をなす事なし。されどもそのよきほどはあるべき事なり。


・怒りの情は肝の主る所なり。年老ては陰血涸て孤陽ひとりたかぶりて、ややもすれば怒やすし。孝子順孫ありといへども、心にかなふ事なく、倭俗の諺にいふがごとく「隠居ひがみ」とやらんにて、何かにつれて不足のみをいひ出て、親子の中もむつまじからぬ類おほし。子としては随分をのれをつくして孝をつとめて、怒をおこさぬやうにすべし。(中略)『素問』に 「怒ては肝を傷る」、又「怒ときは気上る」といへり。


・憂の情は肺の主る所なり。年老ては気とぼしくなるによりて、身の憂、子孫の憂はさらなり。他人の憂を聞だにも心よからず。老後その身も康寧にして、子供に病患もなく、生別死別の憂もなければ、天年の寿命よりも生のぶる心地するなり。如斯(かくのごとく)の幸なる人は、上寿をもたもつべきに、一両年の間に子孫にあやしき変災など出来て憂事打つづく時は、俄に老衰して死する類おほし。(中略)『素問』に「憂ては肺を傷る」、又「憂るときは気聚る」といへり。

・思の情は脾の主る所なり。年老ては気とぼしく、物を思慮する事よろしからず。『素問』にも「思ときは気結る」といへり。文学など好む人も詩賦文章などをふかく思惟すべからず。


【訳文】
・七情は、医師は、喜び、怒り、憂い、思い悩み、悲しみ、恐れ、驚きという。『素問』に書いてある。儒家は、喜び、怒り、哀しみ、懼れ、愛、悪み、慾という。『礼記』に書いてある。人は体があれば感情がないわけがない。ほどよく感情を表すことで元気が巡って体を養うが、過度になると体を害する。(中略)老人は気血が弱いので感情を抑えることができない。虚火がたかぶって症状が出やすい。よく慎まないといけない。

・喜びの感情は心が司る所である。人は年老いると気血が少なくなって、何かあるごとに感情が大きく、喜ばし事を聞くと、うれしなきと涙を流す。子や孫が、常に老親の前で話すには、世間の平和と国の決まり事のただしさと、一族の繁栄、そのほかよいことだけを言い聞かせれば、喜びが生じて寿命も延びる心地がする。(中略)『素問』に喜ぶときは心を傷つける、また喜ぶときは気が緩まるという。七情のうちでは、喜だけは老人にそこまで害をなすことはない。そうではあるが、程度をわきまえるべきだ。

・怒りの感情は肝が主る所である。年老いると、体の水分や血液が涸れて少なくなり、体の機能だけがたかぶって、少しのことで怒りやすい。孝子順孫(父母や祖父母につくす子供)がいても、心に沿うことがなく、俗に言うような「隠居ひがみ」のように、何かにつけて不満だけを言い、親子の仲も疎遠となるものが多い。子供としてはずいぶんと身を尽くして孝行につとめ、怒りが起きぬようにする。(中略)『素問』に「怒ると肝を傷つける」、また「怒ると気が上る」という。

・憂いの感情は肺が主る所である。年老いると元気が減るにつれて、体の心配、家系の心配はさらに高まる。他人の心配を聞くことさえ心によろしくない。老後に体も健康で、子供に病気もなく、生き別れ死に別れの心配もなければ、天から授けられた寿命よりも生きのびる心地がする。このような幸せな人は、百歳でも生きられるはずだが、1,2年の間に子や孫におかしな災いなどが起こり、憂い事が続くなら、突然、老衰して死んでしまうものが多い。

・思い悩む感情は脾が主る所である。年老いると気が減るので、物事を深く考え込むことはよくない。『素問』にも「思い悩むと気が結ぼる」という。文学などを好む人も詩や歌、文章を深く考え込んではいけない。


以上をまとめると、
・感情を発散させすぎるのはいけない。適度に感情豊かに。
・喜びはほどほどであれば心と体によい。
・老人は少しのことで怒りやすくなる。怒ると気が頭に上る。
・心配事が続くと、急に心身が衰えて死ぬことがある。
・年老いてからは、考え事もほどほどに。


次は、精神の保養のお話後半です。

生理痛

20代女性

主訴:生理痛

現病歴:生理痛はもともと思いくらいだったが、ここ1年ほどで刺すような痛みになった。1日目、2日目が痛い。3日目以降はあまりない。生理周期が早く、20日くらい。とぶことはない。昔は遅かった。全体的に量が少なく、4日ほどで終わる。顔や足がむくみやすい。天気の悪い日は体がだるくなる。汗をかきやすい。毎日、アイス2個やスナック菓子、甘いものを間食する

補血活血化淤の薬に痰を取り除く薬を合わせ、食事指導を行った。
11日後、再来店。朝の目覚めやスッキリ感が改善し、ちゃんと寝ている感じがある。天気の悪い日に調子が悪くなることがなくなった。むくみは変化わからない。
25日後、前回は生理痛軽減。経血量増え、塊は減った。
その後、1か月間は1日分を2日分として服用してもらい、PMSもなく、調子よく過ごせた。
事情により、長期で海外へ行くため、終了となった。

嘔吐

20代女性

主訴:嘔吐

現病歴:数日前から電車に乗ると吐いてしまう。吐く前は悪寒、悪心があり、吐いた後もスッキリせずしんどい。時間帯や立つ座るに無関係。3日前からアイスや炭酸が欲しくなった。胃はもともと丈夫で、脂っこいものも平気。乗り物酔いしない。舌は紅舌、少苔、痩薄。舌下動脈の怒張はない。

胃熱を冷ます処方と胃気を降ろす処方を7日間処方し、辛いもの甘いものと食べ過ぎを控えるように指示。3日服用すると吐くことはなくなり、7日間服用して終了した。

むくみ

40代女性

主訴:むくみ

現病歴:食べると体がむくみやすい。顔、脚、お腹、腕など全身。一日中むくみやすい。食後にお腹のハリがある。通勤で片道20分ほど歩いている。胸やけ(-)、胃のちゃぽちゃぽ感(-)、食べ過ぎると腰がだるい感じがする。

消導薬と芳香化湿薬、利水薬を合わせて7日間処方。
徐々に体全体のむくみが減り、楽になった。目の周りのはれぼったさも減り、気分もスッキリした。一日中だるかったのも今はない。天気の悪い日にしんどかったが、今日(再び来店された日は雨)は大丈夫。
今までは食欲がなくても無理やり食べていたが、空腹感も感じる。便通がよく、げっぷやおならも出てスッキリする。
1か月半服用して終了した。

にきび

 にきびは分泌された皮脂が毛穴から出ずに詰まってしまうことから始まります。皮脂が詰まり、毛穴の表面が閉じているのは白にきび(閉鎖面皰)とよばれ、白く膨れて触るとわかるにきびで、炎症が起こる前の段階です。皮脂が詰まり、毛穴の表面が開いているのは黒にきび(解放面皰)とよばれ、黒く見えるにきびで、こちらは白にきびと違って、炎症に発展することは少ないです。
面皰ができたのち繁殖したアクネ菌が炎症誘発物質を放出したり、産生された細菌性リパーゼによって遊離脂肪酸が生成され、炎症が進んでいきます。

 にきびは、肝や腎のはたらき(ホルモンバランス)の異常や、食事によって湿熱が溜まったり、血が肌に滞り熱を持つようになったり、血の生成不足や血流の不足によって皮膚に栄養が届かないことによってできます。

 赤みの程度やできやすい時期、普段の食事内容などをお聞きして方剤を決定します。

 にきびが出だした若いころから早い時期から漢方薬を飲むことで、跡が残りにくくなります。
 また、長年のにきびでも、へこみがなくなることは難しいですが、色素沈着などはだんだんときれいになっていきます。

 周りはあまり気にしていなくても、本人にとっては、非常に苦痛を伴います。仕方ないと諦めずに、相談にいらしてください。

アトピー性皮膚炎

 アトピー性皮膚炎は乳児期は頭や顔に多く、成長につれて体幹や手足の関節部分の乾燥が目立つようになります。思春期以降になると顔や肩など上半身全体に湿疹ができやすくなります。
 というのが、一般的な説明ですが、実際には年齢によっても、人によっても起こる症状は様々です。
 一様に「アトピーにはこの薬」といったものはなく、その人に合わせたお薬を考えてお渡しします。

 アトピー性皮膚炎はダニやハウスダストなど、外からのアレルギー物質によって起こることもあれば、湿をうまく排泄できない体質、血のめぐりが悪い体質など、身体の内が原因で起こることもあります。
 肌は乾燥していても、体の中に痰湿(はたらきを失った水)が溜まっていることが少なくありません。また、余分な熱も溜まり、その熱が肌を乾燥させていたりします。
 漢方薬でその水の偏在を正し、余分な熱を取り除き、肌が正常に生まれ変わりやすい体質をつくります。

 症状のある個所がジュクジュクしていないか、体のどの部位にあるのか、赤みの強さや触った時の熱感などを見ます。できれば、症状がある部分を見せられる服装で来てください。

 ※舌診や脈診は全身状態を把握するために重要なため、欠かせません。特に、舌診は方剤が適しているかどうかを判断するのに重要です。症状の変化が乏しくても舌が変わる事もあり、治療方針の決定に役立ちます。
 来店される方は、来店前の2時間ほどはコーヒーや紅茶など、色の付く飲み物を飲まずに来てください。また、食事でも苔が変化するため、2時間ほどは食事にも気を付けていただけると、非常に助かります。

 もちろん、肌の調子が良くなることで方剤が適しているかを判断できますが、上に書いた通り、舌でも判断します。写真をとって、相談者さんと一緒に今の体の状態を確認し、これからどうしていくかをお話しします。
 肌が悪化したのを、「毒が出ている」「良くなる前の反応」などと言われることがありますが、アトピーの漢方治療に限って言えば、それはないと思います。悪化した場合、原因となった方剤を中止し、悪化したことで得られた手がかりから次からの方針を決めます。
 大まかな方針が決定するまで、初めのうちは5日間や7日間間隔で来店してもらい、繰り返し肌と体の状態を観察していくことが重要です。

 ご本人の自分の症状や体に対して、細かく観察し変化を報告してくださると、方剤が決定しやすくなります。
 アトピーはまかせきりにして治すのではなく、相談をする側とされる側が一緒になって治していくものです。


 アトピーは強い痒みや人目に付きやすいことから、ご本人は苦しんでいらっしゃると思います。
 アトピーの方は本来はきめ細かい肌ですので、症状が改善して、きれいになるようにお手伝します。

低血圧

40代女性

主訴:ふらつき

現病歴:普段から疲れやすく体力がないため、他から帰脾湯を購入して服用している。もともと血圧が低いが、毎年、春先に血圧が不安定になり、ふらつくことが多い。電車の中で貧血を起こして倒れ、クリニックを受診し、低血圧と心電図の乱れを指摘された。測定した血圧は上が90だった。心電図は人間ドックでも、専門の医師でなければ心筋梗塞と診断されるような波形と言われていた。舌下静脈怒張++

帰脾湯に加えて還元清血飲を服用してもらった。
数日後から、自覚的なふらつきがなくなり、7日後の受診では、上の血圧が110以上になった。今まで、これほど高い血圧になったことがなかったとのこと。この処方をしばらく続けてもらった。

考察:気がのびやかになるべき春に、仕事のストレスによる肝鬱気滞で不調を起こしていたのだと思う。頭部の血流を良くする川弓などの活血薬が必要と考え、心筋梗塞様の心電図から、心血淤阻に対する還元清血飲を選んだところ、うまくいった。
   補うだけで動かす生薬のない帰脾湯の続服も気滞血淤を助長したのだと思う。今後、常用量でなく少量でもよいので、理気活血の方剤を合わせて服用した方がいいだろう。

ふらつき

30代男性

主訴:お酒を飲んだ後にふらつく

現病歴:いつからか、お酒を飲んだ後にふっと頭から血の気が引くような感じがある。立っていられなくなり、座っていても姿勢を保てない。同時に、頭から汗が噴き出る。

気逆、水気上衝として方剤を投与。2/3量を1か月半服用した後、お酒を飲んだところ、症状が出なかった。
服用中、便秘がマシになった。

考察:アルコールを飲むと、体表や頭部の血流が良くなるが、その反跳として血管が収縮し、脳の血流が低下してこのような症状が出ていたかも。朝が苦手とも言っていたので、脳血流が悪くなりやすいタイプなのかもしれない。
   服用中、なぜ便秘がマシになったのか。苓桂朮甘湯を飲んでもらったのだけれど、よくわからない。漢方での水分代謝の最初の砦は脾だけど、白朮の補脾によって、水分吸収の量がコントロールできるようになり、必要な量だけ吸収するようになったのだろうか。うーん、今後の宿題にしよう。

腰痛

40代女性

主訴:腰の痛み

現病歴:(2月来店)9月ごろから痛みが強くなり、前の職場を止めた。もともとヘルニア持ち。仕事で数十キロkgの袋を運んだりしていた。今の職場になり、少し楽になったが、今年に入ってから痛みがさらに強くなった。痛みで目が覚めることもある。

旦那さんが来店したため、間接的な問診のみ。

補血活血化淤、去風湿の方剤と地竜エキスを分2で服用してもらった。
14日後、飲んだその日の晩から痛みで目が覚めることがなくなった。ただし、味が苦手で、もう少し飲みやすくしてほしいとのこと。

不眠

20代男性

主訴:不眠

現病歴:4月から新入社員として働き、5月末ごろから夜中に目が覚めるようになった。睡眠時間に対して寝足りない感じが残っていたり、起きた時に体がこわばっていることが多い。歯をくいしばっていることがある。寝付きは悪くない。ストレスが多いと感じるときには、途中で目覚める回数が増えることがある。白厚苔、歯痕舌。

肝鬱から内風を生じ、神志が上擾して不眠となったと考え、熄風薬を服用してもらった。
1週間後くらいから効果を感じ、14日間服用して、治癒した。その後、再発はない。