60代男性
主訴:前腕内側の痛み
現病歴:
頚椎椎間板ヘルニアの既往。西洋薬を飲みながらゴルフをしていた。手術で改善し、しびれが少し残る程度だった。その後、痛み止め中止で腱鞘炎の痛みが出てきた。テーピングやサポーター使用。
左が常に痛く、右は時々痛い。前腕尺側手関節から10センチほどの部分(内関あたり)が痛い。日常生活で鈍い違和感がある。使いすぎで悪化。気温やお風呂、季節や時間帯は関係なし。
その他の症状・所見:
局所の熱感(-)。冷房も暖房も苦手。夏でも部屋を閉め切って冷房つけない。寒気を感じやすい。12月まで半袖でゴルフをしている。寝汗(+)。ストレスやイライラ(-)。下痢ぎみ、毎朝午前中に3~4回トイレへ行く。夜間排尿2~3回、量多い。食欲、食事量普通。睡眠問題なし。目充血(+)。目が疲れやすい(-)。
右関脈やや緊、左より力弱い、尺脈やや弦。左関脈やや弱、渋、尺脈やや弱い。舌偏淡、黄苔、滑苔、老舌、尖紅、於斑、舌下静脈の怒張(-)。
体が冷えて血の巡りが悪くなっていると考え、陽気を補う薬と於血を取る薬を合わせて7日分お渡しした。
2回目、服用して3~4日で腰に発疹ができた。それから1日1回に減らし、今は発疹は枯れている。頻尿は楽になったが、1日1回にするとまた少し元に戻った。1日2回で服用していたときは下痢はピタッと止まっていた。痛みは出ていないが、ゴルフの練習もしていないせいかもしれない。とのこと。右関脈左より少し力あり、尺脈やや弱い。左関脈沈弱、やや細、渋、尺脈やや弱い。舌やや紅、滑苔、やや紫、舌下静脈怒張(+)。1日1回に減らしたまま服用してもらう。7日分お渡し。
3回目、1日1回で飲んでいて、発疹は出ていない。肋軟骨炎になった。そのほかは調子が良い。とのこと。同じお薬。
4回目、また少し湿疹が出たが、治りかけ。肋軟骨炎は前回(一昨年)になったときより治りが早い。体温が35℃台だったのが、36.5℃くらいになってきた。手の痛みは違和感程度で、特になし。とのこと。
5回目、湿疹は出ていない。下痢(-)。手は少し違和感があるように感じるが、これが普通なのかなとも思う。右関脈有力、尺脈有力。左関脈やや弱、尺脈沈取無力(自転車で来店後)。舌偏淡、滑苔、胖大、奥にやや白苔。舌下静脈怒張(-)。駆於血薬を減らして補血薬を加えた。
現在も1日量を減らしながら服用中。
所感:駆於血薬だけでは効果が薄かったと思われる。陽虚は於血の原因あるいは於血を助長していると考えられたので補陽薬を合わせた。下痢がかなりひどく、体温も低く、体の奥から冷えていたが、表面上はほぼ回復している。於血があれば駆於血薬を飲むだけでなく、於血を生み出す元を考えないといけない。
※文字化け防止のために、「病だれ+於」を「於」に置き換えています。