潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患です。腹痛や血の混ざったイチゴジャムのような下痢が出るのが特徴です。びらんや潰瘍は直腸から連続的して、口側へ広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
もともとの体質に、脾や腎の弱さがあり、多くの場合、そこへ不摂生などが重なり、発症します。
大腸には炎症があり、血便などの症状があるため、体に余分なものがある「実」のように見えますが、本来は体の弱さから発症しているため、「本虚表実」です。
悪化しているときは、湿熱、血於、気滞などの実の症状が強くなるため、巡りをよくする治療を主とします。大腸での、気・血・湿邪の鬱滞が炎症を起こすため、胃腸の気をめぐらすことに重点を置きます。加えて、血熱があるか、熱と湿どちらが強いかなど判断し、方剤を決定します。
症状が緩解しているときは、脾や腎の虚弱を治す治療を主とします。症状が出ているときに体の本来の力を補充するものを服用すると、かなりの確率で悪化します。症状がある程度おさまるのを待ってから、虚を補います。冷えがあるなら、その冷えが脾だけか腎までかなどを判断します。
便の量、色や腹痛の程度、回数や時間、粘液と血液の割合、普段の体質に関して詳しくお聞きし、舌と脈で体の中の状態をみます。
※舌診や脈診は全身状態を把握するために重要なため、欠かせません。特に、舌診は方剤が適しているかどうかを判断するのに重要です。症状の変化が乏しくても舌が変わる事もあり、治療方針の決定に役立ちます。
来店される方は、来店前の2時間ほどはコーヒーや紅茶など、色の付く飲み物を飲まずに来てください。また、食事でも苔が変化するため、2時間ほどは食事にも気を付けていただけると、非常に助かります。
腹痛や便の血、水分量、舌の変化などで薬の効果を評価します。
大まかな方針が決定するまで、7日~10日間隔で来店してもらい、体の状態を観察していきます。
ご本人の自分の症状や体に対して、細かく観察し変化を報告してくださると、方剤が決定しやすくなります。
目標は、寛解期を持続させ、ご自分で漢方薬を使い、普段の食事でコントロールできるようになることです。
※青黛について
潰瘍性大腸炎に効果があるとして、特効薬のように言われ、漢方に詳しくない方に “乱用” されたせいで、重篤な副作用が発生しました。
青黛は肝、または心、肺、胃を冷やすとされています。五臓の中で一番デリケートな肺を冷やし過ぎて、於血を生じ、副作用として肺動脈性高血圧症が発生したと考えられます。本来、漢方薬は、補瀉、寒熱などのバランス、季節、症状の程度を考え、その人に合わせて服用してもらうものなので、青黛だけを単味でずっと飲むようなことはするはずがありません。
副作用が発生し、厚生労働省の通達が出てから、青黛は一切販売しておりませんので、販売に関してのお問い合わせにも満足のいくお答えができません。
その点はご了承いただきますようお願い申し上げます。
青黛以外の生薬を用いて、ゆっくり相談時間をかけて、お一人お一人に合わせて漢方薬を選びます。
※文字化け防止のため、「病だれ+於」を「於」に置き換えています。
症例はこちら↓
潰瘍性大腸炎①:https://halenova.com/blog/?p=6051
潰瘍性大腸炎②:https://halenova.com/blog/?p=6173