2022.5.10
デルタ株が主流だった頃は、子どもはほとんど感染しませんでしたが、オミクロン株では、子どもの中でも感染が広がっています。
症状としては、下痢などの消化器症状が多いようです。
消化器症状が出る感染症は、湿邪が絡んでいると考えます。
湿邪が関わる感染症を「湿温」と呼び、葛根湯や麻黄湯などを使用する系統の感染症とは、大きく異なり、使用する薬も違います。
湿邪と温邪(熱の邪)のバランスによって、使用する薬が変わります。
胃腸症状が、胸や胃が痞える程度で、下痢はほとんどなく、悪寒して汗が少なく、午後に熱が上がり、頭や手足や体がだるいのであれば、邪がまだ体の浅い部分で留まっていると考え、霍朴夏苓湯などを使用します。
湿邪が脾胃を主に侵している場合は、腹が張る、吐き気、あまり食べられない、下痢ぎみなどが中心で、熱による症状が見られません。この場合には、霍香正気散などを使用します。
湿も熱も強く、胃腸に邪が存在する場合、なかなか解熱せず、胸が落ち着かずに気持ち悪く、便がベタベタして、トイレに残るほど臭い、小便は色が濃いなどの症状が出ます。この場合は、王氏連朴飲などを使用します。
以上、3つのパターンをご紹介しましたが、実際には、他の病態も考えられます。
上に述べた通り、湿邪が絡んだ感染症は、下痢や胃の痞え、お腹がグルグルなって張るなどの消化器症状が出てきます。
そのため、霍香正気散は、胃腸かぜにもよく効き、子どもからお年寄りまで使え、常備薬としてもおすすめです。
たとえば、夏に冷たいものやクーラーに当てられて、少しかぜっぽい症状に加えてお腹を下してしまったときなどにはよく効きます。
漢方では、湿邪が絡んだ病気は、なかなか治りにくいとされています。湿気が多いと、体がベタつく感じがするように、湿邪も体にまとわりつき、時には回復に時間がかかります。
やはり、他の病気同様、早期に手を打つことで治りが早くなるため、早めにご相談ください。
※文字化け防止のために、「草かんむり+霍」を「霍」に、置き換えています。