20代女性
主訴:かぜ
現病歴:頭痛少し(+)。乾いた咳(+)。咽の痛み(+)。熱感あまりなし、寒気(-)。夜中に咳で起きる。その後、なかなか眠れない。
その他の症状・所見:話している間は咳き込まない。右寸脈浮(-)。手は冷たい。
寒気、関節痛がないことから風寒は否定的。衛分証として、辛涼解表薬1日分。
翌日。のどの痛みは治った。夜中に咳で起きたが、その後すぐに眠れた。日中の咳が気になるようになった。乾いた咳で痰はない。くしゃみも出る。口渇(+)、喜冷飲(-)。右寸脈が左寸脈より有力、やや細、浮ではない。
肺熱として薬を1日分。
3日後、薬を飲むと、咳がだいぶ楽になった。よく寝るようにして、今はほぼ治った。とのこと。
無理をしないようにとお話して、薬を渡さず終了。
所感:外感病の初期に浮脈になるかどうかは、その人の体質なども関わっていると思う。浮脈になる方はそこまで多くないように感じるが、『実践東洋医学』にあるデータでは、浮脈になる割合はなかなか高いようす。
普段の脈からの変化も見るべきだが、普段の脈がわからない場合、左右差をみると、少しは正確な判断の手助けになるのではないかと思う。口渇と右寸脈やや有力から、石膏を含む処方にした。
かぜだったのか、コロナだったのか、この時期だとよくわからない。うまくいってよかったと思う。