30代男性
主訴:アトピー性皮膚炎
現病歴:数か月前、秋ごろからアトピーが悪化し始めた。小さい時にアトピーがあったが、中学生のころに治った。24歳ごろに再発し、かなりひどかった。その頃、漢方薬を数か月もらったが、効果がなく、食生活の改善を徹底して治癒した。3年ほど前からまた症状が出始め、憎悪と寛解を繰り返していた。
その他の所見:肌はカサカサして赤みが強い。触ると熱い。冷え症で手足が冷たい。冬になると、かじかむ事が多い。甘いものを空腹時に食べると胃がもたれやすい。痰が絡みやすい。夏以外は喉が渇かないのであまり水分を摂らない。甘いものが好き。飲酒5日/週。白黄苔、滑苔、やや暗紫色、舌下静脈怒張(+)
清熱利水薬や駆於血薬をいろいろと組み合わせていたが、2か月間全く効果なし。
手足が冷えやすいことから、附子なども試したが、逆効果だった。
一から方剤を考え直すことにして、便や舌の状態から、血熱を取る処方を中心に、去痰薬や使用していなかった数種類の駆於血薬を組み合わせた。
ここから、調子がよくなり出した。舌下静脈の怒張がときどき薄くなるようになった。
現在はステロイドを全く使用せずに過ごしている。
本治に向けて、補気薬の割合を増やしながら継続している。
考察:桂皮と川弓は注意しなければいけない。冷えにこだわりすぎて、桂皮で何度か悪化したし、川弓を含む処方では例外なく悪化した。血熱を取る強い生薬を併用しても、桂皮の副作用が取り切れなかった。もちろん、ひとにもよるが、駆於血薬は桂枝茯苓丸を使わない方が無難かと思う。化於薬としては、田三七を追加することで、漢方薬の効果がはっきりわかるようになった。
※文字化け防止のため、「病だれ+於」を「於」に、「草かんむり+弓」を「弓」に置き換えています。