自験例
主訴:新型コロナウイルス感染症
〈1日目〉
2022年2月中旬
昼の休憩中、寒いと感じた。ゾクッとは来ていない。
その後、胸から心下にかけて詰まる感じ。胃の裏の高さ、膀胱経の筋肉が詰まって痛い。寒気が少しある。右寸脈やや沈やや弦。汗無し。
→桂枝去芍薬加附子湯
全く変わらず。
→葛根湯エキス1包
汗が出ない。右後頭部にひきつるような頭痛が時々現れる。
→葛根湯(煎じ薬)
半分飲んだ所で帰路に就く。
足の裏、背中痛い、関節の痛みはなし。ややだるい。寒気あり。頭痛あり。
帰宅後、布団にくるまる
→葛根湯エキス1包
発汗せず
葛根湯で発汗しないので、麻黄湯にしようか迷ったが、高熱ではない上に、そこまで体が痛いわけではなく、こじらせるのは避けたいのでとりあえず却下。
家族が帰宅。
汗が出ているか微妙な感じ。所々に湿り気程度。
ネギと梅干し入りのおじやを食べた。
やや発汗。
22:00に起きた。
背中が異様に痛い。少し寒気。37.9℃
歯を磨いて顔を洗ってまた寝る。
このとき、目の上、眉稜骨辺りのズキズキくる頭痛あり。
→これしか考えられないくらい症状が揃っていたので柴葛解肌湯エキス1包
1時間くらい寝た後、頭痛と背中の痛みがほぼ無くなった。
→柴葛解肌湯エキス1包
夜中、寒気が無くなった。
〈2日目〉
朝に咳少し、頭痛少し、寒気なし。熱感あり。食べられないわけではないが、食欲あまりなし。ずっと布団にいて動いていないせいかも。37.2℃。
→小柴胡湯+桔梗石膏服用
9:00
やや痰からむ。
トイレに起きるとやっぱり体が痛い。
→柴葛解肌湯1包
寒気や頭痛あり
咳も時々
この日、小柴胡湯+桔梗石膏 各3包
夜には倦怠感や頭痛なし
〈3日目以降〉
その後、5日間ほど、小柴胡湯と桔梗石膏をベースに服用した。
その間、時々、右の乳頭上部第2肋間(屋翳あたり)が背中に通るように痛くなったため、環元清血飲を1日1包服用。症状がなくなったため2日間で終了。
〈7日後以降〉
咳だけが残り、日中は時々。夕方や夜間にかけて空咳が出て止まらなくなった。
味麦地黄丸を服用すると、飲んだ瞬間から咳が出なくなった。
自宅療養期間が明けてからは、味麦地黄丸では効果が薄くなり、麻黄などを含む方剤を加えて煎じ薬を服用した。
1週間くらいで、喋ってもほとんど咳は出なくなった。緊張する場面ではやや出るくらいで、ほとんど治癒。
所感:咳が残ってしまったのは、今は吸入薬などは使用していないが、もともと、小児ぜんそくがあったため、素体の弱さが出てきたのだろう。腎が弱い体質なので、腎の納気を助ける味麦地黄丸を使用したが、人参、黄耆などで脾気や肺気を補った方がよい方もいる。
味麦地黄丸が1服で驚くほどすぐに、よく効いたのは、味覚からの酸味の刺激が関係しているのだと思う。
味麦地黄丸で効果が頭打ちになったのは、コロナで失調した腎の納気の作用は回復し、肺の宣発粛降の失調が咳の主な原因になった。緊張する場面で咳が出るのは、肺がまだ完全には回復しておらず、肝鬱気滞がすぐに影響してしまうのだと考えられる。日常生活にそれほど困らないので、日にち薬で治すことにした。