病気になりにくい体・再発しにくい体について②(正気を強くする)

前回、病気にならないためには、正気を強くするか、邪の侵入を防いだり、邪を体に溜め込まないようにするかどちらかという話をしました。
では、正気を強くするにはどうすればよいか。
正気を強くするには、正しい食事と睡眠をとる、治療のための薬ではなく保健のための薬を飲む、体の熱や冷えのバランスを整える、五臓(肺心脾肝腎)のバランスを整えるなどが必要です。

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正しい食事と睡眠、これは基本的なことですが、一番大事なところです。
人は生まれてから死ぬまで、ずっと、生まれ持った精(≒生命力)に加えて、食事と呼吸で精を補充して生きていきます。いずれは精がなくなり、亡くなることになりますが、睡眠が少ないと、精を浪費してしまいます。精から正気が作られて体が正常に働きますが、食事や睡眠を正しくすることで、正気を強くすることができます。

治療のための薬ではなく健康を保つための薬を飲むというのは、症状に対する薬ではなく、体の根本を強くする薬を飲むということです。
西洋薬は対症療法、漢方薬は体質改善に効くと思ってらっしゃる方も多いと思いますが、漢方薬にも、症状を取るだけの薬、症状の裏側にある体の状態を整える薬、上述の精を補うなどして根本を強くする薬などがあります。
体の根本を強くする薬は、ほとんどの場合、今出ている症状を取ることはあまりできませんが、少量を続けて服用することで、数年後、10年後、20年後の体を変えていくものです。
正気を作り出す基礎を高めて、邪に負けない体を作るものです。

体の熱や冷えのバランスを整える、五臓を整えるのも、正気を強くするのに重要です。
体に熱が多すぎる時には全身運動などで熱を追い出したり、脂っこい食事や甘いものを控えめにします。冷えている場合は、これも運動などで体の熱を作り出す助けをしたり、体を温めるものを積極的に摂ったりします。
五臓(肺心脾肝腎)のどこかに弱点があれば、そこから邪が侵入したり、そこに邪が発生したりしてしまいます。ここでは詳しく書けませんが、薬や生活習慣で弱点を補い、バランスを整えることで、正気を高めることができます。

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正気>邪なら病気にならないため、正気を強くするお話をしましたが、邪を防ぐ、邪を生み出さないようにするにはどうすればよいでしょうか。
(つづく)


当店では、「症状を改善したい」だけではなく、「体を丈夫にしたい」「病気を再発させたくない」「健康寿命を延ばしたい」といったご相談も承っています。
直接、ご来店くださっても構いませんが、より正確な判断をご希望の場合は、ご予約の上、30分~1時間ほどお時間を頂戴して、お話をお聞かせいただければ幸いです。

↓続きはこちら
病気になりにくい体・再発しにくい体について③(邪への対処)

病気になりにくい体・再発しにくい体について④(治療薬・健康を保つための薬)

↓以前の記事はこちら
病気になりにくい体・再発しにくい体について①(正気と邪)

漢方薬局ハレノヴァ

TEL: 06-6312-8429

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症状・病気別漢方

症例

花粉症・鼻炎にはクマザサがおすすめ(インペアードパフォーマンス予防に)

クマザサ6

「インペアードパフォーマンス」という言葉をご存じですか。
自覚しないうちに、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬によって、頭の働きが落ちている状態です。
古くからある抗ヒスタミン薬は、効きがいいのですが、その分、脳の覚醒度も落としてしまいます。例えば、d-クロルフェニラミン2㎎を服用すると、ウイスキーのハーフショットを飲んだのと同じくらいパフォーマンスが落ちると言われています。
比較的新しい抗アレルギー薬は、そこまでではありませんが、多かれ少なかれ影響があります。

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胸部の締め付け感

50代女性
主訴:胸が苦しい

現病歴:
 数年前からストレスが増え、初めは起床後に胸に不快感があった。その後、のどの痞えが生じて、去年からはのどの締め付け感もある。現在は、のどから胸にかけて苦しく、こわばっている。呼吸もしづらい。
 西洋薬、漢方薬(半夏厚朴湯、加味逍遙散、香蘇散などその他多種)をいろいろと試したが改善せず、悪化している。
 ストレス時に顕著に悪化する。体のストレッチをすると軽減する。

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私は花粉症への道をどれくらい進んでいるのだろう

クマザサ6

今年も嫌な花粉の季節が始まりました。
私は花粉症ではないのですが、いつ発症するかびくびくしながら、毎年過ごしています。

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子宮筋腫

40代女性
主訴:子宮筋腫

現病歴:
 多発性子宮筋腫。大きなものは触るとわかる。圧迫感、腹脹がある。
 手術を勧められたが断った。ホルモン剤は副作用で中止。

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下痢と腹痛

60代女性
主訴:下痢と腹痛

現病歴:
 初冬。原因はわからないが、今月2回下痢をした。その後、便秘、兎糞状、残便感あり、便意があるが出ない。今までも疲れて下痢をして、その後便秘することがあった。腹痛なし、4日出ていないが、腹脹や腹満なし。左腹部不快感。腸蠕動亢進なし。腹鳴なし。吐き気なし。ガスが出るが、出ても楽にならない。お風呂に入っても楽にならない。

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親知らず抜歯後の痛み

20代女性
主訴:抜歯後の痛み

現病歴:7日前に親知らずの抜歯をした。数日してから痛みが出だした。今日はずっと痛い。痛み止めを飲むと、少し楽になる。抗菌薬は処方されていない。

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年末年始休業日のお知らせ(2024~25年)

2015門松

2024.12.2(月)

漢方薬局ハレノヴァの年末年始休業日をお知らせいたします。

年末年始休業期間:2024年12月29日(日)~2023年1月5日(日)

期間中、メールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は2023年1月6日(月)以降となります。
また、休業期間中はオンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い申し上げます。

頭がぼーっとする

20代女性
主訴:頭がぼーっとする

現病歴:
 昨日から、頭がぼーっとする。今日は特にひどい。頭に熱感がある。少し頭痛がある。
 

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アトピー性皮膚炎について②

アトピーの治療で「本当は冷えによって起こっている」「身体の内側は冷えているから温めないといけない」が、好きな人が多いなあと思います。
熱症状と思える炎症が、実際は冷えで起こっているのだと言うと、逆説的で、それが今までの考え方をひっくり返してくれて、袋小路に入り込んだ思考に新たな抜け道を与えてくれるようで、飛びつきたくなるのでしょうか。
治療者も、患者も心地いいのかもしれません。
ただ、冷えが悪いのは、そこから巡りが悪くなるからであって、炎症がある直接(根本ではなく)の原因は気血津液の滞りだと考えます。
いずれは温める薬が必要であったとしても、今の肌の状態を考慮しないといけません。

少なくとも炎症が強い時は、強く温める生薬を使わない方が、無難です。どうしてもという時に、いろいろと組み合わせながら、慎重に使います。
局所の熱症状がある時に、強く温める薬を使うと、大体、悪化してるように感じます。
体が冷えている場合、熱症状がある程度取れてから、少しずつ温めていくのが一番良いのではないかと思います。

※文字化け防止のために「艸+弓」を「弓」に置き換えています。

めまい

20代女性
主訴:めまい

現病歴:
 1年前からめまいがあり、最近は頻繁にある。昼に症状強く、夜はマシ。生理中に症状強い。生理前から期間中はずっとある。動けなくなることもある。寝不足で悪化し、動悸も伴う。曇天時悪化し、体のだるさも伴う。季節での変化(-)。季節の変わり目(+)。空腹時とその後食べた時にも悪化。グルグルしためまいと血の気がひくめまいどちらもある。
 

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うつ症状

50代男性
主訴:うつ症状

現病歴:
 経営者。数か月前から、仕事のやる気が減った。以前は、仕事が重なっても、やる気があったが、今はスケジュールを見て、ため息をついたり、これから得意先との大事な話があるというときにしんどくなったりする。自分では、軽いうつなのではないかと思う。
 

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不眠

40代女性
主訴:不眠

現病歴:
 昨年春頃から、2週間に1日程度、朝4時まで眠れない日もあったが、次の日は眠れた。
 最近は、暑さのせいもあるのか、眠れない。熟眠感ない。寝起き悪い。途中覚醒もあり、昼間眠い。仕事中困る。疲れもとれない。
 コロナ禍以降は在宅勤務となり、動かないせいかも、もしくは更年期かもと考えている。
 眠れないからと、ついつい夜更かししてしまう。悪循環になっていると思う。

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老人必用養草17(老人の疾病治療について2)

香月牛山

引き続き『老人必用養草(ろうじんひつようやしないぐさ)』を紹介します。
この本は香月牛山(かつきぎゅうざん)が1716年に著した本です。
老人の養生、老人への接し方など現代にも通じるいろいろな教訓が書かれていて、今読んでもためになります。

今日は老人の疾病治療に関する部分を抜粋して読んでみます。

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夏季休業期間のお知らせ(2024)

李時珍1

2024年8月2日(金)

漢方薬局ハレノヴァの夏期休業期間をお知らせいたします。

夏期休業期間:8月11日(日)~8月15日(木)

休業日もメールでのお問い合わせは受け付けておりますが、お返事は翌営業日以降となります。
また、オンラインショップの発送業務も停止いたしますので、予めご了承ください。

ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いいたします。

かぜ(コロナ?)

30代女性
主訴:かぜ(コロナ?)

現病歴:
 夫がかぜで倒れたあとに発症。頭痛、手足がだるい、寒け少し、37℃強の微熱。

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