30代女性
主訴:首元や鼠径部のかゆみ
現病歴:夕方の食後や寝る前に鼠径部や首元がかゆくなる。寝ている間に掻いている。皮膚科では紅色皮膚描記症(+)、抗アレルギー薬を処方されたが、眠気がひどくて中止した。紅舌、前方辺縁に点刺。右関脈有力、寸脈も特に無力ではない。
肺熱による痒みとして麻杏甘石湯を処方。1日飲むと、次の日の晩には痒みが気にならない程度に治まった。堪えられない痒みが10とすると、この1週間は7程度だったが、服用して3程度になったという。
ただし、4日目に起きると就寝中に掻いた痕があったとのこと。前の晩に食べてすぐ寝たのかと聞いたら、やはりそうだったらしい。
睡眠前の食事を避けることを指導し、7日でほぼ治癒した。
所感:2月初めから痒みが憎悪しているので、花粉になど外邪によってかゆみが増している可能性があった。その場合、脾気虚はないようなので、玉屏風散なども候補になる。また、痒みが出る場所が、鼠径部、ひじの内側、首もとのため、利水や化湿の方剤も候補に挙がる。しかし、舌の状態から清熱がいいと思い、まずは肺熱を取ることを考えたところ、麻杏甘石湯だけで痒みがなくなった。もしかしたら、風寒の熱化や風熱の外邪により、肺に熱を生じていたのかもしれない。
服用中、就寝中に掻いてしまったのは、胃熱のせいだと思う。熱によって夜に症状が起こっている場合、就寝前の食事は悪影響を及ぼす。