60代女性
主訴:眼感染症
現病歴:
コンタクトレンズを付けると、曇って見えた。眼科を受診すると、感染症と言われ、抗菌薬の点眼薬を処方された。点眼薬が合わず、途中で中止。1ヶ月後の受診時に治っていないと言われた。
目の痒みは少し。痛み(−)。目脂は1週間に1回くらい。涙が出やすい(−)。目が疲れる。元々ドライアイ。
その他の症状・所見:
ふけ(−)。耳鳴り(−)。のぼせ(−)、めまい・立ちくらみ(−)。雨の日の不調(−)。食欲正常。食後の眠気(−)。睡眠正常。尿正常。便通1日1回。水分1日1L程度。口渇(−)、口乾(−)。夕方の熱感(−)。爪の縦すじがある。疲れると鼻血が出やすい。眼瞼結膜の赤みあり。
舌暗紅、黄膩苔、歯痕、舌下静脈怒張あり。脈右関脈 弦細渋、沈取有力、左寸脈右寸より有力 左関脈 沈渋
経過:
明朗飲を中心に、脾胃の湿をとるのと、頭部の血流改善のために、薬を3種類お渡しした。14日分。
14日後、先週にコンタクトをつけると、右だけ曇っていた。以前は左も曇っていた。とのこと。右関脈の弦渋が取れないので、脾胃の湿をとる薬を変更して14日分。
さらに14日後、先週眼科を受診すると、治っていると言われたとのこと。薬はお渡しせずに終了。
所感:
点眼薬を中止したなかで改善したので、漢方薬の効果と判断して良いと思う。
脈から生薬ひいては方剤を結びつけて決めたが、確証バイアスが入っていたような気もする。
右関脈の弦渋が取れなかったのは…いろんな要因を考えてみたけど、材料不足で答えはわからない。
明朗飲は『勿誤薬室方函口訣』に、「風眼のみならず、逆気上衝、眼中血熱、或は翳を生ずる者を治す。」とある。この症例は典型例だったかと思う。ただ、もしこの薬だけしか使ってなかったら、治ってなかったかもしれない。