バレンタインデーの時期は、スギ花粉が飛び始める時期と重なっています。
チョコの広告などを見ると、スギ花粉アレルギーの方はそろそろ花粉症対策をしなければと考えるのではないでしょうか。さらに、ヒノキ花粉アレルギーもある方は、ホワイトデーを過ぎてゴールデンウィークの辺りまで症状が続きます。この時期は花粉症の方にとって、見えない敵と戦う、大変な時期だと思います。
現在では、西洋薬のおかげで、比較的軽い症状で過ごせている方も多くいらっしゃいます。
ただ、漢方の視点で考えると、花粉症の症状が出るのは、体の気血水の停滞・不足や五臓の機能が落ちていることが原因かもしれません。
漢方薬や生活習慣の改善で対処した方が、体を強くしながら、負担を軽減することができ、後の健康に繋がります。歳を取るにつれて、健康はお金に代えがたいと感じるもので、漢方の考え方でご自分の不調を捉えて、早めに対処することが、後に体をこわさないために必要なことと思います。
さて、漢方で花粉症はどのように捉えられるでしょうか。
多くの場合は、食事や嗜好品による「水滞」が原因です。文字通り、水の停滞を意味します。
花粉症で鼻水が出てしまうのは、体に「水」が必要以上に溜まっているか、偏って存在している状態に、花粉という刺激によって水が鼻からドバっと出てくるからです。
この水がどこから来るかというと、砂糖、肉、油を多く含んだ食事・嗜好品です。甘いもの、味の濃いもの、こってりしたものは、体の中に多くの「水」を生み、それが排出できずに溜まってしまいます。体の「水」は、主に「脾」・「肺」・「腎」によって処理されていますが、この3つの臓のうち、どれかの機能が落ちても、花粉症が出てくる可能性はあります。
ただ、現在の日本の状況では、多くの人が甘いもの、脂っこいものを摂りすぎているため、脾肺腎の気虚(機能低下)よりも、処理能力以上の食べ物が強く影響していることが多いです。
水が多く流れ込んできて、溢れてしまう状態です。
この場合、漢方薬では、脾肺腎を強くする薬や、体の「水」を追い出す薬を組み合わせますが、まずは、食べ過ぎの生活習慣を変えてもらいます。甘いもの、スナック菓子、食パン・菓子パンや揚げ物、肉などの高脂肪食を減らし、「水」が溜まるのを防ぎます。
もし、正しい食生活を送っているのに、鼻水が出るのであれば、脾肺腎いずれかの気虚が強いと考え、補剤と利水薬・化痰薬を組み合わせます。
では、目のかゆみはどう考えるでしょうか。目のかゆみは、体に溜まった水の停滞や気の停滞が熱の性質を帯び、熱がかゆみを引き起こした、もしくは、花粉を邪(じゃ;外から加わった体を害するもの)として考えます。
この場合は、充血が強ければ清熱薬を、あまり充血がひどくないようなら少しの清熱薬と去風薬を組み合わせます。
高齢者は花粉症などのアレルギー疾患が少なくなってくると言われています。これは、西洋医学的には免疫応答の低下と解釈されていますが、漢方では、体の表面の防御を主る肺の気虚と腎の気虚・陽虚が関連していると考えられます。昔は花粉症などのアレルギーがあったが、年齢と共に症状が少なくなってきたなら、肺や腎の機能が低下してきているしるしかも知れません。
相談にいらっしゃったら、おおよそ、以上のことを考えて漢方薬を選びます。
脾肺腎の機能低下がある場合、時間がかかるため、価格面に不安があるなら、少量の一般用医薬品の漢方薬を気長に飲んでもらうこともあります。
体調が気になるようなら、一度ご相談ください。
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