60代男性
主訴:憩室炎の再発
現病歴:2年前に憩室炎で大腸の右側切除。大腸と小腸を繋げた。1年後、さらに1年後にも再発し、3回目のため再度手術をした。術後に動けず、ドレーンも煩わしく、検査のための大腸ファイバーも痛かったので、もう手術をしたくない。左側にも憩室炎があり、1ヶ月ほど前に抗菌薬を服用した。
その他の症状・所見:手術痕はお腹を切った所より、腸を繋げた所が軽く痛い。低気圧で痛み(+)、1日のうちで症状が現れたり消えたりする。4年前に糖尿病と診断された。現在は食事療法のみで服薬なし。糖尿病から2年で憩室炎になった。花粉症(+)。食欲(+)。水分1.5L/日、温かいものが好き。飲酒・喫煙(-)。寝つき悪く30分くらいかかる。ガス感(+)。
消炎性の駆於血剤に四逆散と芍薬甘草湯を合わせて14日分お渡しした。
7日後。右の手術痕の痛みなし。ガス感はぐっと減った。便通異常なし。同じものを14日分。
その後、芍薬甘草湯は常に服用する薬ではないため、中止。駆於血剤を中心に、理気剤を症状に応じて変更して、約6ヶ月服用。
2年後、別の用事で来店されたときにお話しすると、それ以来憩室炎の再発がないとのこと。
所感:開腹手術後は、気や血の滞り、冷えなどが起こりやすい。この方の場合、冷えはほとんど感じられなかった。
憩室炎の原因については、強く伝えていなかったが、糖質制限も一因だったように思われる。肉を多くすると、炎症起こしやすく、自己免疫も異常になりやすい。
多くの方が誤解しているが、ほとんどの場合、「○○によい食事」は全てにおいてよい食事ではなく、○○にはいいが、△△にはよくない食事だったりする。例えば、塩分を控えめを薦めている本では、肉類など脂肪の摂取を問題視していないことがある。その食事だと、脳血管の病気は減るが、心血管の病気は増える。
唯一、全員にすすめられるのが、70年代和食を塩分控えめにしたものだと思う。油をほとんど使わず、米と野菜を基本にして、少しの魚や肉を取り入れると、いろいろな病気の予防になる。
低糖質食もエビデンスを積み重ねているが、上記の通り一長一短で、適する人と適しない人がいるように感じる。1日1食や16時間断食という食事方法も然り。食事は自分の体をつくるので、しっかり考えないといけない。
この方の場合も、血糖値やA1cが安定した時点で、徐々に、よりよい栄養バランスにシフトしていった方がよかったように思う。